採用面接で、大きな配点を持っているスキルにリーダーシップというものがあります。
面接官は直接的には言いませんが、この「リーダーシップ」があるかどうかを、聞き出そうとしていろいろな質問をします。
ところが、あまり満足行く回答をもらったことは多くありません。
回答から推察するに「リーダーという役割」と「リーダーシップの発揮」というものが混同されているように感じます。
そこで、『採用基準』という本にあった「リーダーがなすべき4つのタスク」という章から、リーダーシップについて考えてみたいと思います。
初回にご紹介したように、本書『採用基準』で挙げられているリーダーシップのある人が取るべき行動(タスク)は次のとおりです。
★P116〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
●リーダーがなすべき4つのタスク
リーダーとは、成果を達成する人だと書いてきましたが、では成果を出すためには具体的に何をする必要があるのでしょう。実はリーダーがなすべきことは極めてシンプルで、突き詰めれば次の4つの行為に収束します。
1.目標を掲げる
2.先頭を走る
3.決める
4.伝える
伊賀泰代(著) 『採用基準』
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本日はその4つ目です。
■伝える―コミュニケーション
★P130〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
もうひとつ、リーターの大切な仕事が、コミュニケーションです。
明示的という意味で言葉の力は重要です。
家族など極めて近しい人を少入数だけ率いるのなら、言葉ではなく態度で示すなり、背中で教えることも可能でしょう。
しかし一定人数以上の組織を率いる場合や、多様な価値観をもつ人が混在している場合、また、成果を出すことが極めて困難な状況では、言葉によって人を動かすことは必須となります。
黙っていても伝わるとか、わかってくれているはず、は通用しません。
問題が発生した場合も、問題の原因や対処方法の選択肢、さらに、その中からなぜこの案を選んだのかという判断の根拠も、言葉で説明する必要があります。
これがアカウンタビリティ(説明責任)と呼ばれるものです。
日本の組織や企業は、長い間、極めて同質的な入だけで構成されていたため、説明責任や言葉の力を軽視しがちです。
今は日本人以外の人、仕事に対する考え方が異なる人もひとつの組織に混在しています。
そういう人々を束ね、高い目標に向かって進ませるには、なぜそれが必要なのか、ほかにどんな選択肢がありたのか、などについて、論理的かつ明示的に伝える必要があります。
伊賀泰代(著) 『採用基準』
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本書では、「4.伝える」という本の中の一節なのですが、「伝える」ということを説明するだけで、本が何冊もかけるくらい難しいテーマですね。
以前に、サラヒン〜サラリーマンの仕事のヒントや本ブログで、コミュニケーションについて、いくつか落書きレベルの駄文を書いてますが、やっぱり私のようなシロウト以上に、ビジネス書の著者ともなれば言葉を尽くせるでしょう。
なので、ここでは本書の一部だけを引用するにとどめておきます。
★P132〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
なかには、外見が異なる海外のメンバーがチーム内に存在する場合のみ、言葉で伝えることを重視し、見かけが同じ目本人ばかりのチームだと「言わなくてもわかるだろう」と思い込んでしまう人がいます。
しかしたとえ見かけかけが同じ日本人でも、たとえ同じ会社で何十年も働いていても、何を見ても同じようにちえる人ばかりが集まることはありません。
現実には、たとえ必死で言葉を尽くしても、自分の考えを正確に伝えることはとても難しいことです。
マッキンゼーのプロジェクトも同じです。
全員が同じ目標を共右し、そこに准一む道筋を同ヒように理解しているはずなのに、それらを言葉によって確認する作業を怠ると、すぐにズレが生じ始めます。
人間はそれほどに多様なのです。
それそれの人は異なる感受性や思考回路をもっているのですから、新たな情報に触れたり、思考にふけるたび、ほかの人とは異なるアウトプットが生成されます。
それが積み重なると、同じゴールを見ているはずだりたのに、いつのまにか少しずつ違った場所を目指しているとうことが起ります。
だからリーダーのポジションにある人は、何度も繰り返して粘り強く同じことを語り続ける必要があります(全員がリーダーの意識をもっていれば、全貝が自分の考えを積極的に声にするでしょう。
わかってくれているはずの人も、その多くが、わかった気になっているだけであったり、わかりたような顔をしているだけだったりします。
伝わっているかどうかも確認せず、「伝わっているはず」という前提をおくのは、怠慢以外のなにものでもありません。
特に厳しい環境下では、組織内にさまさまな不満や怪しい言説が広がります。悪意をもった言説と組織内の不協和音を取り除き、人心をひとつにして前に進めるために、リーダーの言葉以上に強力な武器は存在しません。
そういう場合はたいてい、兵糧(動機づけに使える予算、報酬の蓄え)が尽きていて、頑張った人にも金銭で報いることができない状態です。だからこそコストのかからない言葉の価値はさらに大きいのです。
伊賀泰代(著) 『採用基準』
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■参考図書 『採用基準』
マッキンゼーの採用マネジャーを12年務めた著者が語る!
マッキンゼーと言えば、ずば抜けて優秀な学生の就職先として思い浮かぶだろう。
そこでは学歴のみならず、地頭のよさが問われると思われがちで、応募する学生は論理的思考やフェルミ推定など学んで試験に挑もうとする。
しかしマッキンゼーの人事採用マネジャーを10年以上務めた著者は、このような見方に対して勘違いだという。
実はマッキンゼーが求める人材は、いまの日本が必要としている人材とまったく同じなのだ。
だからこそ、マッキンゼーは「最強」と言われる人材の宝庫の源泉であり、多くのOBが社会で活躍しているのだ。
本書では、延べ数千人の学生と面接してきた著者が、本当に優秀な人材の条件を説くとともに、日本社会にいまこそ必要な人材像を明らかにする。
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書名 :採用基準
著者 :伊賀泰代
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