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この2人こそ生物の遺伝情報を伝える生体物質―DNAの2重螺旋構造の発見者、ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックでした。
現代の最も重要な科学的発見と言われるこの出来事から50年という節目を迎え、ワトソンは自分の業績についてのインタビューに答えています。
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ここで彼は成功理由としてもう一つ驚くようなことを付け加えました。捉えにくいDNAのコードを解析できた一番の理由は、この問題を追求していた科学者の中で彼らがそれほど優秀ではなかったからだ、というのです。
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このワトソンの言葉は、多くのリーダーが図らずも犯してしまいがちな過ちについて、示唆を与えてくれます。
ある組織のリーダーが、たとえば、見込み客に対する強力な売り込み方法とか、 PTA の資金を効果的に集める活動など、何らかの課題や問題に取り組むとします。そうした場合、たとえグループのなかでリーグーが最も情報に通じ経験豊富で技術に長けていたとしても、目標達成のためには必ずほかのメンバーと協力するペきです。そうしないことは無謀と言ってもいいでしよう。
実際、行動科学者のパトリックラフリンらは、グルーブ内で協力し合いながら問題解決を図った場合の取り組みと結果は、平均的なメンバーが一人で行った場合を上回るだけでなく、グループで最も問題解決能力の高い人が一人で行った場合よりも優れていることを示しました。
しかし、リーダーの経験や技術、見識が素晴らしいと、ダループのなかで自分が一番うまく問題を解決できると考えて、ほかのメンバーの意見を聞かないことがよくあります。優秀なリーダーが一人で求めた解決策が、それほど熟練していないメンバーが協力して得た解決策より劣る理由は次のようなものです。
まず、リーダーただ一人による意思決定では、リーダー自身を含む複数のメンバーからなるグループがもつ知識や考え方の幅の広さには対抗できません。ほかのメンバーからの示唆があれば思考プロセスは刺激されますが、1人では限界があります。同僚の一言が刺激となってあるアイディアがひらめいた、という経験は誰でも思い当たると思います。もうひとつ、問題解決に当たって発揮されるグループの強みとは、並列処理能力です。グループ内で協力し合えばたくさんの副次的課題をメンバーに振り分けられますが、それを一人で処理する場合にはそれぞれの課題を順にこなしていかねばなりません。
ロバート・B.チャルディーニ著 『影響力の武器 実践編』
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人は自分より劣ると思っている人にアドバイスを求めるということをしません。
しかし、これはすごく損なことです。
確かに経験や知識が劣る人から挙がるアイディアは「それではちょっと」と思われるようなものが多いです。しかしながら人間一人で考えられる範囲というのは非常に限定されてしまうので、特定の優秀な人だけに任せておくと、視野狭窄に陥る危険が高いのです。
そのためには、「すべての人からのアイディアを受け入れる」ことが最良の回避策です。
ただし、他人から出たアイディアは自分の意識にはないものなので、そのまま自分が実行できることにはなりません。そのアイディアをヒントとして自分でアイディアを練り直すネタにすることです。
■チームが高い成果を出す方法
チームが高い成果を出すための方法はメンバーに意見を求める
ことです。
「○○の目標があるので、こういう作戦で行きます」というのは最高の結果を出す方法ではありません。
「○○の目標を達成するために、全員意見を出してくれ」
と求めることです。
しかし、決定はリーダーがしなければいけません。多数決はダメです。
出されたアイディアをベースにはするものの、最もいいと思われる方法はメンバーに聞いてはいけません。リーダーが決めるのです。そのためにリーダーには経験と知識があるのです。
リーダーシップをとるために、全て自分で考えて自分でやらなければいけないと思っている人は、実はチームの真の能力が引き出せていないのです。リーダーはチームの能力を最大限に引き出すのが仕事です。
■自他ともに高い専門性があるリーダーがハマる罠
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この結果を踏まえて、研究者たちは次のような結論に至りました。
すなわち、ス夕ッフが揃っている医療チームでは r 知的専門家]染団(医師、看護師、薬剤師など)が最善の判断をなすべく協働していると考えがちですが、よく調ペてみると役割を果たしているのはそのなかの一人だけなのです。先の実験では、看護師は自分の豊富な経験や知識を放棄して医師任せにしてしまいました。
そうした状況では、肴護師の取った行動も無理からぬことです。担当医師は権限があると同時に権威でもあるのですから。言い換えると、医師は責任者であり、指示に従わないスタッフを罰する権限を握っているわけです。しかも、医師は他のスタッフより高度な医療教育を受けているため、周囲は自ずと医師の専門家としての立場に譲ることになります。医師こそ一番の専門家と見なした結果、医療スタッフが医師の治療方劃に異を唱えるのに消極的になったとしても、不思議ではありません。
ロバート・B.チャルディーニ著 『影響力の武器 実践編』
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リーダーは自分の所見を先に発言してはいけません。それは権威とみなされてしまって、メンバーは反論がしくくなります。
とくに現代の教育を受けた人は、「問題には正解がある。正解は先生が知っている」ということを子供の頃から10年近くにわたり刷り込まれてます。この呪縛から逃れるのは結構難しんです。メンバーはリーダーの顔色や今までの経験で得たリーダーの好みを想像して発言します。
※セミナーに参加してなにかの設問がされた時のことを想像すれば、なんとなくわかりますかね?
※あなたもセミナーのテーマに沿った答えを言っていたと思います。
だから、何かの意見を聞くときには最も経験の浅い人から意見を聞くようにするか、個別に(なるべく柔らかい雰囲気で)聞くようにします。
その時、その意見がどれほど的はずれであっても、最終意見に何らかの形で反映させることによって(一言「○○の意見もありました」程度でも十分)次からの発言をしやすくします。
■参考図書 『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』
人が「イエス」という仕組みを心理学を使って科学的に分析し、実際に応用可能なレベルにまで高めた本。社会心理学者の口バート・ B ・チャルディーニ氏は、宗教や悪質なセールス、募金の勧誘、広告主などありとあらゆる「承諾誘導」の専門家の手口を研究し、彼らの手口は基本的に 6 つの力テゴリーに分類できることをつきとめた。心理学の専門書であるが、ビジネスからプライべートまでその応用範囲は極めて広い。
現在の心理学を応用した仕事術、交渉術、会話術などの本のほとんどすべてがこの本に書かれている。
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『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』の[第三版] - マインドマップ的読書感想文
影響力の使い方講座 - ダイレクト出版
影響力の武器とは?説得するときにはこれ - DCC用語集
影響力の法則 影響力の武器 - YouTube
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