ルールとモラルはモラルを守れ




会社で、「これはルールだ」と言われる場合と「モラルが必要だ」と言われる場合がありますね。
ルールとモラルってちゃんと区別して使ってますでしょうか。

私が「なるほど」と思ったのは次の説明。




★P83〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

ルールとモラルの違いをご存知でしょうか。

モラルは、私たちが目指すべき中心点です。中心に近ければモラルが高く、同心円状に離れていくほどモラルは低くなります。

ルールは、モラルからこれ以上離れてはいけないという限界を示す境界線です。

ルールは、守るか守らないか。一線を越えたらアウトです。コンブライアンスが叫ばれる昨今、国や企業は以前に増して多くのルールを導人するようになりました。これはあまり望ましい状況ではありません。
ルールが強調されると、境界線上の内側ぎりぎりのところにな人が増えます。

モラルの中心から離れているのに、「ルールは守っているから問題ない」といって平気な顔をする人が増えるのです。

ルールは、モラルから離れないように自分たちを律するための手段のひとつに過ぎません。私たちが目指すべきは、より尚いレべルのモラルを身につけることです。

ところがルールを強調しすぎると、ルールを守ることが日的化して、モラルが軽視される逆転現象が起きる。過剰なルールが、かえってモラルの低下を引き起こすのです。

弊害はそれだけではありません。ルールか増えれば、手続きも増えます。手続きが増えれば組織の効率も落ちます。

横田尚哉(著) 『ビジネススキル・イノベーション
――――――――――――――――――――――――――――★


この説明にある「中心点からの距離が離れるほど低くなる」というモラルと、「境界線が明白」なルールはイメージがとってもわかりやすいです。

モラルには境界線がありません(人によってはビシっとあるかもしれませんが、私は気分によってレベルが変わります)。だから、××まではOK、××+1はNGみたいにならないんですね。

モラルがいい加減になってくると、「ルール」を作りたくなります。境界が明白なので、誰から見てもわかりやすい(とはいえ、抜け道もありますが)ことは確かなのですが、ルールを作るとルールの抜け道を探したくなって、もともとそのルールを作った時の議論やそれが期待した結果はどこへやら、になります。




■モラル違反を話し合う


一方で、「モラル」というのは、人や気分によって変わるものなので、これを会社や組織で統一していくのは、とっても手間がかかります(究極的には無理ですが)。

しかし、組織を運営する上で、すべての行動を明文化して規定できるのであれば問題ないのですが、現実的には無理です。

 「仕事時間中の携帯電話は禁止します」

というと、「じゃあスマホならいいんですね?」みたいな話になります。しかたがないので、「携帯電話もスマホもダメ」と書くと、今度は「これはタブレットです」みたいに?

「モラル」であれば、「仕事の時間は仕事に集中する」ことで活動がされていくようになります。

モラルを高める方法は、いろいろあるみたいですが、ジョンソン・エンド・ジョンソンのクレドーは有名(だと思います)。

このクレドの一節を引用すると、

★――――――――――――――――――――――――――
我々の第一の責任は、我々の製品およびサービスを使用してくれる医師、 看護師、患者、そして母親、父親をはじめとする、すべての顧客に対する ものであると確信する。
――――――――――――――――――――――――――★


と書いてあります。

ジョンソン・エンド・ジョンソンでは、これについて毎日何かの事例をあげて、それについてどのようにクレドーに一致しているのか、どうしたらもっと良くなるのかを話し合うことをしているそうです。

話し合うことで、その抽象的なイメージが個人個人に対して事例として蓄積され、みんなが共通の判断に基づいて行動ができるようになる効果があるそうです。

 「○○ってウチ的にどうよ?」

みたいな話をしてみませんか?

■マニュアル、ガイドライン


ちなみに、どちらも文章化した時には、呼び方が変わるそうです。

★P84〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

ルール依存の危険性が顕著に現れるのは、不測の事態に直面した場合でしょう。

ルールとモラルを文書化すると、ルールはマニュアルに、モラルはガイドラインになります。

マニュアルは、内容が具体的です。歩行についてのマニュアルがあるとしたら、右足を出して、次の左足を出す動作がノウハウとして示されます。ある意味では親切ですが、不測の事態に直面すると役に立ちません。

たとえば歩く先に障害物があったとします。マニュアルがその事態を想定していなければ、マニュアル頼りの人はお手あげになる。欧の一歩をどこに踏み出せばいいのか、自分で考える訓練を積んでいないからです。

横田尚哉(著) 『ビジネススキル・イノベーション
――――――――――――――――――――――――――――★





■参考図書 『ビジネススキル・イノベーション





立ち読みできます立ち読み可

Unlimitedゼロ円Unlimited無料
本質をつかみ、状況に応じてスキルをアレンジする。未来をひらくビジョンとともに、さあ、変革の灯をともそう。殻を破ることができるすべてのプロフェッショナル、次世代リーダーに捧げる究極のビジネスバイブル。





◆アマゾンで見る◆◆楽天で見る◆◆DMMで見る◆

ビジネススキル・イノベーション
著者 :横田尚哉

ビジネススキル・イノベーション
検索 :最安値検索

ビジネススキル・イノベーション
検索 :商品検索する



●本書を引用した記事
 コピーを頼まれたら成長するチャンス
 模倣と創造のバランスを取る
 ボトルネックは、決済済の箱
 手帳はいつまでも同じではない
 会議を少なくする方法
 コピーを頼まれたら成長するチャンス
 リスクの時間
 ルールとモラルはモラルを守れ
 チームに必要な2つのスキルを育てる
 チームと個人の関わりを5つに分ける

●このテーマの関連図書


ワンランク上の問題解決の技術《実践編》視点を変える「ファンクショナル…

問題解決のためのファンクショナル・アプローチ入門

読書は「アウトプット」が99%:その1冊にもっと「付加価値」をつける読…

TQ―心の安らぎを発見する時間管理の探究

3週間続ければ一生が変わる〈ポケット版〉

TQ-心の安らぎを得る究極のタイムマネジメント(SB文庫)





■同じテーマの記事

面倒くさがり屋の55の法則

本日は、私がやる気がでない時に、「ちょっとだけやってみよう」と思えるようにするために、繰り返し読み返している本のご紹介。読み返していると言っても、ほとんど目次だけなのですが、ひとつひとつはすごく薀蓄のふかいお話で、1つづつで本記事なら2〜3回はかけちゃうようなイメージ。すべてをやることはできないですが、今すぐ何かひとつやってみようとすると、ちょっと行動ができるようになります。もし、「あ〜、こんな作業かったるいな」と思ってしまったら、気分転換にこの本にあるようなことを何..

いま調べなさい、あなたの時間は無限ではない

会議などで、「ちょっと確認して、後ほど報告します」「じゃ、宿題ということで…」なんていう会話がよくあります。ちょっとで済むことをあとでやるの?でも、よく考えてみれば、「確認すること」自体に時間がかかるわけではありません。たとえば、「さんに電話をして聞く」とか「××ファイルに書かれたスケジュールをチェックする」みたいな作業が意外と多いんですよ。もし、その作業を5分で終われると思ったら「あとで」と言わずに「5分お待ち下さい」と言ってしまったほうが..

WBSを作る

新年度が始まりましたね。今年の業務の計画は立てられましたでしょうか?本日は計画を建てるのに絶対必要なツール「WBS」。WBSとはいつものようにWikipediaから引用 Breakdown Structure(WBS)とは、プロジェクトマネジメントで計画を立てる際に用いられる手法の一つで、..

メールはプルシステム1

以前の記事にも書きましたが、1日に約300〜500件のメールが来ます。このためかつてはメールをチェックするだけで多い時で1日に3〜4時間かかってました。これじゃあ、会社にメールを見に来ているのか仕事をしに来ているのかわからない状態になってしまってました。メールの処理時間を効率化するメールというのは、そこに書かれている内容を読んで理解し、それに対してアクションを起こして、今持っている業務を前進させることが目的なのですが、自分が何かしなければならないメールは..

重要事項付箋

いま手元に何種類の付箋を持ってますか?私はというと、大きな正方形の付箋中くらいの長方形の付箋小さな長方形の付箋さらにその小さな付箋を3分の1くらいにカットした付箋の4種類がノートに貼り付けてあります。大きな付箋は、財布にも入ってます。重要事項付箋以前は、付箋を色分けして使ってました。・ピンクの付箋は重要事項・水色の付箋は私事・黄色の付箋は通常業務ところが、大きさも結構重要で、タスクリストとしてノートに貼り付けるには、なるべく小さい方がいいの..

毎日基礎トレーニングをする

トレーニングをしていますか?あなたの仕事における基礎能力は何かを考えたことがあるでしょうか。たとえば、PCを操作する仕事であればキーボードの入力の早さ、プレゼンをするのであれば声の出し方、生産ラインで組み立てをするのであれば、手先の動かし方などです。これらはすごく基礎的なことですが、これができないと話にならないものです。自分が知っている範囲で言うと、驚くほどこういった訓練をしていない人が多いです。私は基本ソフトの開発部隊を率いてますので、そのメンバーはPCのキーボー..




posted by 管理人 at 11:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 組織マネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。