「上司」というコンサルタントを雇う




あなたの仕事のやり方や、会社内のノウハウをコーチしてくれる人はいるでしょうか?
意外と盲点なところにいます

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私は彼にこう答えました。

 「営業のスキルアップ講座はたくさんあるし、いい研修講師やトレーナーもいると思う。キャリア相談についても、個人的なカウンセリングやコーチングをやっている人は少なくない。真剣に探せば、必ずいい人がみつかるはずだ。ただし……」
 「ただし?、 何ですか?」
 「本当にいい人にお願いしたいのなら、それなりのお金は必要になる。将来の自分への投資だからね」
 「それなりのお金……ですか?」

そして私は、評判のいい営業研修プログラムなら受講料が半年で数十万円することや、有名なキャリアカウンセラーやコーチングの先生に個人指導をしてもらう場合、 1 回あたり数万円かかることを伝えたのです。

 「そんなに……」

彼は溜息をつくと、うつむいて黙ってしまいました。

 「でも、身近なところにも力になってくれる人はいるよ。しかも、無料で」
 「無料で?!」

慌てて顔を上げた彼は、真っ直ぐに私を見つめて、

 「そ、それは誰ですか?」
 「キミの上司だよ」
 「上司?」
 「そう、上司だ。いつもキミの近くにいて、キミのことをしつかり見てくれていて、キミを鍛えることやキミの相談に乗ることが、当然の役割になっていて、しかもお金は取らない。こんな便利な存在を使わない手はないだろ?」
 「そんなあ……」

がっかりした表情の彼に、私は次のようなことを伝えたのです。

 「世の中で優秀な社員と言われる人たちは、私の知っている限り、一人の例外もなく上司という存在をうまく使っている。
 使っているどころか、『使い倒している』と言ってもいい。

 言葉は悪いが、上司を自分のステップアップの踏み台にしてしまっている人もいるほどだ。
 もちろん、いい意味で最大限に活用しているということだよ。

 つまり、上司をうまく使える人ほど、間違いなく仕事もできるようになるということさ」
 「でも、うちの上司は……」
 「うん、言わなくてもわかるよ。尊敬できるような上司じゃないんだね?」

コクリと彼は頷きました。

 「じゃあ、反面教師にすればいい。それに、使えるのは直属の上司だけじやないんだ。隣の部署の上司だっていい。そもそもオールラウンドの上司なんていないんだから、多くの上司から、いいとこ取りすればいいんだよ」

彼は、私の言いたいことが少し和み込めてきたようです。続けて私は、

 「キミたち若い世代は、ついつい上司と部下を対立する関係に捉えてしまいがちだ。敵対して、いいことなんてひとつもない。本来、上司と部下は、お互いのためにも協力関係にあるべきもの。倍返しなんて流行語に踊らされちゃダメだ。

田中和彦(著) 『できる人はやっている 上司を使い倒す50の極意
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引用が長くなってしまいましたので、やや途中ですが、本書で言いたいことは伝わりそうなので、ここでやめておきます。

■どうするといいのかは上司が一番知っている

私は、上司だけで成長していけるものかというとそうでもないとは思っていますが、様々な形で上司から色々教えてもらったのも事実です。

上司は、「実践的にどのようにすればいいか」という具体的な行動レベルで、仕事のやり方を教えてくれます。それも本書にあるように無料どころか、お金までくれて、教育してくれる存在です。

もちろん、上司だけでなく、先輩や同僚、果ては部下までそうです。以下では「上司」にはこれらの一緒に仕事をする全ての人のいみで「上司」と使います。

■「上司」は知識を与えてはくれない

ただし、「実践的に」というところが問題で、「この場合はこうする」は教えてくれても、「なぜ、そうするといいのか」や「どういうパターンならどうすればいいか」は教えてくれません。つまり、「上司」は、自分があるパターン化した思考をして、次の行動を導いていても、どういうパターン化がされているのかは、ちゃんと認知してないんです(していても表現できない場合が少なくありません)。

だから、「それは、経験を積みなさい」という言葉になってしまいます。

それを言葉にしてくれるのは、ビジネス書やセミナーです。

■「上司」と知識の両輪

だから、「上司」の指示や、自分の経験を、ビジネス書やセミナーで話を聴いた時に、「そうそう」と思えることが重要。

「へ〜、そうなんだ」と思う人は、そういう経験がない人ですかね?
そういう人は、多分、経験と知識の一方がないので、結局実践に結びつかない。

次に、ビジネス書を読んだ時には、「上司」の行動と照らしあわせてみませんか。

「上司」という行動をサポートしてくれる仕掛けと、ビジネス書やセミナーという知識があると、2つがあなたの成長の両輪になってくれるでしょう。




■参考図書 『できる人はやっている 上司を使い倒す50の極意

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できる人はやっている 上司を使い倒す50の極意
著者 :田中和彦

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●本書を引用した記事
 希望の部署に移動する方法
 上司の情報を活用する
 目標は自分だけが管理できる
 ドラッカー365の金言:組織の精神はトップから生まれる
 人事評価の目的を理解すると評価を利用できる
 できる人はやっている 上司を使い倒す50の極意
 人を動かす:罰則は「前向きさ」を失わせる
 「上司」というコンサルタントを雇う

●このテーマの関連図書


どんなにバカな上司の下でも成長できる仕事術

部下こそ上司にリーダーシップをとれ

「君にまかせたい」と言われる部下になる51の考え方

「上司に話が通じない」と思ったときに読む本

「バカ上司」その傾向と対策(集英社新書436B)

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