■学びは自発的にされないとできない
ドラッカーは著書『断絶の時代』の中で以下のように書いています。
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学ぶことの動機づけは、学ぶこと自体にしかあり得ない。
学ぶプロセスのステップ毎に、学ぶことの満足を得られるようにしておく必要がある。学ぶことができるのは、学ぶ者自身である。
教師ではない。教師にできることは、学ぶことの助けとなるか、障害となるかだけである。
ピアノ教師と言えども、どの生徒がプロになれるかは分からない。しかし、どの生徒が一応の水準にさえなかなか達することができないかは即座に分かる。そのような生徒は、つきっきりで見てやらなければならない。
つまり学ぶことを見てやらなければならない。しかし、学ぶことについて、常に誰かの助けを必要とするようであっては、終生学び続けることはできない。抵抗と疲労がもたらされるだけである。
学ぶことについては、情報、確認、動機づけのすべてを、学ぶことのプロセスそのものの中に組み込んでおく必要がある。
P.F.ドラッカー(著) 『断絶の時代』
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つまり、
馬を水場に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない
ということわざ(間違ってたらすみません)のとおり、勉強することを強制することはできますが、それを身につけることは本人の意志がない限り不可能であるということですね。
そして、「学ぶこと」自体が継続である必要性があるために、学ぶことを継続できる動機付けが必要になります。
部下や後輩ができると「教えてやろう」と上から目線で考えてしまうことがありますが、相手に「教わろう」「自分でできるようになろう」という積極的な意思がない限り、それは一方的な押し付けにしかならず、相手(部下や後輩)が成長することもありません。
ドラッカーの言うとおり、上司や先輩は教師であって、
学ぶことの助けになるか障害になるか
のいずれかにしかならず、学ばせることはできないというわけですね。
ときどき、仕事関連の悩みで「後輩が育ってくれない」という相談を受けることがあります。
「育ってほしい」と思っているのは先輩であって、後輩が「成長したい」と思わなければ、その目標が達成できることはありません。
つまり、「技術を教えよう」としても、後輩が「技術を学ぼう」と思っていなければ無駄です。
先輩としてまずやるべきは、「動機付け」をしてあげることですね。
■(おまけ)学びのプロセス
学びを導く方法については、ドラッカーは以下のようにまとめています。
1.強み、得意、長所を見つける
2.それらを伸ばすための目標を設定する
3.その制約条件や弱みに関心を向ける
4.方向付けと確認のためのフィードバックを行う
上記の、「後輩を育てたい先輩」の例で言えば、先輩の強みと後輩の強みが同じであることはありません。
つまり、先輩がうまく行っている技術は後輩には適用できない場合もあるという認識が必要ですね。
■参考図書 『断絶の時代』
立ち読み可 | 今からちょうど30年前、ピーター・ドラッカー教授は、社会と文明において根源的な変化、すなわち断絶が起こりつつあることを指摘した。それまでの継続の時代を断ち切り、20世紀の後半を形づくる可能性が大きい新しい現実が生まれつつあることを明らかにした。その断絶が、いよいよクライマックスを迎える。 今日われわれが呆然とさせられている政治・経済・社会の大変動の意味合いも、本書を一読することによって、判然としてくる。むしろ今日のほうが、断絶の意味合いがよくわかる。なにごとも、ことの渦中にあっては見えにくい。今日のような毎日が閉塞下の乱気流状態にあるときほど、ことの始まりとその本質を知ることが大切なときはない。 |
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