ものの見方の10パターン05:本質





多くの仕事の中で、自分の能力をフルに使わないといけない仕事は、自分の持っている専門知識を使って「ものごと」を分析して、その分析結果に基づいて次の行動につなげていくという作業なのではないでしょうか。




 「××について検討しなさい」
 「○○について調査しなさい」
 「○○の課題はどのように対応しようと考えるか?」

こんな課題が与えられた時に、上司をうならせる分析手法があります。
私はこれを

 ものの見方の定番

と呼んでます。

このシリーズ(最近多いなぁ)はこれらを一気に紹介します。

本日はその第 5 回目。本質 をご紹介します。


本質とは「ものごとの正体」のことです。哲学の世界では「イデア」というそうです。
※別に「イデア」を知っていても仕事には役立ちませんが…




★――――――――――――――――――――――――――
イデアとは、哲学者プラトンの理論。 人間は洞窟の囚人のようなもので、背後からの光によって壁面に映し出された影を実存と思い込んでいるとし、真の実存は背後(イデア界)にこそあるという理論。

世界が絶えずうつろうのは影がゆらめくからであり、イデア界にあるその影の実体は不変の存在で、それこそが事物の正しい姿であるとします

同じものを見たとしても個々人が感じる印象は様々ですし、時間の経過によっても捉え方は変化していきます。

これはイデア界にある事物の不完全な模造を感覚で認識しているからであり、その事物の本来の姿は、理性・知性で認識できるイデア界にあるとされます。

洞窟の囚人は生まれながらにして洞窟の壁面(現象界)しか知らないため、自分が見ているものが世界の本当の姿だと認識します。
けれどそういった常識の枠から脱却して初めて真実を捉えることができるとし、現象界からイデア界へ魂を転換させることが、哲学を学ぶことだと言います。

宗派による差異はありますが、仏教においては「イデア界」≒「悟りの境地」、「魂の転換」≒「解脱」に相当するものと考えて良いでしょう。

なおこの語「イデア」は、「アイデア(Idea(英)、思想、概念、理念)、アイデアル(Ideal(英)、理想的な、想像上の、架空の)」の語源となっています。
 
http://tinyangel.jog.client.jp/Name/Idea.html より
――――――――――――――――――――――――――★


私達の目には、光を反射するものしか映りません。逆に言えば、光を反射しないものは見ることができないのです。イデアは、全てのものをあるがままに見る、本物の世界のことです。

だからと言って、それは仏陀でもない限りわからないでしょう。
だから、いろいろな側面を分析することを通して、イデアに近づく必要があるわけです。

■本質を定義する


私達が「物事の本質」という時には、その「ものごと」が自分を含めた関係者に及ぼす影響のことを考えています。

「会社が赤字になった」というのは、「非効率な組織」という本質的問題の表面化にすぎない、というように使います。

ただし、これを使うときは注意が必要で、

ある無意味な事象を意味づけしようとすると、過去記事「事実と真実」で書いたように、百人百様の解釈ができます。
したがって、考えるときには、「自分の定義する本質」を考えないといけませんが、他人に説明するときには、そこは明示せず、他人が同じ本質に気がつくように誘導する周辺事実や議論をしていく必要があります。

ここいらが、「コミュニケーション」の難しいところなのですが。

かなり哲学的なお話になってしまいましたが、自分の持っている結論(物事の本質)をしっかりさせておくと、分析や議論でブレるようなことが少なくなります。




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