過去記事で、採用面接や昇進・昇格面接などで、面接官からみた受験者の良かったところなどをちょっとだけ書いてきましたが、本日は面接官をするときの心得みたいなものについて、書いてみたいと思います。
一番重要なのは、「この人と一緒に仕事がしたいか」と自分に問うことなのですが、「じゃあどういう人だったら一緒に働きたいのか」という基準が必要なんですね。
この基準は受験者にいろいろな質問をすることで、相手の本音や本当の性格を引き出すことによって、自分の持っている基準との比較が可能になります。
すごい人なら、仕事中は自分の本音を隠して仕事の役割を演じ続けることもデキるでしょうが、そこまでできた人間というのは多くないので、何らかの拍子に本音や本性が出てしまって職場でトラブルになるとか、「こういう人だ」と思って入社してもらうと全然違っていたとか、私も「外したな…」みたいな経験があります。
そのために、面接官を何度もやっていると結構慎重になるわけです。
■圧迫面接
一つの手段としては圧迫面接のようなスタイルがあります。
だいたい人間というのは感情的になった時に、本性が現れます。面接の場などでは自分を取り繕ってよく見せたいという意識が働くため、なかなか受験者が本音を言うことはありません。
そのツールとしての圧迫面接なのですが、最近は「圧迫面接=ブラック企業」とか、後日の心証などもあって、ウチの会社では受験者を心理的に圧迫するような質問はご法度。
■的を絞った開かれた質問
じゃぁどうするかというと、質問をやたら広く取ることをやります。
「あなたは自分が
どういう人間だと思いますか?」
「仕事以外で、あなたの
生きがいについて話してください」
みたいな質問。
自分のキャリアのことなら、今の人ならそれに対する十分なトレーニングは受けられるし、模範解答も多く示されています。なんだったら、「ある出来事から学んだこと」とかの質問や回答もよくWebで見かけます。こういうことを質問しても、実際自分用にカスタマイズはされていても、優等生の回答しか得られないことが少なくありません。
ところが上のような質問だと案外、教科書みたいなものには載ってないことが多いですし、それを的確に表現する力も必要になります。
こういった力は一朝一夕につくものではなく、分析と努力(トレーニング)が必要です。
もちろん、これは私の採用基準に照らしての質問ですけど。
でも、もし自分がこの質問をされたら返事に窮するだろうな…。
■抽象的な広い意味の言葉
ポイントは、太字にしましたが、「生きがい」「どういう人間」など、その意味付けはなんとでもなるキーワードを使うことです。
そして、その回答から、この言葉をどのように(どのような広さ加減で)受け取っているのか、自分自身をどのように分析しているのか聴き、さらにそこからこの人はどのような判断力を持っているのかを判断するわけです。
もちろん、その回答からどんどん深堀りは必要ですので、これだけで数分の質疑応答になりますが。
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