報告書に必須の4要素:4.「答え」を論理的に推敲する





仕事で上司から「×××の報告書を作りなさい」と指示されたり、メールでちょっと長文のメールを書くことがありますよね(以下、まとめて「報告書」といいます)。
この時に、わかりやすい報告書とそうでない報告書を見比べてみると、わかりやすい報告書にはいくつかの特徴があります。

 ・設問者が期待した答えがある
 ・だれに何をして欲しいのかが分かる




というポイントが押さえられています。

一気に書くと長文になってしまうので、「報告書に必須の4要素」シリーズとしてご紹介します。

最初に登場人物をご紹介しておきます。

 報告書: 報告書・メール・プレゼン資料などの文書
      場合により、口頭での報告なども含む
 報告者: 報告書などの文書を書く人(多くは部下)
 書き手: 報告者と同じ。文書を作ることを意識して使い分ける事があります。
 設問者: 報告者に文章を書くように指示した人
      (多くは上司・メールの発信者)
 設問 : 設問者が報告者に発した内容そのもの
 読み手: 報告書を読む人。設問者も含まれるが、報告書は多数の人が読む場合もある。

前回の記事で、報告書に必要な4要素の前半の2つ「問い」「テーマ」について書いてきました。
※まぁ、シロウトの考え方なので、読み返してみるとお世辞にも整理されているとは言いがたいシロモノですが、また時間をかけて考え方を整理していきたいと思ってますので、今回はこんなところでご勘弁を。

本日は、いよいよ報告書作りに入ります。

いきなり、ワードなどを開いて書き始めると、いい報告書にはなりません。

まずは、ノートをひらく(私の場合は、PCでマインドマップを開きますが、このへんは趣味の問題)ことから始めます。

ここに、2つのキーワード「答え」と「反応」を入れていきます。




■答え


「答え」がそのテーマに対して、報告者の考えを示すものです。

報告書やメールを書くにしろ、口頭で話すにしろ、「答え」がないものは意味がありません。

つまり、どのように立派な論理的推敲をしたとしても、「設問に対する答え」というコンテンツがないとダメということですね。
そのためには、まず設問をちゃんと捉えることが重要なのですが、答えを導き出すのは、論理思考ではなく、直感かもしれません。

これは直感でいいと思ってます(私も、直感主体なタチですし…)。

しかしながら、直感で得た答えであるにしても、その説明は論理的でなければ、相手に理解してもらえません。
ここまで述べてきたように、報告書などの書類は、

 読み手と書き手のコミュニケーション

だからです。なぜそのような答えになるのかが説明できなければ、一方通行・手前勝手になるだけで、コミュニケーションにはなりません。

ここは論理的記述の技術の出番です。MECE と SoWhat/WhySo を駆使して、頑張って論理展開と収束をします。
MECE や SoWhat/WhySo は論理技術の点では基本中の基本なので、ご存知とは思います。また、ここでの主題ではありませんので細々とは説明しませんが、私が気をつけている注意事項だけご紹介します。

●MECEの注意事項
・全体の集合とは何かをきちんと定義してから MECE 分解すること
・切り口を途中で変えないこと
・MECE のそれぞれの要素に、要素を代表する名称をつけること
・要素の名称は抽象化しすぎないこと。一般的に一意に決定できる要件にすること
・要素の水準(分解レベル)が「ほぼ同じ」になるようにすること
・要素の大きさが「ほぼ同じ」になるように均等分割すること
・「その他」で逃げないこと

●SoWhat/WhySo
・要点と要素が相互に必要十分条件になっていること
・自己満足になっていないかをチェックすること
・途中に別の要素や論理がないと成立しない SoWhat/WhySo がないこと(飛躍・省略していないこと)
・AND/ORの関係に注意すること
・SoWhat/WhySoの関係の例外を出しておくこと
・「当たり前」と思っているのは自分だけ
・修飾語・感覚的形容詞で飾らない
・循環論理に注意する(「Aが必要である。なぜならAがないから」)
・個人の判断や意思と必然的因果関係を混同しない

◆「答え」は論理の要約


「答え」で時々勘違いしているのを見かけます。それは、

 「答え」とは自分の言いたいことである

と思っていいる報告書があるんです。全然違いますから

報告書に書くべき「答え」は

 報告書に書いたそれぞれの要素から必然的に導出される要約

です。つまり、その報告書に書かれていないことを結論にしたり、話が飛躍したりしてはいけないということなのですが、人間、自分の知っていることやあたりまえだと思っていることは、相手も同じように知っていると勘違いします。その結果、「なんでそうなるの?」という結論になっていることが少なくありません。

かくいう私も、上司に報告するときには、細心の注意をしているつもりですが、結局上司からの質問攻めにあったりしています。
まぁ、分かるかどうかは相手次第、分からないものは分からないで仕方がありませんが、分かるような努力はしたほうが、多少良くなるでしょう。

◆突破口に注意


報告を受ける側からすると、相手の論理を崩すのはすごく簡単です。

テーゼにはかならずアンチテーゼがあります。
原則にはかならず例外があります。

複数の論理で構成される「答え」は一点を崩されれば全体が成立しなくなります。

つまり、論理的な報告であればあるほど、一点を崩してしまえば、

 論理不成立=報告書の意味を成していない

にできちゃうんですね。
上司がそれをやらないのは、部下の意見や報告をなるべく尊重しようと思っているからです。
※「面倒くさい」と思っているだけ、という場合もありますが…。

この一点崩壊を起こさないためには、もしこの論理を崩すとしたら、どこなのかを事前に考えて、その答えを用意しておくか、もし用意できなくとも、それでシドロモドロにならないようにしておくのが重要になります。

キーワードは「接種効果」。長くなるので詳細はまた別稿で。

でも、最後は、「答え」は「こうしたい」という強い意思かもしれません。



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