よくドラマなどで、他人の成果を奪うような上司がいますよね。
ドラマだとたいてい最後にはその人は足をすくわれてひっくり返るのですが、現実はそうはなりません。
うまくやれる人は、結局うまくやるし、他人に搾取される人はどこまでも搾取される人のまま、というのがありがちなパターン。
このパターンにどうして陥るのかというと、上司からの部下指導の賜物だとおもっています。
■部下を殺すな
部下が大きな成果を上げた時、会社としては、それは上司の手柄でもあります。それはその部下にそういう仕事をさせた、そういう成果を上げるような指導をした、という意味において。
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あなたの部下が大きな仕事に成功したとしましょう。
あなたはその人を賞賛します。そんなことが何回も続くと、周囲からの評価が高まり、あなたはポジションを奪われるのではないか、と思いがちですが、結果はそうはなりません。
あなたの指導が評価されて、あなたも昇進するのです。
上司の仕事で最も大切なことは、「自分より優秀な部下を育てる」ことです。
係長が課長になれるのは自分に代わる係長を新たに育てたからですが、課長が部長になれるのも同様に、いままで自分が担当していた課長の仕事を任せられる人間を育てたからに他なりません。
中島孝志(著) 『仕事ができる人の「しないこと」リスト』
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これは、自分をトップとする組織内においては、おそらくその通りです。つまり、自分の部下が成果を上げていけば、自分のチームとしての成果も上がることになり、結果として自分の評価も上がります。
しかし、会社は多くの部署から成り立っているので、成果を上げることができる優秀な社員は、そちらの部署に移動することもできます。
移動して、そこで自分と同じ役職をもらうわけです。
そうすると、トップの部下を引きぬかれた部署は業績を落とし、トップの部下が「長」になった部署は成果を出し始めます。
気が付くと、部下だった人がいつの間にか同僚になり、さらに巡り巡って自分の上司として帰ってくる。
でも、優秀な部下を育てなければ、仕事の成果は上がらないので、もし昇進が仕事の目標であるなら、これは結構なジレンマです。
先輩・後輩の関係も同じ、というかこちらのほうが端的に差があらわれます。部門を移動しなくても、上司から見て後輩のほうができるようになれば、後輩が先に昇進・昇格していきます。
より多く会社に貢献した人が評価されるのは正しいことだとは、理屈ではわかりますが、自分が追い越される立場になってみると、決して心躍るシチュエーションではありませんね。
■ある面で自分より優秀な部下を育てる
本書にある
上司の仕事で最も大切なことは、「自分より優秀な部下を育てる」こと
というのは、前提が抜けてます。
自分が部下にはないスキルを発揮できる状況にあること
です。自分と全く同じスキルを持った部下がいて、そのスキルレベルが自分より上であれば、立場はやがて逆転します。
過去記事
魚の捕り方
で書いたように、部下には全体の仕事のうち、ある特定の部分について優秀になってもらうのが自分を活かしつつ、成果を大きくするポイントかと。
つまり、本書の言葉をちょっと補うと
上司の仕事で最も大切なことは、「特定の分野では自分より優秀な部下を育てる」こと
であり、自分のノウハウを分割して、部下に専門化させることが組織としての成果を大きくしつつ、自分の立場を維持する方法かと。
■何を強化し、何を移譲するのか
部下や後輩を教育、指導するときに、自分のすべてを渡すのは、定年になる時はいいかもしれませんが、それまでは、
彼には「××という面」に通じてもらおう
というふうに自分が教えるべきスキルを限定して、分業化することです。
それにによって、後輩自身も学びやすくなりますし、教える側としても教えやすくなります。専門化すれば、それだけその能力を深め、同時進行で仕事ができるようになるので、組織としても高いパフォーマンスを発揮できるようになります。
自分のクローンを作ろうとしても無理ですし、危険です。
■参考図書 『仕事ができる人の「しないこと」リスト』
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●本書を引用した記事
わかりやすく書くコツ
遊びの時間を作る
予定を決めたら簡単には動かしてはいけない
不平不満は聞く耳持たぬ
同僚の成功をよろこぶ
言うべきことは言うべきタイミングまで待つ
しないことリストがあなたの生きる武器となる
後輩を優秀にする
人を呪わば穴二つ
嫌いな人がいる職場
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