「北風と太陽」のお話はご存じの方も多いでしょう。ただ、ここから学べることとして、よく言われていることとは別に、私が意識したことがあります。
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●穏やかに話す
わたしは子供のころ、ミズーリ州の片いなかの小学校に通っていた。その当時、太陽と北風が腕くらべをする寓話を読んだことがある。
北風が「ぼくのほうが強いに決まってる。あそこにオーバーを着た老人がいるだろう。ぼくは君よりも早く、あの老人からオーバーを取ってみせる」といばった。
太陽は、しばらく雲のうしろにかくれた。北風は勢いよく吹いた。だが、北風が吹けば吹くほど、老人はますますしっかりとオーバーで体を包んだ。北風は精根つきて、吹きやんでしまった。
そこで太陽は、雲間から顔を出し、老人にやさしくほほえみかけた。しばらくすると、老人は額の汗をふいてオーバーを脱いだ。
太陽は、やさしい親切なやり方は、どんな場合でも、激しい力ずくのやり方より、はるかに効果のあるものだと北風にさとした。
デール・カーネギー(著) 『人を動かす』
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北風と太陽の話でそこから学べることは、一般的には「優しさこそが人を動かす」というようなものなのですが、もうすこし前段を読むと、北風と太陽が能力比べをするところから始まっています。
つまり、太陽の目的は、ひとにコートを脱がせることではなく、北風に自分の力をみせつけることにあったんですね。コートを脱がせるというのはそれを誇示する方法であって、目的ではなかったはずです。
つまり、太陽にせよ、北風にせよ、自分の目的は旅人には知らせていなかったわけ。
もし太陽が旅人に「実は北風と賭けをしていて、あなたがコートを脱いだら勝ちなんですよ」みたいに話したらどうだっただろうか。さらにその賭けの種にされた旅人は、
「いい面の皮」にされた
と思ったりするのではないでしょうか。
■意図を隠して、行動を促す
もちろん、目的を共有し、同じ目標を持って行動することによって、組織が臨機応変に活動し、最短で目標を達成するようなことは理想ではあります。しかし、理想はあくまでも理想です。本書のように、「穏やかに話す」「優しさで対応する」みたいなことをしても、それを促せるかどうかは、相手次第。
それよりも、「どう行動して欲しいか」を明確に言ったほうが、期待通りの行動を取ってくれる確率は高いのではないでしょうか。
もちろん、その行動をとった時に相手が得られるメリットはちゃんと説明するにしても、「自分がなぜ相手にそのような行動をとってほしいのか」は、相手には不要な情報なのかもしれません。
私の根性がネジ曲がっているせいかもしれませんが、自分の意図や利益は隠しておいたほうがうまくいくときもある、ということで。
■ちなみに
ちなみに私が北風ならこんな勝負はせずに、「どちらが湖を凍らせることが出来るのか」みたいな勝負を挑むと思いますが、まぁ寓話なので…。
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●関連 Web
悪用厳禁!心理学で人を動かす7つの秘法 - ライフハックブログ
人を動かす-Wikipedia
人ひとを動うごかす―デール・参考カーネギーによる人間関係の古典―:日本語文学ガイド
転職を繰り返したD.カーネギー――世界最大の自己啓発本「人を動かす」を作った男
説得コミュニケーションの原則―Diamond Online
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