■授人以魚 不如授人以漁
これ、よく聞く言葉です。
魚を与えるのではなく魚の釣り方を教えよ
という意味だそうです。
新人教育などのテキストやビジネス書に出てきますよね。
まぁ、意味はご存知の通りなのですが、多くのビジネス書やブログでは、これを推奨したりしてます。でも自分の経験からすると逆、というか、微妙にずれてます。
■釣り方を教えてはいけない
この理論を簡単に要約すれば、
あなたでないとできないことがあると、あなたはいつまでもその仕事をしなければいけなくなり、部下・後輩も成長・独立しない。結果、あなたはより上の仕事をする余裕がなくなる。
ということですね。
あなたが今自分がやれることを誰かに完璧に教えたとして、あなたの次の仕事は何ですか?
例えば、あなたが10年選手だとして、アルバイト君があなたと同じように仕事が出来るようになったらどうでしょうか?
会社としては、給料の安いアルバイト君の方がありがたいですよね。つまり、私が言いたいのは
より、上のレベルの仕事がみつかるまでは 今の仕事を手放してはいけません■依存させよ
自分の部下だけでなく、同僚・上司に対しても同じ事です。
あなたでなくてはできないこと、あなたでなくてはわからないことがあれば、他の人は、あなたを頼りにします。頼られれば、あなたの発言力は相対的に強化されるということです。
ただ、自分でなければならない状態がいつまでも続くと、その内にその仕事自体が陳腐化します。そうなると、あなたの存在意義はなくなってしまうので、他の人ができるようにして、次の仕事を見つける必要もあります。
順序は
1.次の仕事のネタを仕込む
2.今の仕事を他の人でもできるようにする
ことです。
順番を間違えると、悲惨なことになります。
■分散させる
この自分でなければならない仕事を人に譲り渡すときには、一人の人に全て教えてはいけません。
最初の魚の例で言えば、
魚の捕り方はAさんに
魚の料理の仕方はBさんに
魚を取る道具の作り方はCさんに
教えるんです。
そうすれば、それぞれの間を取り持つあなたがいなければ、その仕事は成り立たなくなり、かつ、自分は情報を右から左へ移すだけで、成果が出るようになります。その成果は、あなたのおかげという認識は全員が持ちます。
■会社も同じ
例えば、営業マンは製品を設計はできないでしょう。設計者は製造ラインを構築・運営できないでしょう。やっていることは、会社があなたにやっていることと同じです。
つまり、会社自体が、そうやって、専門能力を分散させることによって、社員が会社経営というノウハウを得て、独立してしまわないようにしているんです。
余談:もう一ついうなら、多くの会社で労使借款にあるアルバイト禁止。
収入の道が会社しかなくなれば、労働者(サラリーマン)は会社に依存せざるを得なくなる。その結果、会社が多少無理なことを言っても受け入れてくれる、というわけ。
あなたもあなたの専門能力を分散させて、自分の立ち位置を守らなければ、自分よりうまくやれる人が現れた時点でお払い箱です。
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