「相手の話をよく聞きなさい」みたいなことをコミュニケーション講座ではよく言われますが、これは、相手が何を聞きたがっているのか、相手の真意を組むという意味で重要だからです。しかし、わたしは別の意味で、重要だと思っています。
たとえば、
「あなたの部門の○○さんについて、どう思いますか?」
こういう質問をされたことは少なからずあると思います。
「どう思うか?」というのはいわゆるオープンクエスチョンで、自分の思うところを聞き出そうとする質問なのですが、この質問の対応には注意が必要。
■相手はあなたの発言を自分のフィルタを通して聞いている
たとえば、「今度の新任の課長、彼ってどう思う?」とあなたが聞かれた時、
「もうちょっと、結論をはっきり言ってくれるといいと思うよ」
と発言したとすると、その新任課長に反発する意識を持っている人なら、
「お、お前も課長反対派か?」
と思われるかもしれませんし、ゴマすり派なら、
「こいつは反抗分子だ」
と取られるかもしれません。
しかし、はっきり否定しなかったことを持って、「中途半端なヤツ」と取られる場合もあるでしょうし、反対派から見ると「〜といいよ」というところだけを聞いて、「こいつは課長賛成派か」とも判断できます。
ようは、どの様な発言をしようと、相手の都合のいいようにとられる危険があるということです。
しかしながら、正面切って聞かれた以上、あまり曖昧にしておくのも得策ではありません。「煮え切らない」と余計な反感を持たれるのも考えものです。
■探りを入れる
私は、こういうちょっと人間関係に関わるような質問をされた時には、「相手がそれについてどう思っているか」を先に聞き出すようにしています。
たとえば、「ん〜。課長って言えば、前こんなことがあったよね〜」と客観的な事実をあげます。
そうすると、相手はそれについて論評をしてくるので、相手がどのような意図をもってその質問を指摘たのかが何となくわかります。
会議などで立場をはっきりさせないのは、多くの場合いい方向には働きませんが、普通の会話の場合は逆に悪い方向に働く場合が少なくありません(経験値)。
自分だけかもしれませんが、個人的な会話だと、割りと過激な方向に行っちゃう場合があるので、なるべく自分の立ち位置ははっきりさせないようにしています。相手の立ち位置を聞いて、相手が自分に何を求めているのかを確認しつつ話を進めるように注意してます。
そのためには、自分から確定的なことは話さないことと、相手により多くをしゃべらせることがコツです。
自分からは事実だけを提示すれば、言質を取られることはありませんので。
■相手の主張を確認してから自分の主張を聞く
最初に述べたように、中途半端な意見は、どうとでも取れます。つまり、相手が何を求めているのかを判断してから、自分の立場を明らかにするかどうかの判断をし、その判断に基づいて、相手に対する意見表明をすることで、ヘタに揚げ足を取られることが少なくなります。
まずは、相手の主張は何なのか、相手の意見はどのようなものなのかをよく聞きましょう。
その上で、自分がどのような立場を表明するのか、あるいは表明しないのかを判断すると間違いがすくなくなります。
当然、相手によって表明する立場を変えてしまう、ということも必要です。
「部長! 自分もかねがねそう思っていたんですよ」
とか
「部長! それは気づきませんでした。なるほど!」
というのもひとつの処世術。