「社内政治」っていう言葉を聞くと、なんだかダーティなイメージがありますね。
なんだか腐臭漂うドロドロの世界とか(そっち系のドラマの影響が多すぎかも)。
■政治は避けて通れない
ある程度の年齢、ある程度の職位になれば、だんだんわかってくるものですが、会社は所詮人間の集まりです。
人間の集まりである以上、個々人の欲求が反映されたものになります。
もちろん、論理的に考え、目標を持って行動し、組織に対して貢献する成果を出していくというのが王道ではあるものの、それだけでは自分のやりたいことや出世、昇進はなかなか難しいのが事実です。
これらの人間の裏面というか、感情面みたいな方面が離散集合しているのがいわゆる「社内政治」。
本音を言えば、こういうのはない方がいいです。人間関係やその力関係など、考えるのは面倒くさいですし。
ある戦略に基づいて、しっかり理論理屈を立てて、効率的に業務を進めながら、組織も構成員も成長して自己実現していくのが気持ちが良いようには思いますが、人間が集まって組織を作る以上、こういうのは避けられないんですね。
過去記事にもいくつか紹介しましたが、こういうドロドロで弱者の立場に立たされず、自分の立場を強化するためにやっておくことが
・自分の存在意義を作る
・自分でなければできないこと作る
・上司や役員とのパイプを作る
・自分の影響力を強化する
・人間関係のネットワークを作る
などなどのことです。
■情報の裁定取引
こうしたコツの中で、一般職サラリーマンがもっともいい位置にいるのが、
情報を持つ
ことです。
「裁定取引」って聞いたことがありますか?
これは経済用語で、単純に言えば、異なる値段で取引されている商品の差額で儲けるという方法です。
たとえば、A市場で1000円で売られていたものがあって、B市場で1100円で取引されていれば、A市場で買ってB市場で売れば100円儲かります。
A市場では1000円の価値しかないのに、B市場では1100円の価値があるんですね。
同じことを「情報」でやるわけです。
あなたが業務上知り得た情報というのは、別の人にとってもっと価値がある情報の場合が少なくありません。
インターネット全盛だからといって、すべての情報がネット上に無料で流れているわけではありませんし、無料で流れていても、それを検索する手間みたいなものが発生するわけです。だから「まとめサイト」みたいなものが重宝されるわけですね。
同じことが社内でも発生します。
あなたがもし営業職なら、自分の担当地域のお客様のニーズはあなたが一番知っているでしょう。その地域の競合の動きもあなたが社内一番。
これを、そういった情報をまとめている商品企画部に売るわけです。そうすれば、あなたが製品開発に関わることが出来るようになって、社内におけるあなたのプレゼンス(存在感)が上がるわけです。タダでくれてやれば、相手は情報に価値を見いだせませんが、有償で情報を出すようにすれば、相手はその情報に価値がある事に気が付きます。
有償でと言っても、「袖の下」をもらえと言っているわけではありません。見返りを要求することです。
人に売るときは、ナマでは売れないことが多いです。だいたい人間は面倒くさがりなので、自分のほしい状態にして貰いたがります。
つまり、情報を相手にほしい形に整理したり、理論理屈で体系化したりして、付加価値をつけて売ることです。
さらに売り切りではなく、紐付きで売ります。
つまり、その情報を小出しにしたり、その情報をどのように使うのかまでアフターフォローするのです。それによってさらに情報にあなたの労力という価値が加わります。
■社内政治に参加する
こうして、情報を作って売り込みを始めると、多くの人間関係が、あなたの持っている情報というフィルタを通して見えてきます。
その人間関係と力関係が社内政治です。
そこに自分も参加して、自分のポジションを築いていくことで、簡単にリストラされない位置を築くことが出来るようになります。
こうした社内政治に疎いと「あんた、来月から来なくていいから」というのを突然言い渡されることになります。
でも実際には、「リストラしないといけない」という議論が何ヶ月も前から始まっているわけです。その情報は、人間関係で流れてきます。
そこに足場があれば、あなたのもとにも届きますよ。
政治を利用して昇進していくという積極的な方法もありますが、少なくとも自分の身は自分で守れる程度になりたいですね。