コーチングを使うのは相手しだい3:理論編―人の成長の3ステップ




「きみならどうしたいと思う?」
「きみは、次にどうする?」

最近良く聞くようになったセリフですね。

管理職になったり、管理職直前の人に対して、人事教育の一環として

 コーチング研修

をする会社が増えましたし、ビジネス書などにもよく出てきます。

でも過信は禁物です。というか、これを万能のツールかのように考えるのは危険です。




■コーチングは使ってはいけない


前回の記事で、コーチングではダメな人の対応方法について、

 1.答えを選択肢にして示す
 2.行動を命令する

という方法について書きました。

対応方法でレベルをまとめると

 A.コーチングで指導する
 B.方針を選択肢として示して行動を考えさせる
 C.行動自体を指示する

という3段階の方法です。

ちょっと刺激的に「コーチングを使ってはいけない」と書きましたが、相手のレベルによって使う指導方法を変えないといけない、ということです。

他の記事でも書きましたが、誰にでも、どんなシチュエーションでもうまくいくたった一つの方法というものはありません。

後輩や部下の指導でも、ここでは説明の便宜上3段階に分けましたが、これも階段上に変わるものではなく、無限にあるパターンを都合でグルーピングしただけです。




■人の成長過程


人があるスキルを伸ばしていく過程というのは、紆余曲折があります。
右の図のように、何段階もレベルはあるのですが、簡単にまとめると3段階。

 第1段階: 能力がない状態
 第2段階: 能力が中程度の状態
 第3段階: 高い能力を持っている状態

この図では、さらに、「意欲」という軸を加えて、意欲が高い、中程度、低いの組み合わせで、9段階で考えています。


詳細な説明はまた後日にしたいと思いますが、今回は、能力だけに着目して3段階で説明します。

要するに

 第1段階の人には、対応 C
 第2段階の人には、対応 B
 第3段階の人には、対応 A
 
をするわけです。

対応Aを何度もやっていると、徐々に経験が蓄積されて、第2段階に進みます(時々進まない人もいますが)。そうしたら、対応Bをするようにしていけばいいわけで、いきなり、対応Cをしても第1、2段階の人には無理なわけです。

非常に単純なたとえですが、小学生に大学入試の問題を解けと言われても無理です。
まずは中学に行き、高校で勉強してから、大学の試験を受けさせましょう。

●注記●
この図は、『無敵のリーダーシップ』という本に書いてあった図を下敷きにしてます。
本書は、私が勝手にリーダーシップのバイブルだと時々推薦していますが、非常によく出来たバランスの良い本だと思います。
●注記終わり●

■当たり前を意識する


と、理論的背景を説明すると、「そんなの当たり前じゃん」と思えるかもしれませんが、自分の経験だと、「指導者(リーダーや上司)自身の能力で、部下や後輩・メンバーの実力を云々する」ひとが結構いるのですよ。

漢字検定1級を持っている人からみたら、「薔薇」ってかけて当たり前かもしれませんが、フツーはかけませんよ。少なくとも私は書けません。
PCが不安定なら、とりあえずデバイスマネージャやシステムログのエラーログをチェックするのが(私からすれば)当然ですが、存在すら知らない人も少なくないですよね?

自分にとっては当たり前にできることも、自分も含め、知らない状態から徐々にステップアップして来たのです。
知らない人には、まず「知る」ということから初めないとできるようにはなりません。




■参考図書 『無敵のリーダーシップ




瀬戸尚  『無敵のリーダーシップ―アカの他人を最高の武器に変える人間操縦術』
「他人を思いどおりに動かしてみたい」こんな素朴な願いから体代ビジネスマン必須の「リーダーシップ基礎技術養成」にまで完全対応。いつでもどこでも誰でも通用するスタイルを身につけたい人のための「How to Drive People」を追求した体系的リーダーシップ教科書。





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