「ヒヤリハット・キガカリ活動」ってご存じですか?
工場ではよく「ヒヤリハット活動」とかで、問題にはならなかったけど「危ないなぁ」と思ったことをレポートして、その中で重要なものを問題が起きる前に潰してしまうという活動です。
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ヒヤリ・ハットとは、重大な災害や事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例の発見をいう。文字通り、「突発的な事象やミスにヒヤリとしたり、ハッとしたりするもの」である。
しかし、重大な事故が発生した際には、その前に多くのヒヤリ・ハットが潜んでいる可能性があり、ヒヤリ・ハットの事例を集めることで重大な災害や事故を予防することができる。そこで、職場や作業現場などではあえて各個人が経験したヒヤリ・ハットの情報を公開し蓄積または共有することによって、重大な災害や事故の発生を未然に防止する活動が行われている。
このような活動は、ヒヤリ・ハット・キガカリ活動とも呼ばれる。ハインリッヒの法則は、「重大事故の陰に29倍の軽度事故と、300倍のニアミスが存在する」ということを示したもので、この活動の根拠となっている。
出典:ヒヤリハット-Wikipedia
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ここで出てくる「ハインリッヒの法則」というのは、
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法則名はこの法則を導き出したハーバート・ウィリアム・ハインリッヒ(英語版)、1886年 - 1962年)に由来している。彼がアメリカの損害保険会社にて技術・調査部の副部長をしていた1929年11月19日に出版された論文が法則の初出である。
彼は、ある工場で発生した労働災害5000件余を統計学的に調べ、計算し、以下のような法則を導いた。「災害」について現れた数値は「1:29:300」であった。その内訳として、「重傷」以上の災害が1件あったら、その背後には、29件の「軽傷」を伴う災害が起こり、300件もの「ヒヤリ・ハット」した(危うく大惨事になる)傷害のない災害が起きていたことになる。
更に、幾千件もの「不安全行動」と「不安全状態」が存在しており、そのうち予防可能であるものは「労働災害全体の98%を占める」こと、「不安全行動は不安全状態の約9倍の頻度で出現している」ことを約75,000例の分析で明らかにしている(詳細はドミノ理論参照)。
なお、ハインリッヒは「災害」を事故と事故を起こさせ得る可能性のある予想外で抑制されない事象と定義している。
上記の法則から、
・事故(アクシデント)を防げば災害はなくせる。
・不安全行動と不安全状態をなくせば、事故も災害もなくせる(職場の環境面の安全点検整備、特に、労働者の適正な採用、研修、監督、それらの経営者の責任をも言及している)。
・
という教訓を導き出した。
この法則は、日本の国鉄(現・JRグループ)にも影響を与え、「330運動」と称する運動が国鉄時代に存在した(現在同じように現場において実行されているかは公表されていない)。
出典:ハインリッヒの法則-Wikipedia
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です。
仕事でも私事でも、重要でも緊急でもない課題というのはたくさんあります。
このハインリッヒの法則でいえば、重要で緊急なものと比べると 300倍 あるはず。
たとえば、あなたが組織のリーダーだとして、「メンバーの一人が最近ちょっとおかしい。なんか遅刻が多い」と気がついたとしましょう。
でも、それよりも、明日提出の部長へのレポートのほうが優先なわけです。
で、放置しておいたら、突然「ウツ病」の診断書を提出してお休みになってしまった。
とまあ、こんな事もあります(経験済み)。
■小さな問題は芽のうちに潰せ
問題解決の手法で、一番いいのは、問題を起こさないことです。
問題解決をするということは、何らかの不利益を被ったから、問題になったわけで、たとえ解決したとしても、その不利益が消えることはありません。
なので、問題を起こさないのがベストです。
そのためには、ハインリッヒの法則で言うところの、問題にはならないレベルのヒヤリハット(問題の芽、あるいは種)の段階で潰してしまうこと。
ただし、時間は有限なので、300倍の問題以前のヒヤリハットを潰すのは労力がいくらあっても足りません。
私の知る限り、組織の長として実力があって、出世した人というのはおしなべて、こういうヒヤリハットに対する感度が高いです。
※もちろん、実力なく出世した人もいますので、そういう人は別にして。
「おい、最近、お前の部下の A 君の机の上、汚れてるじゃないか」
「このところ、レポートの所感のところ、何も書いてないぞ」
「出勤・退勤時に挨拶する人がすくないぞ。挨拶をちゃんとさせろ」
まあ、何気なく聞いていれば、「そんな細かいことを役員が気にするようなことか?」と思えるような発言をしますが、半年後に大事件に発展することも時々あります。
■無視していい問題、放置してはいけない問題
そこで、無視していい問題、放置してはいけない問題を見分けるのに、「ダウンサイドリスク」という考え方があります。
★P59〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
種々の細かな現象のうち、いったい何が、放置すべきではない「問題の芽」であり、何が、放置すればいずれ時間が解決してくれる現象なのか?
それは、どこで見分けたらいいのか?
それ以外にも P 数多くある思わしくない現象の重要度と緊急度を、いったいどうやって測ればいいのか?
この点について、もうひとつ、お役に立てそうな考え方をご紹介します。それは、先にも触れた、「ダウンサイドリスク」の概念です。
これは、ビジネスでとても重要な概念で、失敗したとき被る最大限のリスク、損害のことです。
このダウンサイドリスクが大きくなるものほど重要度が高まります。さらに、
さらに、対応が遅くなればなるほど、このダウンサイドリスクがどんどん大きくなっていくものは、緊急度も高まります。
:
:(中略)
:
間題解決に素人とプロがあるとしたら、プロというのは、まず、緊急度と重要度がちゃんと分かる人です。そして、それを決めるのは、ダウソサイドリスクの正確な把握です。
小宮一慶(著) 『ビジネスマンのための解決力養成講座』
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要するに、でいうと、
「将来どの程度の大問題になるか」というリスクの見積もりをして緊急度が上がってしまう前に対処しましょう
ですが、リスクの見積もりなんて簡単には出来ません。これを体系的に教えてくれる方法も、私の知る限りありません。
結局「経験が必用」なのですが、経験でも
兆候→問題現象
の関係がわからず、問題現象だけ知っていても役にはたちません。
「リスクの芽を観察して、それが結果どうなったのか」という結びつきを知らないと兆候から問題に結びつけることは出来ないんです。
それには問題が起きた時に、関係者にそれはどんな兆候があったのかを聞くことから始めるといいですよ。
■参考図書 『ビジネスマンのための解決力養成講座』
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