作りなおすといいものができる




■70点主義


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いくら頭の中に理想形があるとはいえ、いきなり最終形をつくってはいけない。「どうせいつか作るなら、早い方がいい」などと言わずに、じっくりテストした方がいい。僕はこのときの苦い経験から、ようやく当たり前のことに気がついた。
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必ずや「やり直す」ことになるのだ。それを最初から織り込み済みにして、その上で、システム開発などのリスクを伴う投資をする。それがセオリーなのだと、僕は気づいた。
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そんな苦い体験をたくさん積んだ僕は「最初から完壁を目指してはいけない」ということが骨身にしみてよくわかった。結局はやり直すことになる。すべてがムダになるリスクがある。それが「最初から完壁を目指してはいけない」理由だ。

僕はこれを「70点主義」と名付けている。

最初から 100 点を目指さない。 70 点で始める方がいいのだ。そういう意味である。

このニュアンスは、 CHAPTERI でお伝えした「ベイビー・ステップ」に近いかもしれない。しかし、それと 70 点主義は、ニュアンスが若干違うようだ。

「ベイビー・ステップ」は、「始める」ときが一番大変なので、ス夕ートを軽くしよう、というのが主たるメッセージだった。

一方で「 70 点主義」は、失敗し「やり直す」ことを最初から織り込み済みで、 70 点から始めよう、というものだ。それぞれに目的が若干違っているのだ。

しかし、やることは一緒だ。小さく始める。 70 点でよし、とする。その意味では同じカテゴリーでくくってもらって構わない。

効率の面から見ても、効果の面から見ても、どちらも小さなス夕ートがよい、ということだ。「やり直す」前提で始めるのだ。

小倉広(著) 『やりきる技術―最高のパフォーマンスを生み出す仕事のきほん
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本書『やりきる技術―最高のパフォーマンスを生み出す仕事のきほん』で紹介されているのは、システム開発における経験を書いている分、私(業務でシステム部門にいます)にはすごく実感のある体験談が少なくありません。

だからなのかわかりませんが、本書はよく読み返します。
3日坊主だからもう一度気合を入れなおすため、といういみも少なくありませんが。

本書で紹介されている「やりきる技術」のひとつとして、理想形をつくろうと思わないということが紹介されています。

システムを作るにしろ、何かの業務プロセスをつくるにしろ、あるいは広告パンフレットを作るにしろ、一発で素晴らしい物ができるということはありません。

実際に作ってみて、それを評価してみて、その悪いところ、理想と違いすぎるところを改善していくのですが、最初に作ったものに手を入れていくと、ゴチャゴチャになってきます。

これがある限界点に達すると、「もうバージョンアップはやめ!作りなおす!」というのをしばしばやります。そうすると、すごくスッキリしていいものができます。

完全なスクラップ・アンド・ビルドをするのです。

ただ、どうしてもそれまでに作ったものに対するサンクコストの意識があるので、なかなか踏み込めないのが実情なのですが、最近は、サンクコストの意識をさける方法を見つけました。

■作りなおしを計画に入れる


その方法が、

 最初から作り直すことを前提にテストバージョンを作る

という方法。つまり、計画には

 フェーズ1:テストバージョン作成
 フェーズ2:本番バージョン作成
   :
 数年後:メジャーバージョンアップ

みたいに長期計画を作成してしまって、テスト導入→課題反映を繰り返すループをあちこちに入れておくわけです。

テストバージョンの時には、とにかく「機能する」を目標にどんどん作っていきます。多少使いにくいとか、使うまでに手間がかかるとかは無視(手間の削減が目的なら別ですが)。

一発目からいいものをつくろうと思わず、やっつけて気にどんどん作っていく、そうするとユーザの反応がわかるので、重要な問題点、枝葉末節の問題点などが分類できます。

それらを考慮した上で、「よし、いいものを作るぞ!」とやると、いいものになっていく、ということをちょっとだけ皮膚感覚として理解できたような気がします。

もし、みなさんが

 要件検討(ユーザの要望や提供できる技術検討)
  ↓
 作成
  ↓
 評価

みたいな作業のプロセスを考えていたら、止めましょう。

 要件聞き取り
  ↓
 試してみる
  ↓
 感想聞き取り
  ↓
 試してみる
  :
  :
  :
 整理する
  ↓
 作成
  ↓
 最初に戻る

という計画を立てると、アウトプットがスピードアップするだけでなく、いいものができるようになります。

ソフト開発では、こういう開発の仕方を、アジャイル開発とかスパイラル開発とか呼ばれています。
ソフト開発だけでなく、あらゆる仕事に応用できる考え方です。




■参考図書 『やりきる技術―最高のパフォーマンスを生み出す仕事のきほん



「やりきる」ことで、勝利、という短期的な結果が手に入るだけでなく、「信頼」と「自信」という二つの「地力」までもが手に入る。中長期的な結果までもが手に入ることになる。だからこそ「やりきる」ことは大切だ。そして「やりきる」ことは難しい。
「やりきる」ためには、実は三つのステップが必要なのだ。本書でそれを紹介しよう。


●関連 Web
 やりきる技術―最高のパフォーマンスを生み出す仕事のきほん』怠け者でも生まれ変われるシンプルなアプローチ―日経BP
 「やりきる技術」に、目標設定がない理由 - 小倉広のコラム
 やりきる技術 小倉広さん著 - YouTube

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著者 :小倉広

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posted by 管理人 at 13:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | プロセスマネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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