人は自分の味方になってくれる人には冷たくすることはありません。
もちろん、味方になったふりをしてハメてやろう、とする人はいるかもしれませんが、経験的には少数派。
※いないとは言えませんが。
★P87〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
フィラデルフィアに住む C・M・ナフルという男が、ある大きなチェーン・ストアへ数年来石炭を売りこもうとして一所懸命だった。
そのチェーン・ストアでは燃料を市外の業者から買い入れ、そのトラックがいつもナフルの店の前をこれ見よがしに通っていた。
ある晩、ナフルは、わたしの講習会に出席して、チェーン・ストアに対する日ごろの憤想をぶちまけ、チェーン・ストアは市民の敵だとののしった。それでいて、彼は売りこみをあきらめていたわけではなかった。
わたしは、何か別な策を考えてみてはどうかと彼に提案した。
その話を簡単に説明すると、こうだ。
すなわち、講習会の討論の議題として、"チェーン・ストアの普及は国家にとってはたして有害か" という問題を、われわれは取りあげたのである。
ナフルは、わたしのすすめで、否定の立場をとった。
つまり、チェーン・ストアを弁護することを引き受けたのである。
彼は、日ごろ目のかたきにしていたチェーン・ストアの重役のところへ、さっそく出かけて行った。
「きょうは、石炭を売りこみにきたのではありません。別なお願いがあってきました」。
彼はそう前おきをして、討論会のことを説明した。
「実は、チェーン・ストアのことについて、いろいろと教わりたいのですが、あなたよりほかに適当な人はいないと思いましたので、お願いにあがったわけです。討論会にはぜひとも勝ちたいと思っています。ご援助をお願いします」。
以下、ナフル自身のことばを借りて述べよう。
わたしは、この重役に、正味一分間だけ時間をさいてもらう約束だった。
面会はその条件で許されたのである。
重役はわたしに椅子をすすめて話をはじめ、1 時間と 47 分、話しつづけた。
彼は、チェーン・ストアに関する書物を書いたことのあるもうひとりの重役まで呼んでくれた。
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:(中略)
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用件がすんで帰ろうとすると、彼はわたしの肩に手をかけ、ドアのところまで送り出しながら、討論会で勝つようにいのっているといい、さらに、その結果をぜひ報告しにきてくれといった。
「春になったら、またいらしてください。石炭を注文したいと思いますから」。
これが、別れぎわに彼が口にしたことばだった。
わたしは、奇跡を目のあたりに見たような気がした。
わたしが何もいわないのに、彼のほうからすすんで石炭を買おうというのだ。
わたしの店の石炭に関心を持たせようとする方法では十年かかってもやれないことを、彼の関心のある問題にこちらが誠実な関心を寄せることによって、わずか2時間でやってのけることができたのである。
デール・カーネギー(著) 『人を動かす』
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凄くシンプルな作戦です。
まあ、実際の仕事の場面で、ここまでうまくいくというのはちょっと出来過ぎでしょう。
一方で、考えてみれば、
私は、あなたのやり方に反対です。
あなたを攻撃したいと思うのでウイークポイントを教えて下さい
とか、
これは私にメリットがたくさんあるので、やってください
あなたにメリットはありません
と言っても、相手はやってくれないでしょう。
ちょっと極端な例ですが、案外、これに近い言い方をしている人はいますよ。
そんな人に自分の時間を潰してまで、胸襟をひらいて話をしたり、仕事をしてあげたりする人はいませんね。
少なくとも私は、●ツの穴がちっちゃいので、「お話することはありません。忙しいので、これで」と言ってタバコでも吸いに行きます。
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