「物は言いよう」とはよく言ったもので、あるひとつの事象から、別の結論を引き出すことはそれほど難しいことはありません。政治家や思想家がよくやってますので、例はそれこそ枚挙にいとまがない状態ですね。
何か話をしようとしたり、メールなど書き物をしようとしたりするときも、「物は言いよう」でどのような結論にももっていけます。ところが時々、話し始めてから結論を考える事があるようで、そうすると話しているうちに「あれ、自分は結局何がいいたんだっけ?」というのがわからなくなってしまうことがあります。
そうならないためにも、心がけているのが
トップダウンアプローチ
これは、バーバラ ミントの名著『考える技術・書く技術』という本で紹介されています。
★P30〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
一般的にトップダウン型のアプローチのほうがやさしいというのは,より確信できる物事から考え始めるのが人の常だからです。より確信できる物事とは文書のテーマとテーマに関する読み手の知識です。導入部では,これらを読み手に思い起こさせることから始めます。しかし,単に紙に向かっていきなり導入部を書き始めようとは思わないでしよう。そのかわりに,導入部のストーリー展開の構造を用いて,自分の頭の中から正しいポイントをひとつひとつ引き出していきたいと思うはずです。そのために,図表 4(注:以下に転記)で示す手順に従うことを提案します。
ピラミッド最上部の箱を埋める
1. 主題く伝えたいメインテーマ)は何か?
2. 主題について読み手のどんな疑問に答えようとしているのか?
3. 答えは何か?
答えを導入部に一致させる
4. どのような状況か?
5. どのような複雑化が生じたか?
2. 答えは読み手の疑間に合ったものか?
キーラインを見つける
6. 答えから新たにどのような疑問が生じるか?
7. 演鐸的に答えるか
7. それとも帰納的に答えるか?
7. 帰納的に答えるとすれば、どのような同一名詞で事柄をくくることができるか?
サポートするポイントを組み立てる
8. このレべルで Q & A 形式のブロセスを繰り返す
バーバラ・ミント(著) 『考える技術・書く技術』
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本書では、考えるためのアプローチ方法として、2つの方法が紹介されています。
・トップダウン型アプローチ
・ボトムアップ型アプローチ
ボトムアップ型アプローチは、いろいろな事例を集めて、そこから結論を導き出す方法。。
そしてもうひとつが、まずゴールを考えて、そこからその命題に合うようにものごとを解釈していくトップダウン型アプローチです。
本書では引用のようにトップダウンアプローチの方が優しいと書かれていますが、実際、この考え方で説明してもらったほうが納得感があります。
つまり、説得しやすいということです。
ほとんどの方は、ビジネスの進め方はよくご存知でしょうが、まずゴール(目標)があって、それに対して様々なアプローチを考えて、それを時系列に並べ直して活動されていると思います。
つまり、この名前を意識していようがいまいが、私達はこういうやり方を普段からしているということです。
ただ、「意識していない」とどうしても脇道にそれてしまうことがあります。
それを避けるためには、「こういうやり方でやるんだ」と強く意識することがキー技術になります。
■まず答えを作る
何かを考えだすにしても同じ事なのですが、これが結構やれてない人が多い(自分も若い頃はそうだったような気がします)。もちろん、人に説明するときにはいきなり結論から話すのではなく、ちゃんと前提を話さないといけないのですが、考えるときには逆に、まず目標を定めて、それに必要な論理を上から順に組み立てていくと筋道の通った説明になります。この記事も、まず書きたいこと有りきで、そこからいろいろな情報をふくらませて書いています。
「考える技術・書く技術」はこれを「ピラミッドを上から埋める」という表現をしていて、最初に考えるべきこととして
1.主題(伝えたいメインテーマ)は何か?
2.主題について読み手のどんな疑問に答えようとしているのか?
3.答えは何か?
が最初に考えるべきこととして提示されています。
■導入部を作る
次にやるべきは、どのような事実を取り上げるのかを考えること。今起きていること、答えに行き着いた最初の取っ掛かりを見つけます。
それをリストアップします。
多くの人は、ここで1つだけの事象や取っ掛かりしか用意してません。
そうすると、それを否定する事象などが簡単に提示できるので、相手の結論を否定するのもそれほど難しくありません。
ですので、これをしっかり用意することは、自分の議論したい課題とその結論を通しやすくするためにとても重要です。
特に、話をする相手やメールを送る相手が、「何に興味があるか」によって適切な導入部は変わってきます。ここを間違うと結論は受け入れてもらえませんので、しっかり考える必要があります。
例えば、営業の担当者に新しいサービスを理解してもらうために、「クラウド技術が世の中に広まっている」という事を強調しても響かないですが、「顧客がクラウドを使ったコストダウンに興味があるというアンケート結果」なら興味を持ってもらえるでしょう。
逆に技術屋に「顧客の業務の効率化」をといても響きませんが、「クラウドとスマホの連携技術」なら興味を持ってもらえるでしょう。
同様に、役員に「生産品質の向上」について話をするより、「生産コストの削減」の方が興味を持ってくれるわけです。
■導入部と答えを一致させる
そこから、どういう結論に導くかは、首記の「物も言いよう」というやつです。それぞれに出した導入部から結論に導くルートを作ります。
出した導入部から、「風が吹けば桶屋が儲かる」というつながりを作ります。
つなげ方も多種多様にあるので、いろいろなつなげ方をしてみます。
風が吹く
↓
ホコリが目に入る
↓
メクラが増える
↓
三味線が売れる
↓
猫が減る
↓
ネズミが増える
↓
桶がかじられる
↓
桶屋が儲かる
というルートでもいいですし、
風が吹く
↓
火事が起きやすくなる
↓
防火用水の需要が増える
↓
桶が必要になる
↓
桶屋が儲かる
でもいいわけです。何度も出てきますが、どういう方法でも論理付けられるものです。
これをあるひとつの論理に固執してしまうと、話が硬直し、一点が否定されると論理が崩壊してしまいます。
■キーラインを見つける
色々出したたくさんの「ピラミッドの底辺」とたった一つの「ピラミッドの頂点」を結ぶ、たくさんの論理の線から、今の状況と相手にとって最もふさわしいものを見つけます。これを「考える技術・書く技術」ではキーラインと呼んでます。
これを見つける方法は、私はあまり知りません。
私の場合は、経験と勘に頼ってます。
ですので、たくさん失敗をして、「あの時、こういう風に論理を組み立てていればよかったな」と反省することで洗練されていくものだと思ってます。
■まとめ
まず結論ありきです。どのような結論に持って行きたいかを決定し、それを補強するための事象を相手に合わせて考えだす。そして、相手が納得しやすいような論理構成を考え、そこからキーラインを見つけて、やっと話ができるようになります。
会議でも、まず喋り出すのではなく、これを頭のなかで、ガーッと一気に回して、そこから喋り出しましょう。
話をする、文章を書く時には、
結論→事象→キーライン
でも
事象→キーライン→結論
その状況にそって話をすればいいです。
文章の場合は前者(結論が先)が、話の場合は後者(結論が後)が好まれるようですが。
これは組織によっても差異があるかもしれません。
■参考図書 『考える技術・書く技術』
Amazonのビジネス書カテゴリ1位を誇る、「考える」「書く」という仕事の基本を開設した本。同名の著書や類似の名前の著書も多いが、基本は本書にある。
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