私のまわりにも出世が早いという人がいます。
こういう人って、もちろん上司やそのまた上司、果ては社長まで、入社後すぐに名前が知られるようになるのですが、「やっぱり凡人とは違うな」と思える行動を新人時代からとっていたりします。
■単純作業
私が違うなと思ったのは、もちろんそういう人たちが出した会社における成果(ハデなもの)もあるのですが、単なる作業ですらレベルが違う、ということ。
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下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ
小林一三の言葉:https://ja.wikiquote.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%9E%97%E4%B8%80%E4%B8%89
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単なる下足番です。普通はその他大勢にもカウントされないような作業に対して、「日本一の下足番」ですよ。
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若手のころは、単純作業ばかりを命ぜられることがあります。
最近は新人採用が減っているため、その期間が長期化してなかなか吹のステップに進めない人社 10 年目前後のビジネスパーソンも少なくないようです。
「仕事を楽しめ、と言われても、自分がやらされているのはデータ入力の作業だ。こんな仕事を楽しむことなんてできない」
たしかにいつも同じ仕事の繰り返しは退屈です。しかし、そうした単純作業が役に立たないわけではありません。
善意に解釈すると、そこには足腰を鍛えてほしいという会社側の思いがあるのかもしれません。
どんな会社でも基礎部分となる仕事は重要です。それは決して楽しいことではないでしょうが、任された仕事を早くできるようになって、その場所から早く卒業すればいいのではないかと思います。
阪急電鉄創業者、小林一三氏もこう言っています。
「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ」
この気概が必要なのです。
僕も新人時代には、随分と単調な作業をしたものです。クライアント企業の全国の支社から送られてきた段ボールいっばいの資料を分析するために、ひたすらデータをエクセルに入力していました。
人によっては、これを「つまらない仕事」と敬遠したかもしれません。しかし僕は、この作業が途中から楽しくなっていきました。自分で手を動かしてデータを触っていると、それまで整理された資料を眺めているだけでは分からなかった会社の生の姿を感じ取れるようになっていったのです。
「神は細部に宿る」と言いますが、体を動かすことでデータが血肉となり、初めて見えてくることがあるのです。
このように、つまらないと感じる作業でも、実は血となり、肉となっている。以来僕は、あらゆるピジネスの本質は、現場の泥臭いところにあるのではないかと思うようになりました。
単純な作業もできない人に難しい仕事ができるわけがない。ミクロの実態が分からない人にマクロを語れるはずがない。だからこそ、単純作業は最高の英才教育だと思うのです。
岩瀬大輔(著) 『入社10年目の羅針盤』
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たとえば、私の知る最も出世の早かった人は、朝誰よりも早く出社して、事務所内(結構広いですよ)の掃除をしてました。このブログで過去に紹介した日誌の書き方もその人から学びました。今もやっているのかどうかは知りませんが、当時は気安く声をかけられたのに、今は雲の上…。
時々会議などで顔を合わせると、「昨日の××モデルの直行率が〜」とか、私の本職なのに私より詳しい(T_T)。
私もせめて仕事のうちのひとつくらいは、日本一とまではいかなくても、会社イチの下足番になろうと鋭意努力中(まだまだ、修行中の身なれば…)。
あなたには何か日本一の単純作業者といえるものはあるでしょうか?
■参考図書 『入社10年目の羅針盤』
右肩上がりの時代なら、一流企業に就職し、順調に出世して、経済的にもゆとりのある暮らしを築くことが、共通した幸せの概念だったかもしれない。しかし人々の間で物質的な豊かさよりも精神的な豊かさが求められている昨今、若い人たちも、上を目指すだけでは自分の幸せにたどり着くことができないことに気づき始めている。よく「最近の若者は出世欲がない」などと言われるが、出世の先に自分の目的とする場所があるわけではないということを、感覚として分かっているからではないだろうか。入社10年目というと、30歳前後の若手ビジネスパーソンにあたる。経験を重ね、スキルも身についている頃だが、責任も与えられ、部下を束ねている人もいる。私生活でも結婚や出産を意識するなど、考えることの多い年代だ。若い頃はただがむしゃらに進めばよかったかもしれないが、30代以降はしっかりと方向を定めて進んでいかなくては目的地にたどり着けない。
うまくいかない時、つまらない仕事をしなければならない時もあるだろう。しかし自分の目標が定まっているのであれば、それを平然と乗り越えていく術も必要だ。
失意泰然(しついたいぜん)、得意淡然(とくいたんぜん)。
うまくいっていない時こそどっしりと構えよ、うまくいっている時こそ謙虚であれ、といった意味合いの言葉だ。この本でも紹介している。
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