後悔先に立たず、後にも役に立たず








■後悔は前もってはできない


後悔先に立たず」といいますね。後からわかったことが、先にわかっていたらやってないので、そういう失敗自体発生しません。
当たり前のことです。

ところが、その後悔って、役に立つかというと実際役に立った経験は記憶にありません。

たとえば、

 自転車に乗ってたら雨が降ってきて、スリップして転倒した

みたいなときに、

 「あの時、自転車を使わずに歩いていけば…」
 「あそこにゴミが落ちてなければ…」
 「もっとゆっくり走っていれば…」
 「あそこの道を通らなければ…」

なんて後悔をしても、じゃあ次から自転車を使わなくなるかというと、コケて壊れた部分を修理してでも使いますよね。
で、そのうちまたコケる。

「後悔」に使う理由は必然を含む理由だからです。

簡単に言ってしまえば、自転車でコケた理由は、「コケる」という現象に向かって、様々な因果関係がからみ合って起きてます。

 ・急ぎの用事を思い出した
 ・車では行きにくい場所に行こうとした
 ・健康的な生活を旨にしていた
 ・自転車を買ったばかりで乗りたかった

どれかひとつが原因ではない。様々な選択が絡みあった結果に過ぎません。




■後には役に立たない


このため、後悔しても、特定の要因を除けば再発防止が出来るということはありません。

よく、仕事で「振り返り」と称して、「こういう問題があったから、つぎから起こさないようにしよう」みたいな話になるときがありますが、

 問題の原因を起こさないようにしても問題は発生しなくならない

です。同じ問題現象ではないかもしれませんが。

これは TOC を勉強した時に気がついたのですが、ある「好ましくない事象」は、ある「実行すべき行動」と「その時の環境・状況」の複雑な組み合わせで発生します。TOC の思考プロセスは、それをある程度単純化していかないといけないのですが、全ての状況を完全にクリアできるわけでもありません。

先の例で言えば、「自転車に乗った」という根本原因を考えたとして、自転車に載らずに自動車に乗ったら、次は交通事故でもっとヒサンになるかも。

もちろん、成果を出そうとしているときに、阻害要因があれば成果は出せないので、

 阻害要因 = TOC思考プロセスにおける「根本原因」

を取り除くことは必要ですが、それで完璧にはなりません。

後悔しているときって言うのは、TOCみたいに論理的に考えてるわけでもなく、直感と感情で判断しているので、たいていその根本原因の仮定すら間違っているので、もっと役に立たない。

結局、後悔は、後にも先にも役に立たないということかと。

■後悔ではなく改良を施す


サッカーの試合で、1-2で負けた。自分のパスがカットされて、そのままゴールされて決勝点。
みたいになると、もう後悔の嵐です。

もう夜中に何度もフラッシュバックします。

 あのとき、安易にパスを出さなければ…

でも、パスカットされない試合なんて、プロと子供がやらないかぎり起きえません。だから、「パスしない」という選択肢は、現実問題ではないわけです。

 あの時、××役員に出したメールの文言にもっと気を使っていれば…

気持ちは十分わかりますが、メールの行き違いや失言なんてゼロにはなりません。
※確率は下げられますよ。いろいろな方法で。

■肯定行動をする


それよりも、相手より多くの得点が取れるように攻撃力をあげようとか、役員が文句を言いようのない大きな成果になるようなプロジェクトを検討しようとかの方向に改善をしたほうが結果がついて来ます。

 否定行動の「××しない」より肯定行動「××する」

のほうが行動が伴います。

ましてや「あのとき××しなければ」みたいな「過去の仮定」は意味がありませんね。変えようがないんだから。

まあ、それでもやっぱり嫌なことってフラッシュバックします。
忘れようとするのではなく、新しい行動を起こして上書きしちゃうのが後を引く期間を短く出来るかもしれません。




■同じテーマの記事

予定ない予定

サラリーマンをしていると、私事としていろいろやりたかったことややりたいことなどが溜まっているので、週末に「あれをやろう」「これをやろう」と考えがちです。特に連休などがあると、「3日あるのだから、××ととと…」などとつい考えてしまいます。ところが、休み中というのは、家族の都合や、「まぁ、明日もあるし…」などと案外いろいろあって、やろうと思っていたことができないことも少なくありません。そうすると、明日から仕事という日の夜になって、「××をやるはずだったのに…」とち..

行動科学で人生を変える

「今年は毎日をしよう」と決めたのに、なかなか続かない。多くの人がこういった悩みを抱えているのでしょう。私もその一人ですが。本日は「なかなか行動に移せない」「三日坊主で終わってしまう」といったことをやれるようにするためにどうしたら良いかという点を科学的に解説した本の紹介です。「行動科学」というそうです。本書で続けるということに対して、ABC分析がたしかに有効であることはすごく納得できます。ただ、本書を読みながら今ひとつわからなかったのが「ご褒美」という考え方でした。..

失敗を恐れず、発言の機会を求めよう

他人との交渉や会議などでなにか発言するというのは、結構緊張します。とくに自分よりも職位が上の人とかが多いような会議だったり、初めて合う人ばかりの会合だったり。こういう場では、あまり発言はしたくないですね。自分が進行役だったり、自分がよっぽど不利になるとか、影響が大きいような場合はやむを得ませんが…発言がスムーズにデキる人になりたいただ、「黙って座っているだけの人」になりたいかと言われるとそんな事はありません。まあ、..

会議が失敗する理由

会議の一つの形態である「ワークショップ」と言うものがあります。日本では「体験型講座」みたいに理解されてますが、本来はプロジェクトにおける関係者の合意とコミットメントのための仕組みです。本書『レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング』では、ワークショップについて、「ワークショップが失敗する理由」が書かれてますが、ここで言う「ワークショップ」は後者の意味です。会議が失..

仕事のプロセスの教科書3:要約2

久しぶりのビジネス書紹介。いい意味で、「期待はずれ」の一冊でしたので、いつかご紹介したいと思っていた本のご紹介をしたいと思います。本日は、本書『「仕事のプロセス」の教科書』の要約をお送りします。長くなるので分割してお送りしてます。その第2回「とにかく頑張ります」病努力で何とかしようとする人問題分析のブロセスでは、まず、行動する前に「考える」という時間を設けます。この時間で自分の方法を..

業務報告書は業務中に書く

出張報告から1年間の実績シートに至るまで、およそ報告書というものは、仕事が切りになってから書く人が多いようです。私の知る範囲では、1年間の実績面談の時に使う実績シート(会社によって名称はいろいろみたいですが、実績面接の時に今年度の成果についてアピールするレポートです)も、面接間近になってから書いている人がほとんど。でも、そういう最後にまとめて書いた資料って、インパクトがないんですよね。書いている本人も、読む人ももう過去の話なので、詳細はすっかり忘れてしまっています。そ..




posted by 管理人 at 05:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | プロセスマネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック