ものの見方の10パターン04:時間と空間




多くの仕事の中で、自分の能力をフルに使わないといけない仕事は、自分の持っている専門知識を使って「ものごと」を分析して、その分析結果に基づいて次の行動につなげていくという作業なのではないでしょうか。

 「××について検討しなさい」
 「○○について調査しなさい」
 「○○の課題はどのように対応しようと考えるか?」

こんな課題が与えられた時に、上司をうならせる分析手法があります。
私はこれを

 ものの見方の定番

と呼んでます。

このシリーズ(最近多いなぁ)はこれらを一気に紹介します。

本日はその第 4 回目。時間と空間 をご紹介します。


よくある質問で「いつ、どこで」ということで、時間軸、空間軸の中でものごとを認識する(位置づける)事ができます。

これは哲学だけではなく、あらゆることを論じる上でのフレームワークみたいなものですね。
以前のシゴトTipsで「蟻の目、鳥の目、魚の目」というフレームワークを紹介したのですが、それがこの概念をちょっとだけイメージしやすい言葉にしたものです。

■時間

ものごとを認識する上で、この「時間」を正しく認識することが、ものごとそのものを認識することにつながるのは、私ごときがどうこういうまでもないですね。

時間の概念でもう一つ重要なのは「心理的時間」です。
まぁ簡単に言ってしまえば、物理的な時間と人間が感じる時間の長さには違いがあります。

ある「もの」を見て、それをどのように考えるのかの切り口として、「時間」という切り口は、「物理的時間」「心理的時間」の2つがあることに注意が必要です。

 私たちが認識する時間が意味をもつのは、自分にとって物事の順序をはっきりさせることができるからである。
 私たちは自分自身が行為したり、あるいは身の回りで何かが起こるとき、過ぎ去ったこと、いま現に起こっていること、これから起こりうることの三つに区別する傾向がある。

という時間概念があります。

これもものごとを認識するための重要な「ものさし」のひとつです。
 
ただ、時間も空間も、互いに依存するかたちで人間の感性を構築しますが、両者は同じものではありません。
時間は自己直観を与える形式、すなわち内官の形式であって、外官の形式である空間とは区別されます。

ちょっと難解なのですが、いわば時間は自分の内部で生じる物事の認識を整理する際に使われるのに対し、空間は自分の外で起こっている物事の認識を整理する際に使われるというふうに理解しています。
それゆえ、人間の内面の行為である認識という作業にとっては、時間のほうが空間より原理的な意味をもっているともいえます。

■空間

次に空間について。

空間とは、表象と表象の間の関係(人の認識した複数のものの位置関係)によって規定される、事物同士の相対的な秩序にすぎないそうです。
関係性としての空間概念とでもいいましようか。

つまり、「空間」とは、絶対的なものではなく、「あるもの」と「別のもの」の距離またはそれぞれの所属する空間の距離として認識されるんですね。

簡単な例で言えば、「国道1号線の混雑はひどいが、隣接する県道3号線はそれほどでもない」といった概念です。

これがどのように仕事に応用できるかというと、「問題がどういう空間で起こったのか」という点を見ることで、問題が起きたことに対する立体的な意味を表すことができるようになります。ここには物理概念と空間概念があります。

たとえば、最近海底火山が噴火して、島が出来ましたよね。

 http://www.asahi.com/articles/ASGCF5RPFGCFULBJ017.html

にニュースが載ってますが、説明で

 海上保安庁によると、新しくできた島の部分は今年10月16日時点で1・85平方キロ、発見当時の0・01平方キロから185倍になった。元の西之島の部分と合わせた島全体の面積は東京ドームの約40倍にあたる1・89平方キロで、噴火前の8・6倍という。

と書かれています。

この1.89平方キロというのが物理概念ですが、「東京ドームの約40倍」という空間概念が使われています。こっちのほうがわかりやすいのは、人間には「抽象的な空間認識」があるからだそうです。

■時間と空間

この2つの概念は、ものごとの全体像を捉えるのに最も原始的な手段です。

ただ両者の違いは、時間が順番に生じるものであるのに対し、空間とは同時に存在するものだという点でしよう。

したがって、同じモノサシでも性質が異なる以上、両方をうまく組み合わせて物事を考える必要があります。
時間だけでも不充分だし、空間だけでも不充分なのです。時間と空間の組み合わせによってはじめて、異なる事象が特定できるのです。



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