ときどき「サラヒン〜サラリーマンの仕事のヒント」を見返しながら、この「シゴトコンパス」の記事を書くことがあります。
しかし、その記事自体の引用はしてません。単に「過去記事で〜」みたいな説明と、そこへのリンクを貼るだけにしています。
これは、「言葉を変えて説明する」ことで、自分のトレーニングになると思っているから。「説明力」「説得力」を強化することができます。
■相手によって言葉を変える
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●相手によって使う言葉を変える
左に挙げたのは 『 ニューヨーカー]に掲載されたマンガです。
※図は省略します。見てみたい方は本書を図書館などで参照してください。
犬のボスと猫のボスが座っています。犬の部下が、犬のボスに「違う話し方をしなさい」と耳打ちしています。「fetch という言葉は猫にはないんですから」というアドバイスです。
「fetch」というのは、「取ってこい!」という意味です。
犬に棒やボールを投げて「取ってこい!」と言うと、犬は喜んで取ってきます。でも猫はそんな遊びはしません。だから猫に「それは"取ってこい"ってことですよね?」と言っても、わかるわけがない。
情報を発信する人は、まず「相手は誰なのか」を考えなくてはなりません。
日本人は、「私は勉強不足なので、あなたのお話の半分も理解できませんでした」と、話を聴く側が、わからなかったことを恥じる傾向がありますが、これは独特の文化だと思います。
たとえばアメリカでは、話がわからないのは「話している人」の責任、本が「難しすぎる」のは、「書いている人」の伝える技術が足りないから、と考えるのが普通です。
ロバート・アラン・フェルドマン(著) 『フェルドマン式知的生産術』
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この例で言うと、「取ってこい!」という単語自体は猫も知っているでしょう。しかし、それが、ボールや棒を使った「楽しい遊び」という概念は猫には無いのかもしれません。
■相手の背景とレベルを測る
同じことが、人間同士のコミュニケーションでも発生します。
「○○という行為によって、△△という問題が発生します」
という話をした時に、日本語ネイティブな人なら、言っている言語としては理解ができます。しかし、
・○○がなぜ△△に結びつくのか
・△△ということがどのような問題で、どのような不利益がどのくらい想定されるのか
については、おそらく「わからない」だったり、発言者が想定していることとは異なる場合がよくあります。
実際にこういうところに細かく検討を加える人が少ないので、結果として「コミュニケーションができたような気がする」場合が多いですね。
本当に理解できたかどうかを測るには、この例で上げたような相互の結びつきや、不利益などを相手がどのように理解しているのかを聞いてみるのが最も短絡的な方法です。
・○○がなぜ△△に結びつくのか分かりますか?
・△△という問題が起きた時に、どのような不利益が発生しますか?
・それはどのくらいの被害でしょうか?
みたいにすることです。しかし、普段の会話でそんなことをしていたら、「しつこい!」とか言われてしまいそうですし、会話も長くなって仕方がないですし、ましてや上司に「私の言っていること、理解できますか?」とは聞けませんよね。
■別の説明をしてみる
「大事だな」とおもったことについては、別のタイミングで、別の説明をしてみるようにしてはいかがでしょう?
たとえば、1週間前に「○○の方針は△△で行こうと思う」と話をしていたら、今日は、「○○の選択肢として××と☆☆があると思うけど、××をするには○○が必要なんだよね〜」みたいに、「○○の対応方針」について、長期スパンのレベルで見た時の話を再度短期スパンで見た時にどのように対応していくのかを話をしてみます。
それで相手が、「先日は△△と言ってましたよね?」と食いついてきてくれれば、「△△」を具体化する話ができるわけ。
相手の反応を見ながら、別の言葉にしてみる、その矛盾を相手がついてくれば、相手は自分なりの解釈をしているということです。その解釈はおそらく自分とは違うものなので、その差について明確化していけば、ズレを修正できます。
もし、相手が、「△△」という単語だけにこだわっているようなら、△△の意味するところを説明しないといけません。
おそらく、自分で解釈しようという方向性を持っていない人なので、その解釈を暗記させる方向で話を構築するわけです。
いずれにしても、言葉を変えてみて相手の反応を見ないと、相手の理解を測ることはできません。
そのためにも、同じことを別の話し方や、別の事例で説明が出来るだけのスキルが必要になるわけです。
結構難しいですけど、これもトレーニングすればできるようになります。
※私自身が「できるようになってきている」と思っているのは、自分だけなのかもしれませんが…。
■参考図書 『フェルドマン式知的生産術』
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