なぜそれがルールなのかを考える




会社には実に様々なルールがあります。

こういうルールは、歴史の長い会社ほど多いのかもしれませんが、いろいろな問題にぶつかるたびに、「こういう失敗を繰り返さないために」という理由で、さらにルールが追加されていきます。




そのうちに、ルール自体が別のルールと矛盾してわけがわからなくなってしまう。そんなことも一度や二度ではありません。

■失敗の恒久対策


多くの場合、なにか失敗すると再発防止が求められます。

理想の姿から言うと、淡々と作業すれば失敗しないような仕組みを作るのがいいのですが、それは相当考えないとできません。

いきおい、「××をするときには、以下の確認をする…………」みたいな再発防止策をたてて、それが承認されるとルールになります。

私の仕事で言うと、ソフトを関係者に提供することが仕事なので、ミスのないソフトを提供するために、いろんなチェックリストがあります。ところがチェックリストをやること自体を忘れるので、チェックリストをすべてやったかどうかのチェックリストがあり、それがまたたくさんになるので、

 チェックリストのチェックリストのチェックリスト

なるものがあって、何のことやら状態。




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確認は、ミスが起きる確率をできるかぎり少なくするために必要な行動です。その行動を引き起こすためには、「本当にそれで大丈夫か」と考えるステップが必要になるのです。

あなたにも、「確認をしておけば防げたミス」に心当たりがあるはずです。そのとき、どうして確認作業をしなかったのでしょうか。多くの場合は、自分への過信が原因なのです。「きっと大丈夫だろう」このように考えたときや確認する必要性自体を感じない場合に、ミスは発生します。実際に、確認をしなくても次の行動に支障はありません。だから、「なくてもよい作業だ」と省いてしまいがちです。
企業でもひとたびクレームが発生すれば、確認するという工程を組み込みますが、そのほとんどが、何か問題が起きてからです。しかも、しばらくたって同様のクレームが発生しなくなると、なぜか効率化という名のもとに、その工程がなくなります。このあと、クレームが再発するのは当然です。

鳥原隆志(著) 『たった5秒思考を変えるだけで、仕事の9割はうまくいく
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しかし、上記の理由のように、その時点は必要だったのです。そうしないと問題は防げないはず。
だから恒久対策として盛り込まれたわけですね。

本書『たった5秒思考を変えるだけで、仕事の9割はうまくいく』でも書かれているように、確認作業のチェックリストは、過去にあった失敗の反省からできたものなのですが、これをやった結果が現在の複雑怪奇なルールブック+チェックリスト。

■だれも理由を知らない


ところが、問題になるのは、「意味不明な業務が多すぎる」とこういったチェックリストを整理する事になった時。

どうしてそのチェックをしないといけないのかわからないものが少なくありません。たんなる歴史の結果としての、「やること」だけが残って、その理由となった失敗がどこにもなくなってしまうのです。

その結果本書『たった5秒思考を変えるだけで、仕事の9割はうまくいく』にも書かれているように、「こんなのやらなくていいよね」と削った確認項目が、のちの火を噴く原因になるわけです。

■なぜルールなのかを考える


もし不幸にして、あなたが何かの失敗をして、恒久対策としてルールづくりを担当する事になったら、かならずルールの補足として、「×××で○○して失敗した」という事実を書いておきましょう。後世の人達が、同じ失敗を繰り返さないように。

そしてもし、業務効率改善の一環として、あなたがルールの整理をすることになったら(これも不幸かも…)、すぐに「こんなのわかりきってる」とかんがえる前に、「なぜ××のルールがあるといいのか?」をよく考えてみましょう。

つまり、「×××をしないことによる失敗とはどんなものか?」を事例を上げて考えることです。それによって、別の手段で代替できる確認なのか、代替手段がないのかを検討する素材になります。その上で、そのルールに関わったと思われる会社の年配者に、「×××のルールは、○○○の失敗を防ぐためかと考えましたが、いかがでしょうか?」と聞いてみることです。

直接的にその答えを知っている人にぶつかるかもしれませんし、もし直接的な答えを知らなくても、その人の失敗談を聞ける機会になるかもしれません。
※自分で事前に考えることなく「このルールなくしていいと思いますか?」と聞いてはいけません。理由は言わずもがな。

こうした過去の人達(失礼な…)との人脈形成や、失敗事例を学ぶことによるあなたの知識向上に役立つ事になります。




■参考図書 『たった5秒思考を変えるだけで、仕事の9割はうまくいく





立ち読みできます立ち読み可
「考えて仕事をする」とはどういうことなのか?

「もっと考えて仕事をしなさい! 」
「そんなこと、少し考えればわかるだろう! 」

上司や先輩から、このように叱られることはありませんか?
叱られている本人だって、それなりに考えて仕事をしています。それなのに、うまくいかない。
その本当の原因は、「考えていない」ことではなく、「考え方が間違っている」ことにあります。

仕事のさまざまな場面で、何を考えれば的確な行動ができるのか。できる人が必ず押さえている「15の視点」を本書で解説します。
行動を起こす前の「たった5秒」。そこで何を考えるかが勝負です。





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たった5秒思考を変えるだけで、仕事の9割はうまくいく
著者 :鳥原隆志

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●本書を引用した記事
 遊び時間を作る
 考える仕事は早めに終わる
 指差し確認、もう一度確認
 5秒の予知能力を身につける
 あふれるコップの水を拭いても無駄
 頑張ろうと思わない
 「あとで…」という言葉には利子がつく
 親しみのある「たとえ」を使う
 心理的にプレッシャーを与えると交渉が楽になる
 逆算の発想でスケジュールを作る

●このテーマの関連図書


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posted by 管理人 at 05:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 知的生産術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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