もしあなたが、誰かに何かを提案し、了解してもらおうと思うなら、その何かをすることによるメリットだけではなく、リスクを説明すると説得力が増します。
リスクは 2 つの種類があります。
・そのプロジェクトが失敗する可能性のリスク
・そのプロジェクトをやらないことによる損失
です。
■プロジェクトが失敗するリスク
多くの人は、「リスクを説明してください」というと、その提案を実際にプロジェクトとしてやった時に、プロジェクトが成功しない場合を?明します。
それはそれで正しいのですが、この説明は、そのプロジェクトに参加する人にとっては、「自分のデメリット」として受け取ります。つまり、なるべくなら自分がその担当になるのを避けようとする心理が働くわけです。
もちろん、「全くリスクはありません」などと言おうものなら、眉唾されるのは明らかなので、相応に説明はしないといけませんが、なるべく過小評価されるように言うのが説得のコツ。
■プロジェクトをやらないことによる損失
私は何かを説得しようとするとき、これを必ず入れるようにしてますが、これを?明する人は、私の経験からすると結構な少数派です。
これを必ず入れるようになったのは、以下の本から学びました。
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●損失回避
損失回避はマーケテイングの見地からも重要です。一般的に、マーケティング担当者や広告主は、潜在顧客に向けて商品の利点に関するメッセージを広めることに重点を置きます。そのために、顧客がその商品から得られるメリツトばかりを強調してしまいます。しかし実際は、顧客が失うもののほうに均を役ったほうが・はるかに説得力のあるメッセージになるのです。
「20パーセント引きで新商品をお試しいたたけるこのチャンスをこ利用ください」という一言い方よりも、「20パーセント引きで新商品をお試しいただけるこのチャンスをお見逃しなく」という言い方のほうが効果的です。後者の言い方は、この取引には希少性(期間限定など)があるので、割引価格で商品を買うチャンスを逃してしまう恐れがあるということを示しているわけです。
同様に、あるプロジェクトを手伝ってくれるよう同僚を説得したい場合は、どのような機会や経験を得られるかだけでなく、そういったチャンスを失いかねないと指摘することも重要です。
実際、社会科学者のマージョリーシェリーが行った研究では、経営者に対して、潜在的な利益としてある情報を提がしたときより、潜在的な損失として同じ情報を提案したときのほうが、その意思決定にはるかに大きく影響を与えることが示されています。
たとえば、もしそれを採用したら、その部署にとって年に最高ト万ポンド(約千バ百万 llJ )の節約になりうるという案があるとします。その案を節約として提示するのではなく、採用しなければその金額を失うことになるという表現で伝えると、説得力を高められるのです。
メッセージを受け収る側になったときにも、損失という考え方は説得力があります。
ある実験では、カリフォルニア大学の研究者たちが、地元の電力会社の者だと名乗って、住宅の所有者たちにエネルギー効率改善策を勧めました。その結果、その方法を実行すると毎日 50 セント(約 50 円)節約できると高われたときよりも、実行しないと毎日平均 50 セント失い続けることになると言われたときのほうが、実行率が最大で 3 倍も高くなりました。
2つのメッセージの内容には終済的な意味では差がないことに注目してください。経済的にはどちらの五トセントも同じですが、心理的には損失を強調したメッセージのほうが3倍も説得力があったわけです。
ロバート・B・チャルディーニ(著) 『影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣』
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多くの人は、得られるものと失うものが同じ金額なら損失のほうを強く評価します。
・このままだと2万円損しますよ
・これをやると2万円得しますよ
は前者のほうが説得力があるわけです。
ということは、
・この提案を承認すれば2万円お得で、やらないと(放置すると)2万円損をします
というのはもっとも説得力が高いということですね。
実際に言い値が儲かったとしても2万円にしかならないのに、差額の4万円を思い浮かべてしまいますね。そうすると、プロジェクトのお得感が増す。
その結果、提案が承認される可能性が高くなるというわけ。
■参考図書 『影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣』
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●関連 Web
『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』の[第三版] - マインドマップ的読書感想文
影響力の使い方講座 - ダイレクト出版
影響力の武器とは?説得するときにはこれ - DCC用語集
影響力の法則 影響力の武器 - YouTube
影響力の武器:マネジャーとしての影響力は、どうすれば発揮できるのか?-Bizトレンド
●本書を引用した記事
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●このテーマの関連図書
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