「想定外」と言う言葉、ちょっと前にはやりましたね。
私などは、毎週、何か「想定外の出来事」に見舞われて、ジタバタしてます。
何で、起きてしまえば当たり前のことが、事前には「想定外」になってしまうのでしょうか?
■仮説を検証することは毒になる
問題解決の方法として、
仮説をたてる → 仮説を証明する
という方法が取られます。その時に、「想定外」の落とし穴にはまります。
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「確証のワナ」とは、新しい情報を、自分の意見や信念に無理やり合わせて解釈する傾向のことを言う。別の言い方をすれば、自分の考えと一致しない情報(以下「反対の証拠」と呼ぶ) を、フィルターにかけて見ないようにすることだ。
これはとても危険である。「目を背けても、真実はなくならない」とは、イギリスの作家、オルダス・ハクスリーの名言だ。それなのに、わたしたちはまさしく目を背け用途する。
では、どうしたらいいのだろうか?
「特殊なケース」という言葉が出てきたら、より注意深くなろう。背後には「反対の証拠」が隠れていることがよくあるからだ。
ある教授が「2 、4 、6 」と数字を書いた紙を学生の前へ置く。
被験者の学生たちは、それに続く数を予想することで、数がどのようなルールで並んでいるかを当てなければならない。
そのルールは紙の裏に書いてある。学生がルールに当てはまる数字を挙げた場合には、教授が
「ルールと一致」
と答える。当てはまらない数字を挙げた場合には
「ルールと不一致」
と答えることになっていた。
被験者は、好さなだけ数字を挙げることができる。ただし、どんなルールか当てるのは一度だけしか許されなかった。
ほとんどの学生は、続く数字を「8」と答え、教授1ば「ルールと一致」と返事をした。念のために、彼らはさらに「10」「12」「14」と数字を挙げていった。教投は、数字が挙げられるたびに「ルールと一致」と答えた。これに基づき、被験者のほとんどが単純な結論を引き出した。
「ルールは、最後の数に2 を加えた数字です」。
ところが教投は首を横に振った。「紙の裏に書いてあるルールはそいうではありません」。
たった1 人、非常に知恵のある学生だけは違う方法で課題に取り組んでいた。彼はまず「4」で試してみた。すると教授は答えた。「ルールと不一致」。
「それでは 7 は?」
「ルールと一致」。
それからこの学生は、時間をかけてありとあらゆる数字を挙げていった。「マイナス24」「9」「マイナス43」。
彼は、ルールに当てはまらない数字をさんざん挙げた末に、ようやく答えを導き出した。「ルールは、次に来る数字は前の数字よりも大きくなければならない」。
教授が紙をひっくり返すと、そこに書いてあったルールは、まさしくその学生が答えた通りだった。
その学生とほかの学生たちの違いは、いったい何だったのだろう?
ほかの学生たちは「自分の推測の正しさを証明するもの」を見つけようとしていたのに対し、賢い学生は「自分の推測の誤りを証明するもの」を探していた点である。しかも、意識的に「反対の証拠」を探したのだ。
「確証のワナ」にかかると、無傷ではいられない。このワナがわたしたちの生活にどのような影響を与えているか、次の章でお伝えしよう。
ロルフ・ドベリ 著 『なぜ間違えたのか』
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引用が長くて恐縮ですが、ここは大事なところなので、じっくり考えたいところです。
私達は、あるパターンを見ると、直感的にそこにある法則性を判断します。
それ自体は悪いことではないのですが、その結果その法則に当てはまる事実だけを探すようになります。
その結果、「仮説と事実が一致した」と判断して、間違った判断を下します。
■仮説の検証は、反証を探す
もう、結論はお分かりですね。
仮説の検証は、反証を探すこと
が絶対条件なんですよ。この「知恵のある学生」のように。
■反証は検証する
もう一つの落とし穴が、
反証を見つけても無視する
というパターンです。「これは例外だから」「これは別の現象だから」と反証をイレギュラーなものとして、軽視してしまうんですね。
その反証を含んだ仮説の再構築が必要です。あるいは、反証がイレギュラーであるという仮説を証明することが出来るのなら、無視してもいいかもしれません。
よくやるミスは、「元の仮説からすると、反証はイレギュラーである」という判断を下すこと。
仮説が立証されていないのに、それを根拠に反証を否定しては何の意味もありません。
心理的に、ある仮説を立ててしまうと、その仮説を補強する事実しか見えなくなります。
そうすると、正しい答えは導き出せません。
その結果「視野狭窄」に陥るんですね。だから、見えていないものを見つける工夫をしないと正解にはたどりつけません。
■参考図書 『なぜ、間違えたのか?
』
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