人を動かす:人に動いて欲しければその人の問題を扱いなさい




何かを提案するとき、「××の問題があります。解決しないといけません」と言っても抵抗を受けたり、スルーされたりする場合があります。「××の問題」というのが、その人にとって痛くも痒くもないときなどは特にです。

だからといって、「あの人達は問題意識が低い」などと言ったところで「○犬の遠吠え」。何も変わりません。




■動いて欲しければその人の問題を扱いなさい


人を動かす』にすごく印象に残る話があります。

★P〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

夏になると、わたしはメーン州へ魚釣りにゆく。

ところで、わたしはイチゴミルクが大好物だが、魚は、どういうわけかミミズが好物だ。だから魚釣りをする場合、自分の好物のことは考えず、魚の好物のことを考える。

イチゴミルクをえさに使わず、ミミズを針につけて魚の前に差し出し、「ひとつ、いかが」とやる。

人を釣る場合にも、この常識を利用していいわけだ。
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だから、人を動かす唯一の方法は、その人の好むものを問題にし、それを手に入れる方法を教えてやることだ。

これを忘れては、人を動かすことはおぼつかない。

たとえば、自分のむすこにたばこを吸わせたくないと思えば、説教はいけない。自分の希望を述べることもいけない。たばこを吸うものは野球の選手になりたくてもなれず、百メートル競走に勝ちたくても勝てないということを説明してやるのだ。

この方法を心得ていると、子供でも、子牛でも、またチンパンジーでも、意のままに動かすことができる。

デール・カーネギー(著) 『人を動かす
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私もイチゴミルクが大好きです。…という話は関係なくて…




■その人の問題のとの接点を探しなさい


ただ、動いてほしい人の「好むもの」が、自分の手に入れたいものとなんの接点もなければどうしようもありません。

たとえば、ある業務改善をするのに、その人の経験や学んできたことをみんなの前でプレゼンしてほしい、とした時に、その人が部門が全く別の部門の人であるなら、その人にお願いして、資料作りから内容の調整まで全部お願いすることは難しいでしょう。

残業代をなるべく多く貰いたいと思っている人に、「残業を減らしなさい」と言っても減りません。

本書『人を動かす』では、「その人の好むものを問題にし、それを手に入れる方法を教えてやること」と書かれていますが、ひとつ条件として、「それを手に入れる方法が、自分のやってほしいことと一致していること」が必要ですね。

そこで、本書ではこんな事例が書かれています。

★P53〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

こういう話がある。

カーネギーの義妹は、エール大学に行っているむすこふたりのことで、病気になるほど心配していた。

ふたりとも自分のことだけ考えて、家には手紙を一通もよこさないのである。
彼らの母がいくらやっきになって手紙を出しても、返事がこない。

カーネギーは、甥たちに手紙を書いて、返事をくれと書かずに、返事を出させることができるかどうか、百ドルの賭をしようといい出した。

賭に応じるものがいたので、彼は甥たちに手紙を出した。

とりとめもないことを書いた手紙である。
ただ追伸に、ふたりに五ドルずつ送ると書き添えた。

しかし、その金は同封しなかった

甥たちからは、すぐ感謝の返事が来た

 「アンドルー伯父さま、お手紙ありがとう…」。

あとの文句は、ご想像にまかせる。

デール・カーネギー(著) 『人を動かす
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こういうところが「知恵の絞りどころ」かもしれません。




■参考図書 『人を動かす




これを読まざるしてヒューマンコミュニケーションを語るなかれ!
デール・力ーネギーによる自己啓発の源流とでもいうべき不滅の名著。原版(How to Wln Friends and Inffuence Peaple)は、世界各国で 1500 万部以上、日本語版も 400 万部を超える大口ングセラー。
この脅威の部数は、本書が「人間心理の本質」を正面から扱った最初の一冊であることを示している。多くのヒューマンコミュニケーションに関する本は本書の焼き直しと行っても過言ではない。これらの本を読む前に、まずは本書を読んでから語ってほしいもの。






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著者 :デール・カーネギー

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●関連 Web
 悪用厳禁!心理学で人を動かす7つの秘法 - ライフハックブログ
 人を動かす-Wikipedia
 人ひとを動うごかす―デール・参考カーネギーによる人間関係の古典―:日本語文学ガイド
 転職を繰り返したD.カーネギー――世界最大の自己啓発本「人を動かす」を作った男
 説得コミュニケーションの原則―Diamond Online
 悪用厳禁!心理学で人を動かす7つの秘法 - ライフハックブログ

●本書を引用した記事
 上司にお願いする作業は分解してから渡す
 わかりやすく書くコツ
 ミーティングチェックリスト
 能力給と成果給:能力給を重視せよ
 徹底的に丁寧にやる
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posted by 管理人 at 05:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 巨人たちの言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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