▼字型スキルを持つ




 「幅広い視野と高い専門性

企業の人材要件として、こういう言い方をされます。別名「T字型人材」。

それはできるに越したことはないですが、それは企業としての要求であって、求められる側の人間としては、「それってどうよ?」と思わざるをえないところがあります。

■会社の求める専門性

もちろん、サラリーマンとしては、視野は幅広く持たないと、いろいろ都合が悪いです。

部下より上司の方が通常の場合は視野が広いことが要求されるので、昇進要件として「視野が広いこと」というのは必要でしょう。
つまり、「視野」に限って言えば、上司のニーズは、頑張って勉強・成長しようと思うだけの価値はあります。

一方で、専門性について考えると、特定業務に対しては特定の専門性は必要ですが、もしその業務がなければ、その専門性は必要ないわけです。

たとえば、私の業務で言えば、部下としては、「プログラミング能力」「仕様検討能力」みたいなものが必要なのですが、会社として「プログラミングは外注化する」と決められてしまえば、その人は途端に存在意義を失います。

要は「T字型人材」で専門性を持った時点で、その人が重宝されるのは、その会社がその専門性を必要とする限りという制限事項がついてしまうということです。

いまどき10年20年と同じ分野で活動できる企業というのは少なくて、どんどん企業の活動分野が狭くなり、頻繁に活動分野が移動するようなご時世では、明日「もうこの分野は撤退するよ」と言われてしまえば、そこにしか専門がない人はお払い箱行き。

会社の求めに応じて、専門性を磨いていくと、ある日突然、

 「君の専門性はウチでは役に立たないので、どこか別の会社で幸せになってくれ

と言われたりするはめになります。
※ちょっと極論です。普通はここまで極端なことはないでしょう。
※今の専門性が役に立たない部署に移動になって、成果があげられなくなって…、はあるかも

会社はいざとなれば変わり身は素早くないと、潰れちゃいますので。

■専門性を特化し過ぎない

いまの仕事で成果を上げていくことももちろん重要です。
そのためには、その仕事で成果をあげられるような専門知識をつけることが必要ですが、度が過ぎると取り返しがつかないことがあります。

ある程度の業務知識や専門知識が身についたと思ったら、それをより深めていくのではなく、幅を広げていくことを主眼においたほうが、サラリーマンとしては将来のためになります。

つまり、T型人材ではなく、▼型(逆三角形)人材をめざして勉強したほうが、自分を守ることができるようになります。

■複数の専門性をそこそこレベルで持つ

私の理想形は

 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

こんなふうにあちこちの分野にちょっとづつ実用になる知識と専門性を持っていること。

そのためには、今いる部署だけでなく、「となりは何をする人ぞ?」という興味をもつことと、仕事に直接関係なくても「勉強してみる」というスタンスが必要だと思ってたりします。

一番身につくのは、隣の部署の人の仕事を手伝ってあげること。自分の今の専門性が生かせればもっといいです。
感謝された上に、別の仕事のやり方(=専門性)が身につきます。一石二鳥。

トシを取ってからの経験したことのない部署への異動はきついですからね…。

■抽象化された専門性

もう一つの手段は、ドラッカーなどが言う「学習する能力」みたいに、

 新しい知識を学ぶこと

を得意とすることです。これはどんな分野にも応用が効きます。トランプで言うジョーカーみたいなもの。

ただし、これ自体は会社は評価してくれません。学んだことを発揮して成果にしないと評価をしてもらえないので、少々難しいですが。


◆このテーマのおすすめ図書



日本教師教育学会年報〈第25号〉教師の育ちと仕事はどう変わるのか―専門性・専門職制のゆくえを考える

臨床心理士の仕事の方法―その職業的専門性と独自性

精神分析というお仕事―専門性のパラドクス

語学と専門性を活かしてホテル・ブライダル・トラベル・通訳・エアライン・貿易・国際協力の仕事につくには〈2008年度版〉

ベナー看護実践における専門性:達人になるための思考と行動

「仕事ができるやつ」になる最短の道



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