付加価値を意識する




おそらく、多くのサラリーマンが残業する理由というのは、ざっくり言ってしまうとこういう理由です。

 今日、やる予定だった仕事が終わらなかったので残業して片付ける

しかし、もう一つの理由があります。

 残業をすると給料が増える

ことです。

基本的に、管理職は残業しても給料は増えませんが、一般職については、時給で換算すれば、通常の勤務時間よりも残業時間のほうが何割かは時給は高くなります。




■残業を肯定する経営者、否定する経営者


だいたいの経営者は残業に対しては肯定的なイメージを持っていません。まあ、当然ですが残業が増えれば、人件費が増えて利益が減るからです。それを上回る売上があれば相対的にはいいのでしょうけど。
経営者が残業を肯定する場合は、以下のような場合だそうです。

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●社長は残業に対してだんだん否定的になっていく
経営者は会社の創業当初は残業に対して肯定的ですが、だんだん否定的になっていいきます。

最初は「残業、頼むよ」と社員にお願いしていたのに、やがて「無駄な残業はするな」と注意するようになるのです。

それには理由があります。

仕事が増えてくると、人手が足りなくなってきます。しかし、だからといって社員を 1 人増やすことはしません。1 人分の仕事が長期にわたってあるかどうかわからないからです。

今いる社員に残業させようとするのです。「残業、頼むよ」とお願いします。すると、社員は残業代の分だけ収入が増えます。それを一度経験してしまうと、収人を増やすために残業をするという問違った方向に行きがちで、生産性の低い働き方をするようになるという弊害が起きてしまいます。

1 時間でできていた仕事を 1 時間半かけてこなす、といったように時間だけを延はそうとするのです。

その状況と残業代の多さに驚いた経営者が、「何でそんなにタラダラ什事をしているんだ。無駄な残業はするな。さっさと帰れ」と怒るわけです。

松本順市(著) 『社長は君のどこを見て評価を決めているのか?
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なるほど、イメージは分かりますね。

サラリーマンにとってみれば、給料が増えるのはいいことで、効率的に仕事をするより、だらだら仕事をしたほうが給料が増えるのなら、そっちのほうがお得。

一方で経営者から見れば、人件費が増えるので、利益が減る。だから残業はさせたくない。

しかし、当初「残業、頼むよ」と言っていた時期はどうだったかというと、残業代を上回る売上の向上があったので、残業を推奨(?)していたということです。




■残業時間は付加価値を意識する


今日中にやらないと、結果を出しても意味がなくなってしまうようなものは、どのような状況であろうとやらざるを得ません。

でも、実際にはそういうシチュエーションは少なくて、「期限今日まで」と言われたような仕事でも、「ごめん、明日の午前中まで待って!」と言えば、期限を伸ばしてもらえるもののほうが多いのではないでしょうか。

それを生真面目に、期限を守ろうとすると、その仕事がどのような付加価値であっても(例えば出張精算書、会議の議事録)、残業時間を使ってでもやらなければならなくなります。

一方で、部門の大方針に関わるような仕事、あるいは売上に直接貢献するような仕事であれば、1日早く仕上げれば、それだけ多くの利益をもたらすことができるかもしれません。

後者なら、経営者も残業に対して、否定的に受け取ることはなくなるのではないかと思います。

もちろん、そんな仕事が月に 100 時間もあるとは思えないでしょうけど(通常の勤務時間でこなしきれない分として)。

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残業代というのは、残業することによって粗利益が獲得できるから出せるのです。

当然、残業代は就業時問内に働くよりも割増なので、就業時問内よりも生産性を上げて、粗利益を出さないと、会社には利益が残らなくなってしまいます。

本来であればこのことを経営者は社員によく説明しなければなりません

社員も、「残業して今の収人を増やそう」などと悪魔のささやきに耳を傾けてはいけません。

「これだけの利加価値を出そう」「時間を短縮しよう」と考えて残業すること。そうしないと、生産性の低い仕事の仕方をするようになって自分の能カを下げてしまいます。

そうなったら、なかなか元には戻せないので、自分のために気をつけた方がいいのです。

しかも、付加価値を獲得できない残業を増やすと、会社の利益が減るため、昇給・賞与が減る可能性が大いにあります。

定時で仕事を終えて昇給・賞与が多いのと、残業をして残業代は増えるけれど男給・賞与が少ないのと、どちらを選びたいですか。

松本順市(著) 『社長は君のどこを見て評価を決めているのか?
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残業時間というのは、会社として一定の枠は見込んでいるはずのものです。

しかし、ここに共有地の悲劇が発生します。

その共有地に生えている草をたくさん食べさせたほうが牛は太ってより高く売れますが、みんながそう考えると、やがて草地は荒れ地になります。

■残業を申請するときには、付加価値が高い仕事を目的にする


上司に、

 「今日は残業をします」

と逐一報告をしなければ残業は認めない、という会社もあるみたいです。

こういう時に、その理由として「(明日でもいい)議事録がまだ書けてません」というよりも、付加価値の高い仕事のほうが上司としても残業を許可する理由として納得しやすいのではないでしょうか。

「部方針の××プロジェクトの進捗をまとめて、課題を明日の朝までに報告します」とか。

緊急性と重要性の高い仕事も許可しやすいですね。「××でトラブってまして、すぐ解決しないと生産に影響します」みたいなのが強力ですね。こちらは、納得以前に「やむを得ない」という判断でしょうが。

当然、残業した以上はその時間内で、結果を出せなければ、「なんだ、明日でも良かったじゃん」と言われてしまいますがね。




■参考図書 『社長は君のどこを見て評価を決めているのか?





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本書でお伝えしたいテーマは、ずばり「社員が知らない、評価と給料のホント」です。

あなたは会社に対して、こんな不満を持っていませんか?
「頑張っているのに給料が上がらない。どうして認められないのだろう……」
「自分よりも業績を上げていない同僚が出世していく。ダメなあいつのほうがなぜ!?」
よほどの大企業でない限り、それらはすべて「社長の評価」で決まるのです。
そしてそれを知っているかどうかで、あなたの会社人生は決まります。





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著者 :松本順市

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●本書を引用した記事
 自分の評価を知る方法
 社長は君のどこを見て評価を決めているのか2
 社長は君のどこを見て評価を決めているのか1
 若いアタマを維持する1
 勉強好きはどのように昇進・昇格に影響する
 付加価値を意識する
 問題を報告してはいけない。行動を報告しなさい
 調査したら満足するな
 すべてのスキルを育てる技術
 評価されるポイント

●このテーマの関連図書


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posted by 管理人 at 05:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時間マネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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