道筋を記録するコンピテンシー養成法





どこかに旅行に行った時の写真などを友人などから見せてもらうことがありますよね。

私は実はこういう写真でいつも気になることがあります。

見晴らしのいい風景の写真はあるのですが、それがどんなところだったのかの写真がない、ということです。



たとえば、富士山に登ったとして、富士山から見た雲海の写真はあるのですが、写真を取った場所にどうやって行ったのかの写真がないんですよ。
「桜の花がとてもきれいな並木道だった」というのに、桜の写真しかなくて、その並木道はどんなところにあるのかが分かるような写真を取ってない。

■成果を記録しても再利用はできない


仕事でもそうなのですが、

 製品の××を組み立てる工数を 20% 削減した

という成果は立派なものです。それは賞賛されるべきものなのですが、5年後に「5年前と同じように、製品の○○の工数削減をしてくれ」と言われて、同じ成果が出せるかというと、まずありません。

成果自体は一過性のもので、成果を出すプロセスがその人の能力だからです。
採用面接や昇進昇格面接などで問われる「コンピテンシー」とはこういうものですね。

つまり、「どのような結果が出たのか」はその時点では重要ですが、「どうやって成果に結びつけたか」が今後は必要なことです。

未来において利用できるのは、過去の成果ではなく、過去のプロセスです。





■道筋を記録しなさい


だから、どういう道筋で富士山に登ったのか、どいう出来事があって、どうやったのかを記録していないと、仕事では「成果の再現ができない」事になってしまいます。

「桜の花が綺麗な並木道」なら、そこに行くルートや、交通の混雑状況、迂回方法を記録しておくと、「来年また来よう」と思った時に、またイチからドライブルートや出発時間の検討をしないといけなくなりますが、これが記録されていれば、来年は当日思い立ったとしても、十分に検討されたルートで行くことができるようになって、最初よりもスムーズに行くことができるようになります。

もちろん、今年はお弁当を忘れたのであれば、来年はお弁当を忘れないように用意しておくこともできて、来年はもっと楽しい旅行になるでしょう。

毎年、上司に成果として報告するのは、全体のプロセスのほんの一部と結果だけです。
これは記録としては大して意味をなしません。

その成果を出すために、毎日、

 ・なぜ
 ・どういう行動を取ったのか
 ・その結果は効果があったのか
 ・何に気がついたか

を記録し続けないと、同じ失敗を繰り返したり、毎回迷いながら仕事をしたりするはめになります。
結果として、成果の再現ができない、あるいは効率の悪い仕事をすることになるわけです。

年々、いや、日々成長するためには、

 ・記録をして
 ・振り返り
 ・記憶をする

ことが重要で、その第一歩が記録をすることなんです。

■風景も撮るけどまわりも撮る


もし、どこかに出かけたら、記録に残したいと思った風景は、その風景だけではなく、そこに行く道筋や一緒に行った人、道に迷った所なども一緒に記録しておきませんか。

仕事をしたら、「なぜ」「どうやって」結果を出したかも残しておきましょう。
もし可能なら、1年後に見返しているであろう自分に対するアドバイスなんかも、書いておくと1年後に先生付きで仕事ができるかも知れません。



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