魚の目―フローを見る力3:慣性の視点




前回の記事で、「魚の眼―フローの視点」を身につけるためには、「3つの作用を見るといい」と書きました。

 ・作用と反作用
 ・慣性
 ・貯めと開放




この3つが掛け合わさって、殆どの出来事が起きてます。

前回は「作用と反作用」について説明しましたので、今回は「慣性」の視点について。

■慣性


「慣性の法則」といえば物理学の世界ですが、人間組織にも、あるいは個人にでも慣性はあります。

毎日同じ電車に乗って、同じ席に座っているなんて、惰性そのものですね。

大きなお話で言えば、日本の有名電機メーカーが、いまだに白物家電、もっと広く言えば「ものづくり」にこだわっているのもそうなのかもしれません。世界は「シェア」や「フリー」が拡散しているのに。

私も含めて、大抵の人には、「やっていて気分のいいこと」みたいなものがあります。
あるいは、「居心地の良い場所・立ち位置」みたいなもの。

よく知っていることなどは、安心感があるのですよ。

だから、たいていの物事は、何かの延長線上にあります。
断層ができるということはあまりないんですね。

昨日までやっていたから今日もやる。

前任者がこうやっていたから、そのようにする。

これが慣性の法則です。




■慣性の法則を利用する


多くのことは、始めるのはけっこう大変です。

「やるぞ!」と思わないと初められませんから。でも、初めてしまえば案外スムーズにコトが進みます。

たとえば、「読書をする習慣を付けたい」と思っても、直近1年で本を読んだことがない人にとっては、「本屋に行って本を買う」という行為すら、大変な決断がいるわけです。
一方で私みたいに年に「100冊は軽く…」みたいなタイプにとっては、毎週図書館に行ったり、新刊案内を見たりするのは、単なる普通の習慣です。逆に、土曜日に図書館に行けないと、どうにも週末という気がしない。みたいにちょっと中毒気味になるわけです。

会社でも同じで、たとえば、会社内で新聞記事の回覧がある部署では、「面倒だし誰も読まないのでやめよう」という人は多分少なくて、だらだらと続いているだけなのではないでしょうか。最初は崇高な目的があったはずなのにね。

慣性の法則を利用すると、ある好ましい習慣を継続することができるようになります。最初は目的や目標を決めて、やり方を検討し、改善するみたいな、「考える」作業が必要ですが、パターンが決まってしまえば、「考えなしに作業だけ継続する」ことができるようになります。それで、初期の目的が達成できるのかどうかは別ですが。

■慣性には負荷を考慮する


永久運動を続けるためには、運動に対する負荷抵抗をゼロにしないとやがて止まってしまいます。
ボールを投げるなら、宇宙空間なら無限の彼方まで投げられますが、地球上では、地面に落ちて止まってしまいます。

通常は、どんな習慣でも何らかの負荷はあるので、ちょっとづつガソリンを追加してやらないと、習慣はなくなります。

どんなガソリンを追加してやるかは、どんな運動を続けたいのかによって、あるいはその環境によっていろいろですので、こういうのを最初に工夫に入れておかないと長続きしません。

私のこの記事は、読者数(訪問者数)がガソリンになってたりします。
ぜひ、また次回も読んでくださると励みにったりします。




■参考図書 『全脳思考





立ち読みできます立ち読み可
神田昌典、7年ぶりの書き下ろし本格ビジネス書!
多大な影響をビジネスに与えてきた経営コンサルタントの、10年間が凝縮された思考テクニックを遂に公開!

クオリティの高い思考を行い、顧客や同僚、そして自分自身の期待を超える企画・提案ができるようになるためにはどうしたらよいか? シンプルな1枚のチャートを使った本書の方法を実行することによって、たんなる時間の無駄ではなく、「行動する思考」「結果を出す思考」を生み出す。

500ページ近くもの大作でありながら、ページを捲るごとに・・・、脳からウロコが落ちる、快感の連続。

本書で扱っている「全脳思考モデル」は、本当にシンプルでありながら、ロジカル思考の限界を突破する発想が、特別なトレーニングをしなくても誰でも、生み出せるようになる。知識創造が決め手になるこれからの時代において、必須の方法論になるだろう。

本書で著者が公開した新概念・新理論の例(一部)

 ・知的蟹工船
 ・アトラス世代
 ・指名検索 vs 比較検索
 ・CEOがCNOになる時代
 ・営業しなくても顧客が集まる新原則 ― SSC
 ・自己投影型消費
 ・出会いの深層背景
 ・創造的問題解決法「CPS」
 ・シナリオ思考
 ・スピーチの結晶
 ・エレベーターの原理
 ・マネジメントの桃太郎理論・・・等々、多数。





◆アマゾンで見る◆◆楽天で見る◆◆DMMで見る◆

全脳思考
著者 :神田昌典

全脳思考
検索 :最安値検索

全脳思考
検索 :商品検索する



●本書を引用した記事
 魚の目―フローを見る力1:3つの力を理解する
 魚の目―フローを見る力4:貯めと開放、3つの力を活用する
 魚の目―フローを見る力3:慣性の視点
 魚の目―フローを見る力2:作用と反作用の視点

●このテーマの関連図書


ストーリー思考---「フューチャーマッピング」で隠れた才能が目…

バカになるほど、本を読め!

成功のための未来予報

60分間・企業ダントツ化プロジェクト顧客感情をベースにした戦略構築法

あなたの悩みが世界を救う!―不条理な世の中を生き抜くための人生バイブル

[新版]あなたもいままでの10倍速く本が読める






■参考図書 『もっと使いこなす! 「システム思考」教本





立ち読みできます立ち読み可
何が「好循環の人」と「悪循環の人」を分けるのか?
具体例を中心に、
きっちり現実問題に応用できるようになる本。

ビジネス、社会、組織、個人の成長や進化に役立つ究極の方法――。

それがシステム思考です。

こんな「どうして?」にため息をつく方々のための実践的処方箋。
 ・どうして努力が実らないのか?
 ・どうしてある解決策が別の新たな問題を生み出すのか?
 ・どうしてつい他人を責めてしまうのか?
 ・どうして人は思うように変わってくれないのか?
 ・どうしていつの間にか望まない状態に陥るのか?
 ・どうして部下が育たないのか?
 ・どうして「できる人」ほど伸びないのか?
 ・どうして「いい商品」なのに売れないのか?
 ・どうして景気に翻弄されるのか?
 ・どうして過当競争の泥仕合に陥るのか?
など。





◆アマゾンで見る◆◆楽天で見る◆◆DMMで見る◆

もっと使いこなす! 「システム思考」教本
著者 :枝廣淳子/小田理一郎
楽天では見つかりませんでした
もっと使いこなす! 「システム思考」教本
検索 :商品検索する



●本書を引用した記事
 魚の目―フローを見る力5:3つの力を活用する
 魚の目―フローを見る力3:慣性の視点

●このテーマの関連図書


なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!シ…

世界はシステムで動く――いま起きていることの本質をつかむ考え方

マンガでやさしくわかる学習する組織

システム思考―複雑な問題の解決技法(BESTSOLUTION)

「学習する組織」入門――自分・チーム・会社が変わる持続的成長の技術と…

システム・シンキング入門(日経文庫)





■関連する記事

近道をする-その2

以前の記事で以下のことを書きました。どこの誰だったか忘れちゃいましたが、こんな事(記憶なので、間違いが多いかも)が書いてあるページを見た記憶があります。私は近道が大好きだ。何ごとも簡単にできるに越したことはない。私も怠け者は好きではない。努力は尊いものだということも理解している。だが、すぐそばにロープウェイがあるのにわざわざ自分の足で山に登って..

ButはBad

成長しない人立場上でも、経験上でも人にアドバイスするという機会が結構あります。アドバイスをすると、そのアドバイスが効果がある人とない人の2パターンがあります。もちろん、アドバイスの仕方も上手・下手があるのですが、アドバイスの本質はそれなりに有効なものだと思ってます。この差はどこから来るのだろうかということをちょっと考えてみました。表面的に見ると、アドバイスに対して効果がある人というのは、そのアドバイスを自分の中に取り込んで、今の課題を解決する方向に動きを変えていきま..

流れを見る3つの視点

以前の記事「9つの目の交渉術」の記事で、1.蟻の目ミクロの視点2.鳥の目マクロの視点3.魚の目フローの視点という3つの視点に基づく視野を持つことで、ものごと正確に見ることができる、というお話を書きました。本日は、「魚の眼フローの視点」を持つための思考方法をもうちょっと詳しく考えてみたいと思います。前後関係フローの視点というのは、ある出来事を時系列の中で捉えることです。たとえば、今日部長にえらく怒鳴られた。なんてことがあった時に、そりゃ失敗..

ももたろう理論

「ももたろう」から何が学べるだろうか?ひとつは本書のように、・行動哲学・リーダーシップを考えるきっかけになるかもしれないとは思います。まずおばあさんは川へ洗濯に行ってももを拾ってきます。まったくの偶然ですね。よくスポーツ選手が優勝した時「運が良かった」と表現することがありますが、運が良ければ私でもオリンピックで金メダルが取れるでしょうか。絶対無理ですね。運をつかむためには、その運をすくい上げるための力をつけておき、運が「流れ..

人事異動はチャンス

私の会社では、10月と4月に人事異動があります。今年も多くの人が移動で部門が変わったり、勤務地が変わったりします。あなた会社ではどうでしょうか?人事異動人事異動が発令される前には、その上司から本人に打診があります。昇進・昇格についてもそうですが、部門の移動や勤務地の移動(出向など)も、大体人事部と部門全体での調整が終わってから、本人には打診がありますので、ほぼ拒否はありえません。ところが、こういったことに対して多くの人は後ろ向きです。もちろん、あからさま..

出世階段の上がり方4:社内政治を知る

「出世階段の上がり方」シリーズ、最終回は「社内政治」についてです。社内政治というのなんだかドロドロしてるみたいですが、私は「社内における人間関係」みたいに考えてます。つまり、人間なので「付き合いやすい人」と「ちょっと苦手な人」がやっぱりいるわけです。で、当然ながら、上司であれ、社長であっても同じことです。それが結果として社内の発言力の違いになったり、暗黙のグループを作ったりするわけ。人間関係を知っておく職位が離れた..



■同じテーマの記事

成功の理由を問う

ようやく昇進・昇格面接も一段落しました。今年の面接でも気になった点をちょっとだけ。面接官が聞きたい事の本質面接時には、最近の業務上の課題とその成果を報告してもらい、それについてちょっと突っ込んだ質問をします。たとえば、・その課題をやるにあたって、あなたが最初にしたことはなんですか?・その課題に対して、あなたはどのような方針でどのように解決しようと考えましたが?・その課題の背景を説明してください大体この3つを聞けばその人の能力は見えてきます。面接官は..




この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック