できない人はできない




私が時々出没する Yahoo 質問箱に、「同僚で○○○ができない人がいる。なんとか教えてあげたい」というような質問があります。

■他人を教育したい

質問者の気持ちや、業務ミッションとしての教育・指導については、よくわかります。
ある程度仕事に慣れてくると、後輩や部下、自分より特定の分野で仕事が「できない人」の教育・指導という仕事が当然のように発生しますし、昇進していけば、ますますその業務の割合や重みは増していきます。

しかしながら、教育や指導というのは、所詮「できる人」から「できない人」への伝授であって、「できない人」がそれを受け入れられる素養があるかどうかは別物です。できるようにするのが責務だとは思いますので、責任を放棄するわけではありませんが、単なる作業ですら難しい場合があるのに、「考え方」みたいなものはもっと難しい。

★〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

ちょっと話が脇道にそれますが、このような、「できる人はできるが、できない人は言われてもできない」ということについて、私自身の話をすると、私はケンブリッジに入ってすぐ、自分が「目的から考え始める」ということが苦手だということに気づきました。それ以外にも成長しなきゃいけないことはたくさんあったのですが、そういうのは脇において、しばらくは「目的」のことだけを意識するようにしました。そして、自分に目的志向が身に付いたかな、とふと気付いたのは二年ほど経った頃です。意識しなくても自然にできるようになっていました。
何が言いたいかというと、ある種の能力は、身に付けようと思ってもすぐには身に付かない。身に付くのに数年かかることもあるということです。「広いスコープで考える」というのは、その種のことかもしれません。だとすると、できない人ができるようになるには、日常的に意識して、それを数年続ける、ということが必要だということになります。

影山明(著) 『プロジェクトを変える12の知恵
――――――――――――――――――――――――――――★


本書にあるように、「行動は目的が第一」というのは、ちょっと勉強好きなビジネスマン(「サラリーマン」とは区別して「ビジネスマン」と言ってます)なら、当然知ってます。

でも、そういう人たちがすべて、目的を再優先に行動しているかというと、ちょっと違いそうです。
※かくいう私も、いつの間にか最初の目的などすっかり忘れて、「時間効率を高めるテクニックを実験する」とか「集めた情報や経験をブログにまとめる」ことに喜びを感じていたりして…。
※なぜ仕事術を意識し始めたのか、当初の目的はどこへやら。

■できない人はどうやってもできない

私は高所恐怖症です。高いところに上がると、怖くて足がすくむ。
知人に大工さんがいるのですが、彼からすれば、「地面においた板の上は歩けるのに、それが高さ3メートルにあったって同じだろう?」と。

 「いやいや、落ちたら死んじゃうよ?」
 「だからぁ、地面においてある板を踏み外したりしないだろう? 幅が1メートルもあるんだぜ?」

そんなことを言われても、できないものはできない
でも、出来る人には、なぜできないのかわからない、ということです。

 馬を水場まで連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない

と言う"ことわざ"は、意思のないものには何をさせてもムリ、という意味だと思いますが、意志があろうとなかろうと、「できないものはできない」というのが、私の経験則。

以前、勝間和代氏と香山リカ氏の対談本勝間さん、努力で幸せになれますかなどで話題になったことが以下の本に簡単に要約されていましたので、ご紹介。

★〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

前出の 『夢をかなえるゾウ 文庫版』 の主人公も、「成功したい」「変わりたい」と思っているのに、なかなか変われない若者だった。
 :
 :
ただ、この本は「変わりたいけど、変われない」「いつかは成功したい」という若者の気持ちをつかみ、大ヒットしたのだった。

そう、みんな「変わりたい」と思うのだが、「変われない」のである。気づけば、本棚は自己啓発本だらけになっていくのである。
「変わりたい」「成功したい」という想いを持ち、とり組むのだが、疲れてしまう人、倒れかてしまう人もいる。

少し前になるが、2009 年に勝間和代氏対香山リカ氏の「ふつうの幸せに答えはあるか」論争が起き、話題になった。

キッカケは 『しがみつかない生き方(香山リカ著、幻冬舎新書)』の最終章において「<勝間和代>をめざさない」と書いたことだった。ここでの勝間和代氏は<括弧>つきであり、象徴としてのものではあったのだが。同書によると、勝間和代氏に憧れ、彼女が書く自己啓発本を読み、変わるために努力するのだが、「周りの仲間は上手くいっているのに、私は上手くいかない」と悩んでしまい、うつになってしまう女性がいるのだという。

水野敬也(著) 『夢をかなえるゾウ 文庫版
――――――――――――――――――――――――――――★


私自身がそうであるように、たとえ、意思があったとしても、やっぱりできないんですよね。

■教えてもダメなら、無理強いはしない

結果的に、そういう人の指導を任された時に、どうすればいいかというと、

 諦める

ことです。あなたが簡単にやれることでも、それはあなただから。あなたではない人は、あなたと同じ能力はありません。

ただ、何もせずに放置するのは無責任なので、その人が(たとえ、期待されるレベルにならなくとも)やれることを一緒に探してあげることです。それ自体を拒否されるならどうしようもありませんが、上から目線ではまずダメですが、手を変え品を変え、つきあいかた、言い方を変えて、一緒になってやれることを探してみることは諦めたくないですね。





■参考図書 『夢をかなえるゾウ 文庫版

ダメダメな僕のもとに突然現れた、ゾウの姿をしてなぜか関西弁で話す、とてつもなくうさん臭い神様“ガネーシャ”。聞けば、ナポレオン、孔子、ニュートン、最近ではビル・ゲイツまで、歴史上のキーパーソンは自分が導いたという…。しかし、その教えは「靴をみがく」とか「コンビニで募金する」とか地味なものばかり。こんなんで僕は成功できるの!?TVドラマ化、アニメ化、舞台化された、ベスト&ロングセラー。過去の偉人の具体例から導き出される、誰にでもできる超実践的な成功習慣を小説に織り込んだ、笑って、泣けて、タメになる、まったく新しいエンターテインメント小説。




◆アマゾンで見る◆◆楽天で見る◆◆DMMで見る◆

夢をかなえるゾウ 文庫版
著者 :水野敬也

夢をかなえるゾウ 文庫版
検索 :最安値検索

夢をかなえるゾウ 文庫版
検索 :商品検索する



●関連 Web
 夢をかなえるゾウ−Wikipedia
 夢をかなえるゾウ 水野敬也 心に刺さる名言集 まとめ

●本書を引用した記事
 お金を稼ぐ読書術
 人生に変化を起こす方法
 できない人はできない
 決定事項に必須の3要件


●関連図書
 夢をかなえるゾウ2 文庫版 ~ガネーシャと貧乏神~
 夢をかなえるゾウ3 ブラックガネーシャの教え



■参考図書 『プロジェクトを変える12の知恵

プロジェクト成功率95%!
最大限の「やってよかった!」を引き出す「知恵」をすべてお見せします!

「プロジェクトの目標がぼやけている」「議論の結果が行動につながらない」「メンバー間の意見の不一致が放置されたまま」「会議で延々と議論する割には結論が出ない」――。自分が携わるプロジェクトでこんな症状に悩んでいる方は少なくないはずです。
「プロジェクト成功率95%!」――。この数字を信じられますか?そして、それを達成するための秘密があるとすれば知りたくはありませんか?その秘密が、本書で解き明かされています。
「プロジェクト成功率95%」を誇るのは、情報システム関連コンサルティング会社のケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ。同社に転職した筆者が、「なぜケンブリッジの成功率が高いのか」を考え、解き明かした秘密について、自らの驚きを交え紹介します。




◆アマゾンで見る◆◆楽天で見る◆◆DMMで見る◆

プロジェクトを変える12の知恵
著者 :影山明

プロジェクトを変える12の知恵
検索 :最安値検索

プロジェクトを変える12の知恵
検索 :商品検索する



●本書を引用した記事
 「振り返り」をするポイント
 ファンクショナリティマトリクス
 どうして問題を抱え込むのか
 あなたが座っていた椅子を見なさい
 業務改革の教科書3
 時間を見える化する
 どうして問題を抱え込むのか
 プロジェクトを変える12の知恵 -ケンブリッジ式ファシリテーション-
 できない人はできない
 フレームワークに頼ってはいけない

●このテーマの関連図書


業務改革の教科書―成功率9割のプロが教える全ノウハウ

会社のITはエンジニアに任せるな!―――成功率95.6%のコンサルタントがIT嫌いの社長に教えていること

反常識の業務改革ドキュメントプロジェクトファシリテーション〈増補新装版〉

世界で一番やさしい会議の教科書

プロジェクトファシリテーション

先制型プロジェクト・マネジメント―なぜ、あなたのプロジェクトは失敗するのか






■参考図書 『「キャリアアップ」のバカヤロー 自己啓発と転職の“罠”にはまらないために

あなたの「自分磨き」は間違っていないか?『就活のバカヤロー』の著者が、転職、資格、自己啓発などキャリアアップにがんばる会社員の報われない現状を報告。悠々と生き残るための新たな視点を提案する!




◆アマゾンで見る◆◆楽天で見る◆◆DMMで見る◆

「キャリアアップ」のバカヤロー 自己啓発と転職の“罠”にはまらないために
著者 :常見陽平

「キャリアアップ」のバカヤロー 自己啓発と転職の“罠”にはまらないために
検索 :最安値検索

「キャリアアップ」のバカヤロー 自己啓発と転職の“罠”にはまらないために
検索 :商品検索する



●本書を引用した記事
 キャリアアップって?(キャリアアップのバカヤロー)
 転職はキャリアアップ、それともキャリアダウン?
 できない人はできない
 キャリアアップの2つの道

●このテーマの関連図書


「できる人」という幻想―4つの強迫観念を乗り越える(NHK出版新書433)

最強の働き方;世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓

35歳までに読むキャリア(しごとえらび)の教科書就・転職の絶対原則を知る(ちくま新書)

ツイッター創業物語金と権力、友情、そして裏切り





■同じテーマの記事

「振り返り」をするポイント

ちょっと前から、会社では「振り返り」というのが、ちょっとしたブーム。最近は定着してきましたが、「振り返り」って何をすればいいのか、よくわかっていない人もいるようです。本日は、上司、先輩から出す「振り返り」のコツについて。チェックポイントケンブリッジコンサルタントという会社では、「チェックポイント」という振り返り会があるそうです。Pケンブリッジが「チェックポイント」と呼んでいるのは、「短..

ファンクショナリティマトリクス

会社でなにかのソリューションをプレゼンしている時に「それですべての要件を満たしているのか?」と聞かれることがあります。こういう時に便利なのだけど、意外と知らない人が多い、ファンクショナリティ・マトリクスをご紹介します。本記事は以下の本を参考にしてます。『プロジェクトを変える12の知恵』ファンクショナリティ・マトリクスとはフアンクショナリティ・マトリクスはシステム機能の要..

どうして問題を抱え込むのか

上司の悩みのひとつとして、問題点が爆発(寸前)するまで報告がないというものがあります。どうしてこんなことになるんでしょうか?問題を抱え込む端的に言ってしまえば、部下は問題を報告しないからなんですが、この理由が以下の本に分析してありました。P214問題を抱え込むのは、「それが自然な心の動きだからだ」と前段で述べました。でもそれでは、どのように解決すれば..

あなたが座っていた椅子を見なさい

私は、席をたつ時いつも自分が座っていた椅子を見るようにしてます。もともとは、私がオッチョコチョイで、すぐに忘れ物をすることから始めた習慣でした。最初は意識してやってましたが、最近は自然に視線が元いた場所に行くようになりました。数秒もかかりませんが、得られるものはすごく多いです。席をたつ時あなたが席をたつ時、何を考えてますか?おそらく大部分の人は、席を立った目的、つまりコーヒーを買いに行くとか会議に出るなどの目的があって席を立ちますよね。そ..

業務改革の教科書3

あなたがもし、何かのプロジェクトのリーダーをやっていたり、組織を率いる管理職なのであれば、この本は絶対に読んでおいて欲しい本です。私は、この本の目次をマインドマップに書き出して、時々見返しています。管理職やリーダーに要求されることは、すごく簡単に言ってしまえば、組織力を使って会社に直接貢献できる成果を出すことです。そして、組織を改革して、常に効率を改善し続けることです。本書は、社内の結構大きな業務改革をするときに、必要なこと..

時間を見える化する

私の改善におけるモットーというか基本原則として以下の様なことを意識しています。測定できないものは見えるようにはできない見えないものは改善できない製造業で言えば、「改善=見える化」みたいに言われてます。もちろん、見えるようになったからといって改善するわけではありませんが、見えるようになれば、どこに問題があるのかがわかるようになります。当たり前の話ですが、問題を見つけてその問題を解決することが改善なので、そもそも問題が発見できないものは改善しようがないわけです。ただし..

どうして問題を抱え込むのか

上司の悩みのひとつとして、問題点が爆発(寸前)するまで報告がないというものがあります。どうしてこんなことになるんでしょうか?問題を抱え込む端的に言ってしまえば、部下は問題を報告しないからなんですが、この理由が『プロジェクトを変える12の知恵』に分析してありました。問題を抱え込むのは、「それが自然な心の動きだからだ」と前段で述べました。でもそれでは、どのように解決..

プロジェクトを変える12の知恵 -ケンブリッジ式ファシリテーション-

参考図書『プロジェクトを変える12の知恵 -ケンブリッジ式ファシリテーション-』書名:プロジェクトを変える12の知恵 -ケンブリッジ式ファシリテーション-著者:影山明出版社:短期集中連載 プロジェクトを変える12の知恵内容を紹介した記事どうして問題を抱え込むのか部下や後輩を指導していると、言った仕事の期限ギリギリになって、「実は××で〜」と報告してくる場合があります。「もっと早く相談しろよ!」と怒鳴りたくなる場面も..

できない人はできない

私が時々出没する Yahoo 質問箱に、「同僚でができない人がいる。なんとか教えてあげたい」というような質問があります。他人を教育したい質問者の気持ちや、業務ミッションとしての教育・指導については、よくわかります。ある程度仕事に慣れてくると、後輩や部下、自分より特定の分野で仕事が「できない人」の教育・指導という仕事が当然のように発生しますし、昇進していけば、ますますその業務の割合や重みは増していきます。しかしながら、教育..

フレームワークに頼ってはいけない

世の中にはいろんな考え方のフレームワークが公開されてます。とくに多いのは企業戦略についてですが、私達がよくよむビジネス書もほとんどは「こう考えるとより高い成果が出せる」というフレームワークのひとつです。見事な図になったものもありますし、文章だけのものものありますが。フレームワークは万能ではないこういうところで示されたフレームワークは、何かの説明をするときに非常に強力です。たとえば、マイケル・ポーターの5F分析。(1)「既存競合..



posted by 管理人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 組織マネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック