投資には2つのやり方があります。
今回は「自己投資」を例にとってご説明しますが、これは事業への投資でも同じです。
したがって、自分が何かを役員に説明して、投資判断をしてもらうことでも同じです。
■投資の2形態
さきに、答えから言ってしまうと
回収する投資(投資対効果)
戦略的な投資
です。
投資の良否を判断するには、このいずれかで判断しないといけません。
■回収する投資(投資対効果)
もしあなたが、字がうまくなりたいために、期間が1年間で10万円のペン字講座を受けるかどうかの判断をするとします。
10万円をかけただけの効果が有るのか?
まあ、何かの提案をした時も役員から同じ質問が投げられますね。
「で、それでいくら儲かるんだ?」
字がうまくなったからといって、営業成績が上がるわけでも、開発能力が上がるわけでもありません。今時年賀状ですらパソコンで毛筆書体が打てますし、なんならスマホで写真をとって、Webページで登録すれば、自動的にお正月に年賀状が配達されます。
「回収する投資(投資対効果)」というのは、投資した結果を儲かったものと比較して、その有意、無意を判断するものです。いわゆるROIというやつです。
■戦略的な投資
お城を作るのに、石垣の石を一つ積むことに、効果はありません。それがある形状で集合体になってはじめて堅牢なお城の一部として意味を成すわけです。
「文字がうまくなる」というのは、人と何か議論をしている時に、さっと立ち上がってホワイトボードに、読みやすい綺麗な字で議事をまとめることによって、会議をリードし、ひいては会社の中での存在感を高めることに役立ちます。
つまり、それ単体の投資対効果で判断しては間違うわけです。
これを「戦略的な投資」と読んでます。
※これは私が勝手にそう呼んでいるだけで、一般用語ではありません。
「戦略的な投資」をすべきかどうかの判断は、それ以外の複合的な投資がどのように計画されているか、総合的・長期的に見て、利益になると考えられるのかによって判断します。
■S字曲線をたどる
もう一つ、おまけですが、「いつまでに効果が出るのか?」という時間軸上の判断基準にも注意が必要です。
右の図はシグモイド曲線(S字曲線)と呼ばれる曲線です。
※Wikipediaより引用
通常、何かを始めるときは、最初は全く効果が出ません。投下した工数に対して、ほとんど結果が出ないわけです。
しかし、あるところまで行くと、急速に効果が上がり始めます。投下した工数以上の効果が出ます。
やがて、それも終末になると、いくら工数を投下しても、(サチってしまって)効果が出なくなります。
なにかを始めるときに、投入した工数だけ、すぐに効果が出るという場合は、経験的にほとんどありません。
最初のうちは、結果は残念なものにしかなりません。
それでも、S字の立ち上がるところがあると考えるなら、(自分の判断を信じて)投資は継続するべきです。
多くの場合は、ここに行く前に諦めちゃうので、失敗という烙印を押されるのが世の常ですね。
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