過去の記事で、「ノートを書くこと」や「メモすること」の手法について、いくつか書いてきました。
メモ術の極意
ベストノート術2012
メモは簡潔がいい?詳細に書く?
端カットメモ
高速メモの技術1
高速メモの技術2
高速メモの技術3
図読(図解読書)する
付箋紙
手帳を読む習慣をつける
常にテキストエディタを起動しておく
日誌はテキストファイルに書く
まあ、それぞれの技術は、関連書籍や Web などを参照していただくとして、なぜ、ノートやメモを書く必要があるのかについて、考えてみたいと思います。
■記憶と記録
よく言われるのが、記憶というのは、学習忘却曲線で表わされるように、すぐになくなってしまうので、それを外部記憶として記録をしておくべき、という話です。
つまり、記憶するためには記録する、というもの。
でも、打ち合わせなどでノートに人の発言を記録している人って、下を向いていて、発言者の顔を見ていませんよね。
一生懸命記録を作っている人ほど顕著。その上、書くことが多い人って発言が少ない。
…なんのために、ここにいるんだろう?
と思っちゃう時があります。議事録係?
コミュニケーションは、双方の発言のやり取りで成り立つものですし、バーバルよりノンバーバルのほうが圧倒的に情報量がおおいのに、ノンバーバルを全部捨てちゃってる。
で、さらに、あとで、「あの時、○○さんが▲▲って言っていて…」とか振られると、「そうでしたっけ?」。
…なんのために、一生懸命書いていたんだろう?
になっちゃうとか。
■引き出せない記録は役に立たない
使えない知識は、いくら多く持っていても意味がありません。
九九を暗記していても、足し算引き算ができても、150円のものを5個買って1000円払ったら、いくらお釣りが来るかを電卓に頼るようでは、九九を知らない人と差はないわけです。
議事録であろうが、講演録であろうが、はたまま読書記録であろうが、あとから必要なときに引き出せないなら、書くだけ時間の無駄。そんなくらいなら、相手を見つめてたり、頷いたりして、相手が気持ちよく喋ってくれるようにしたほうが、よっぽど役に立ちます。
極論ですが。
■予習をし、その場で覚える気で必死に聞き、復習できる環境を作る
学生なら、先生の言うキーワードや重要なポイントをノートにとったり、教科書にマーカーをして復習のための手がかりにします。
記憶レベルのテストがあるので、きちんと記憶しないとテストに合格できません。
でも社会人にはテストはありません。
つまり、あとでそのことを覚えていたかどうかは、だれも評価してくれません。評価されるのは覚えたことを実務で使ったかどうかです。
ようは、相手の言ったことを正確に覚えようと覚えまいと、「ダメじゃん」と言ってくれる人も機会もないんです。
で、本題に戻ると、ノートを取ろうが議事録を書こうが、それを理解して記憶することをしないと意味が無い。
手段に夢中になってはいけない、ということです。
そのためには、認知科学で言われるように、いつでも引き出せる記憶にするためには
・予備学習をする
人は知らないことは覚えられない
・体で覚える
頭で考えるのではなく、書く・話す・聞くなどの体を使う
・経験する
その知識をどう使うかを考え、実際に使ってみる
・繰り返す
なんどもその知識を出し入れする、上記の3つを繰り返す
ことの一連のプロセスの中の活動のひとつとして、「書く」ことがあるわけです。
■振り返り、応用を考える
以前の記事
手帳の使い方全体像
学習成果を出すたった2つの方法1
学習成果を出すたった2つの方法2
3つの習慣part1
で書いたように、あるキーワードを中心にしたゲシュタルトを形成することです。
だからノートに誰かの発言を書いたら、書いたことで満足するのは論外ですが、それを調べる、書き写す、まとめ直す、実際に使ってみるといったことが必要です。
もし、それをやらないと思うのであれば、書く必要はありません。
その場で覚えてしまうために、相手の言うことに集中して聞き、解釈をして、完全に腹に落ちるまで質問や確認の発言をしたほうが効果があります。
さっき書いたノートは、目的が達成できる使い方をしてますか?