ファーストコールを受ける窓口になる


転職面接、昇進・昇格面接などで問われるのは「コンピテンシー」だ、という記事を過去に何度か書きました。

 ソフトスキルを定義する
 個人SWOTで未来を考える
 成果を出す能力
 知識と経験のバランスでスキルが決まっている


 評価されるポイント
 面接官の意図を知れば合格できる
 勉強好きはどのように昇進・昇格に影響する
 期末自己申告記入のポイント
 面接:コンピテンシーをアピールする
 面接のキラーフレーズ
 面接技術:入社後に何をしたい?
 簡単にできたことこそ大切にする

このコンピテンシーのひとつとして私が重要だと思っているのは、「ハブ」になれる能力です。




■情報のハブになる


ネットワークの機器で、HUB という製品があります。そこから出たケーブルが端末装置につながっていて、端末の情報は一旦この HUB に送られて、HUB から別の端末に送られます。

各地の国際空港の目標として「アジアのハブ空港を目指す」とか言われますよね。
要は中継点となる空港。離着陸本数が多くなるので、末端の空港よりも利用率が高くなって、収益性が良くなる、と。

ネットワークの HUB も何かできるかというと何もできません。
ただ情報の中継をしているだけです。しかし、これがないとネットワークが組めないんです。

この機能を人間、仕事に置き換えてみると、仕事というのはある一面、いろんな専門を持った人の情報のやり取りです。

たとえば、商品企画がユーザのニーズを読み取って商品の概要を作る。設計者が商品の概要に従って図面を作る。作られた図面は金型設計者にわたって、製品の金型が作られる。営業が販売計画を立てる。販売計画にもとづいて生産計画を立てる………

それぞれの機能はそれぞれの専門性が必要ですが、単体では成果すなわち売上にはなりません。
情報は必要な人に渡してこそ価値があるんですね。

まぁ、当たり前ですが。

この情報を持っている人、情報が必要な人を発見して結びつけるのが、仕事上の HUB の役割。
これが出来ると、圧倒的な存在感を出すことが出来るようになります。

当然、会社組織である以上、定型化された業務では、誰にどの情報を渡すかなんてわかりきってます。
商品企画が金型屋に商品コンセプトの資料を渡しても何も起きませんから。

しかし、定型化された業務以外だと、案外困るひとが多いんですよ。
だって業務指示書にはそんなことは書いてない。

たとえば、「こういう形状はどの程度の精度で出来るのか」「IoTで人の動きをセンシングしたい」とかいうことで悩んだら、誰かに相談しないといけませんよね。それは直接的な業務ではないですし、その知識がある人が誰なのかわからないと相談のしようもないわけです。

こういう時に、その知識のある人を紹介してくれる力があるのが、仕事上のハブになる人。


★P115(59)〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

●顧客とは「フアーストコール」を受ける関係を目指す
お客様とのやりとりにおいては、こういう関係はいいなあ、と思える経験を私自身、持っています。

日産自動車時代、最後に配属されていたのが、財務部だったのですが、取引先のある銀行の担当者が、こんなふうに言われたのです。

 「ファーストコールを受けることを目指しています

つまり、何かわからないことがあったり、相談したいと思ったりしたときに、真っ先に電話がもらえるような関係を作る、ということです。
 :
 :(中略)
 :
さまざまな取引先がある中で、フアーストコールがもらえるほどの信頼関係が、お客様とできているか。それは、部下の仕事力を知る重要な情報のひとつだと私は思っています。

岩田松雄(著) 『「君にまかせたい」と言われる部下になる51の考え方
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情報のハブになっている人は、「ファーストコール」が受けられる人なんでしょうね。
この銀行員の人がその後、何をしてどうなったのか、ちょっと知りたかったりします。

■ハブの条件


仕事上のハブになれる人というのは、本書『「君にまかせたい」と言われる部下になる51の考え方』にかかれているように、ファーストコール受ける人だと思います。「困った」と思った時に、「とりあえずあの人に聞いてみたら…」と最初に思い出して貰える人。

こういう人は、どういう条件を揃えているかというと

 ・幅広い人脈を持っている
 ・相談する人の業務をある程度のレベルで知っている
 ・相談しやすい雰囲気を持っている
 ・知識範囲が広い(博識)
 ・最後まで面倒を見てくれる(うざくない範囲で)

ことではないかと。

一度、いろいろなことを相談を受けるようになると、それによってさらに関係情報や関係者に顔が売れ、顔が売れるようになると、また相談を受けることが増えるという正のループが回るようになります。

それによって、関係者感における影響力が増大します。
結果、ある程度の地位までは簡単に昇進できるようになります。

これら条件の中で、最初の一歩として必要なのは、「相談しやすい雰囲気」と「最後まで面倒を見てくれる」です。あとは、それを繰り返すことでついてくるものです。

誰かから何かの相談を受けた時に、「今忙しい」みたいに言えば、もう相談は来ません。

 「ん?どうしたの? 何か困りごと?」
 「わかった。自分じゃわからないのでちょっと分かりそうな人を探してみるわ」
 「そういえば、この前言ってたやつ、解決できた?」

の3語が使えるだけで、情報のハブになれる可能性を持っています。
それをコンピテンシーにまで成長させれば、どのような会社、どのような組織でも役に立つ能力に昇華できると考えます。




■参考図書 『「君にまかせたい」と言われる部下になる51の考え方

ベストセラー『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』の著者岩田松雄氏の上司から信頼される部下になるための必須の51ヶ条。

 「上司といまいちウマが合わなくて……」
 「上司への報・連・相の仕方がよくわからない」
 「うまく上司をコントロールして、仕事を上手に進めたい」

こんな風に思っている方もいるかもしれません。

ザ・ボディショップやスターバックスのCEOを務めてきた著者も、もちろんかつては部下だった時代がある。

上に登っていく人は、実力を社内に示すだけでは不足で、上司からの信頼を勝ち取ることが必須。

著者が部下時代にどのように仕事や勉強に向き合っていたか、そして上司としてどういう部下なら引き上げたいと思うのかの本音がまとめられています。




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「君にまかせたい」と言われる部下になる51の考え方
著者 :岩田松雄

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●本書を引用した記事
 上司の指摘は積極的に改善する
 いい話なのか、悪い話なのか、最初に言う
 採用される意見のコツ
 同僚を持ち上げると評価が上がる?
 上司は部下の強み、弱みをよくわかっている
 ジョークのなかに本音がある
 「頑張った私」は言わない
 ファーストコールを受ける窓口になる



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