前回、マニュアル、ガイドライン、モットーの効果について簡単に書きました。
ではこれらを使う方法ですが、前回書いたように、詳しさ加減から言うと
マニュアル > ガイドライン > モットー
なのですが、指示としてはこの逆
モットー > ガイドライン > マニュアル
が適切だと考えています。
なぜなら、この順で抽象度が高いから応用が効きやすいからです。
大体何かの仕事をしようとすると、なれた仕事であってもイレギュラーなことは発生します。そのイレギュラーに対して、マニュアルだけで対応しようとすると、いちいち記述を確認して、あればそれに従えばいいし、なければマニュアルを作った人に確認しないといけません。
これでは仕事がスピーディーに進むわけがありません。
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会社から見て頼もしいのは、ガイドラインで動ける社員です。
とくにマネジャーがマニュアル頼りでは困ります。
不測の事態に直面したとさに決断を下さなくてはいけない役目を担った人が、「マネジメントのマニュアルに書いてないのでわかりません」では話になりません。
そうならないためには、普段からガイドラインをもとに自分で判断する訓練を積んでおく必要があります。
ガイドラインは、社員の自発性を育てます。自発性は、自由な発想を呼ひ込む起爆剤になって仕事の「質」を高めてくれます。
それに対してマニュアルは、社員の制御性を育てます。制御性が高い社員は、仕事の「量」を追求するときに能力を最大限に発揮してくれます。
どちらも一長一短ですが、市場がシュリンクして「量」より「質」が求められる時代においては、自発性の高い社貝が多い会社ほど競争で優位に立てます。
厳しい市場環境をサバイブするために、マネジャーは自らの自発性を高めるだけでなく、社員が自発性を発揮できる環境を整えていく必要があるでしょう。
そのとき頼りになるのは、ルールよりモラル、マニュアルよりガイドラインです。目指すべき方向を明確に示す一方で、余計な縛りを省いて、社貝が自分の頭で考えて動く裁量を与えていく。それがこれから求められる組織のマネジメントなのです。
横田尚哉(著) 『ビジネススキル・イノベーション』
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マニュアルが面倒なことになるのは、これだけではありません。
マニュアルは網羅性が低いので、網羅性をあげるために、いろいろな場面を想定して、正確に作りこんでいくことが必要です。
つまり、マニュアルを作るという作業も結構な工数が必要になる上に、マニュアルが書ける人というのは、そこそこの経験者でないとできません。つまるところ、マニュアルを書く人は読む人に比べて給料が高いわけ。しかしながら、マニュアル自体は成果を生みません。マニュアルを使って成果を上げる作業をしないといけないわけです。
間接的な成果はたしかにありますが、そこに手間をかけるより、直接的な成果を上げるほうがより効果的ですね。
■相手によって使い分ける
まったくの新人に仕事をさせるときには、
マニュアル=詳細な指示
は必要です。しかし、ちょっと経験したら、指示すること自体は極力手抜きをするほうが、その人の成長を促す契機になります。
5年選手なら、ガイドラインだけ示しておけば、必要なことは自分で考えます。そのくらいは期待できるでしょう。
10年選手なら、自分の評価基準となるポリシーだけ明確であれば、仕事が進むようになって欲しいですね。
まあ、勤続年数だけで図れるものでも無いかもしれませんが。
ただ、これはできる人には徐々に抽象的な指示にしていくものではなく、できなくとも、抽象度の高い指示を与えておいて、都度都度具体的な指示を与えるようにすると、だんだん抽象度の高い指示でも動けるようになってきます。自分で考える機会を増やしていくことで、指示する側も楽になりますし、指示される側の成長も早くなります。
結局、他人に言われたことをすることになれてしまうと、脳みそが働かなくなるということかもしれません。
もちろん、マニュアルを否定するつもりも、必要が無いというつもりもありません。
マニュアルは作らないといけませんが、それに頼りきって臨機応変さを失ったり、工夫をしなくなったりすることが問題だと考えています。
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