失敗のケーススタディ:本来の望み

ドロシア・ブランド著『目覚めよ!生きよ!』の失敗のケーススタディから

■ケーススタディ


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年若くして夫に先立たれた女性の例である。
学者一家の出身で、大学時代は頭の切れる学生だった。彼女は、自分と小さな娘のために残されたわずかな金を頼りに、教育者としての人生を送る決心をし、文学修士の学位を取得するために学校に戻った。実のところ彼女の窮状は支援を必要とするほどひどかったが、再び学生に戻った彼女は、大人の世界で子どもとしての生活が続けられるのを喜び、修学期間をできる限り引き伸ばした。

修士号を取ると、彼女は誠心誠意努力して、自分にふさわしい教師の職場を見つけた。しかし彼女は、先輩の教師たちと常に激しく口論してしまった。その論点は、彼女独特の経済観念を巡ってのものであった。
   :
  (中略)
   :
この女性の職場は次から次へと変わり、契約期間より長くいたところはひとつとしてなかった。優秀な教師であり、知識の広い研究者であり、人に与えるものをたくさん持っていたが、長期にわたって一生懸命働くような立場に立たないように用心していた。そうこうするうちに教授になりたいという彼女の希望も薄らいでいった。

こうして職場は優秀な大学から小さな無名校へとじわじわと落ちていった。落ちながら彼女は、その転落を納得させる哲学を考え出していった。その哲学とは、われわれの生活は賛沢すぎる、衣食や娯楽を重視しすぎる、というものだった。

ついには、彼女は自分の哲学を正当化するために、大都会の外れのぼろアパートに移った。だが、こういった自分を正しいと見なす倣慢な態度は、友人たちを家に招待する段になって、決裂をもたらした。彼女はますます孤立していき、変人となり、空威張りの毎日が際限なく続いていった。

ドロシア・ブランド著  『目覚めよ!生きよ!』
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あなたはこのケーススタディから何を学べるでしょうか?

能力と向上心を持ち、望みを実現するために必要な行動をした結果、彼女の得たものは、破たん寸前の自己満足でしかなかったというのは、身につまされる話しですが、これほど極端な話ではなくとも、それに近いことは、経験があるのではないでしょうか。

■本来の望み


最初に気がつくのは、当初、教育者となるために自分の時間とお金を使ってその成果を得られるように努力はしたものの、それが得られないうちに「学生であることを楽しむ」という行動に変わってしまっています。

もともと何をしたかったのか、それがいま得られないうちに、今の状況に満足してしまった時に、失敗が訪れます。

多くの自己啓発書には、

 ノートの最初のページに、自分の望みを書くこと
 目立つところに、自分の夢を書いて毎日読み上げること

ということが書かれています。

それは自分に刷り込みをするという意味もあるでしょうが、この事例のように、今が楽しいと、本来得たかった望みを脇にやってしまおうという誘惑にかられます。これを避けるという意味もあるのかもしれません。

■冷静に判断する


次に第2段落にある、「経済観念についての口論」ですが、これは職場ですべきことでもなければ、その口論で勝利することによって得られるものは何もありません。しかし、口論に勝利することにこだわってしまったことが挙げられます。

その「結果」を考慮することなく、現時点の感情によって行動するのは、分別ある大人がもっとも避けるべき行動の1つです。もちろん、人間ですので感情はありますし、一時の激情に駆られることも全くなくすのは不可能でしょう。しかし、これを引きずって、さらにそれを自己正当化してしまえば、最早そこから一人で抜け出すのは至難でしょう。

職場に居づらくなり、余裕が無いまま転職をすれば、望む職を得るのが困難になるのは第三者からみれば当然なのですが、当事者から見ればやむをえざる選択になります。その余裕の無さや主観的判断が将来を閉ざすのではないでしょうか。

こういう事例として見てみると、すごく簡単なことのように思えますが、実際の場面では、発言の目的がよくわからない発言をしてしまう、あるいはそれを見かけることが少なくありません。

 要するに、何を言いたいの?

と聞きたくなるようになる発言です。

発言の目的や、その発言によって得たい結果(発言の目標)をちゃんと明確にしてから発現するようにすると、「思慮深い」と思われたり、「この人の発言には特定の意図がある」と一目置かれたりするようになります(それだけ、「これ」が出来る人が少ないということでしょう)。

あなたはどうでしょうか?
つい直前にした何かの発言を思い出してください。その意図を文章に(=明確に)できますか?





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