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●ファンクショナル・アプローチ
ファンクショナル・アプ口ーチとは、間題の対象から一旦離れて、一度対象の持つフアンクション(機能、効用、意図、役割)に着目して問題解決しようとする、GE 社で開発された革新的な発想技術のことです。
ファンクショナル・アプローチは、1947年に米国の GE 社で起こったアスべスト事件をきっかけに、ローレンス・D・マイルズ氏が開発した20 世紀の 3 大管理技術のひとつです。
アスべスト事件というのは、GE の工場の塗料現場で床材に使われていたアスペストを急速交換しなければならなくなった時のことです。
当時、品薄でアスべストは見つからず、調達担当のマイルズが困っていたところに業者は質問したのです。
「ところで何のためにアスべストが必要なんですか?」
マイルズは答えました。
「それは不燃材料が必要だからです」
その後、業者はアスべストに代わる、もっと安価な不燃利料を提案しました。そして安全基準を測る実験をし、採用されたのです。このようにモノではなく、必要とする機能に視点をやれば、もっと同様の改善が行えるのではないか、とマイルズは考えました。
モノの持つファンクションにフォーカスすることで、多くの問題が解決するということが分かったマイルズ。その後、この考え方は、VA (バリューアナリシス・プ口グラム)として結実し、やがて VE(バリューエンジニアリング)として発展します。
ファンクショナル・アプローチは問題の対象からあえて離れることにより、固定概念や先人観にとらわれずに問題の解決策を見つけ出そうとするものであり、ファンクショナル・アプローチは VE の最大の特徴です。
すべてのモノの形、動き、活動は、それ自体に意味があるのではなく、それを表現させている「目的」に意味があるはずです。
フアンクショナル・アプローチは「それは何のために×××しているのか?」という問いかけが重要です。×××には形や動き、活動などが入ります。
同じファンクションを提供できるのであれば、×××である必要はありません。
今のものよりも、手に入りやすい、豊富で安価な代替品があれば、コストを抑えて同じフアンクションを提供できるということになります。
VE には
V(価値) = F(ファンクション) ÷ C(コスト)
という基本式があります。同じフアンクションでも、コストが下がれば価値が高まり、同じコストでもフアンクションが高まれば価値が高まります。コストが逆に高くなるとしても、それを上回るフアンクションの向上が同時になされれば、価値は高まります。
VE の基本概念はこのように考えるのです。
永田豊志(著) 『発想フレームワーク55』
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ファンクショナル・アプローチは、あるものの代替方法を考えるのに非常に役に立つ方法です。
本書『発想フレームワーク55』では、「もの」について VE 手法を紹介していますが、これは「こと」や「手段」についても同じことがいえます。また、「ファンクション」はひとつでなくてもよく、複数個のファンクションを持っていて、そのうちのひとつのファンクションを置き換えたい、などという時によく使います。
■進捗会議はいらない?
たとえば、毎週の進捗会議。
これが達成しようとしているファンクションは
1.上司が今年度のテーマの進捗を知る
2.課員が課題を共有する
3.進捗に課題のあるテーマの打開策を検討する
という「ファンクション」があります。しかし、実際には上司や関係者は進捗を聞いているだけになっているとしたら(それで課の運営に問題がなければ)、3のファンクションをなくした仕組みで考えれば言いわけ。つまり、毎週メールで進捗を報告するという形で代替できるのではないかと考えるわけです。
このように、「進捗会議の改善」というテーマがあっても、「進捗会議」をどうしようかというところに思考が行ってしまうと、「立ち会議にしよう」とか「一人の発言を3分に制限しよう」という発想しかでてきません。一方で、「そもそも進捗会議って?」と発想してみるとより広い範囲で発送が可能になるわけです。
■VE手法を勉強する
VE手法やVA手法というのは、ものづくりのメーカーの技術系社員なら徹底的にトレーニングや実践の場がありますが、そうでない人にはちょっと馴染みが薄いかもしれません。
しかし、これは実は事務屋でもとっても役に立つ発想法のひとつです。
もし、あまり馴染みがないなら、1〜2日の集中講義を受けると、あなたの発想の世界は一変するかもしれませんよ。
■参考図書 『発想フレームワーク55』
![]() ![]() | 本書は、ビジネスパーソンにとって、これからの時代のもっとも重要な知的ウェポンとなるクリエイティビティを磨くための発想力、アイデアを生み出すためのフレームークを提供するものである。 ロジカルシンキングや地頭力はもちろん重要だ。しかしそうした「左脳型発想術」だけでは、改善はできても大きな成果は望めない。八方ふさがり状態であってもブレイクスルーを起こし、大成功を引き寄せるには、前例や従来の固定観念をくつがえす「右脳型発想術=第六感発想術」が必要だ。 従来のアイデア生成の本は広告関連など元々クリエイティブな仕事をしている人向けが多数だった。そのため、アイデアづくりが日常業務となる専門職以外の読者にとっては、もっと短時間で実務に使えるアイデア発想方法が切望されてきた。 本書は、一般のビジネスマンやOL、経営者や勉強に熱心な読者に対して、フレームワークを駆使した「短時間」で「最大の成果」を生むためのアイデア作成方法を解説する。 |
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