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不快や苦痛を避けられるという点は注目に値する。というのも、成功より失敗をしばしば選ぶ理由となるからだ。
つまり、失敗にもそれなりの報酬があることを理解しておくことが重要である。同僚や物事や何にせよ、自分の手に負えそうもないと思ったら、自分が負けてしまえば、興奮したり、うんざりしたり、落胆したり、怒ったりせずにすむ。自分が夢見ていた分野でだれかがすばらしい成績を上げても、自分にもう一度やらせればその人間を追い越せると思い込める。
しかも、目立たずに生きられれば、自分が愛しているだれかを出し抜くようなまねをしないですむ。これが主として女性に見られる、また著名人の子どもや時代遅れの巨匠の弟子たちにもよく見られる、「失敗の報酬」である。
確かに、他人に苦痛を与えるのを恐れる人は、それをやるように言われることはまずない。しかし、そういう人々は愛の寛大さを考慮していないのだ。したがって、仕事をしないための言い訳が、この無精の原因となっていることが多い。大切な人間関係を損なわないようにするために、実際問題として野心を取り下げるわけではないのだ。
失敗することによって、成功する人につきもののゴシップや無理解やスキャンダラスなうわさ話から逃れることもできる。こういったことを過度に心配するのは病的だが、この恐れはしばしば成功に対する抑止力となる。あらゆる成功者が成功していない人物たちの好奇心の的となるが、意見にまで関心が傾けられるのはそのうちのごく一部の人で、大半は重要視されない。しかも多くの成功者が華々しい生活から退くのも、内面生活をさらに充実させるためではなく、あくまで低俗な大衆の好奇心を避けるためなのである。
こういう人たちは、こちらがあまりにもぶざまに失敗していなければ、善良な労働者よりもたいていは仲間として楽しくやっていける。
正真正銘の成功者は絶え間なく努力していると思っていい。休養している間でも、仕事の一部がずっと頭から離れない。成功者は失敗者よりも自由な時間が少なく、仲間づき合いをやめてまでも自分が働くと決めた時間を凡帳面に守る。その場限りのばか騒ぎにうつつを抜かすことはない。というのは、人生の満たされない状態から逃避しようなどとは決して考えないからである。
ドロシア・ブランド 『目覚めよ・生きよ』
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多くの人は、「努力をし続ける」ことに対して、苦行という言葉で避けようとします。
それを続けた人だけが自分の望む未来を手に入れられます。
しかし、それを一度手に入れたからといって、「自分のものにはなりません」。
多くの成功者がこの罠に落ちます。
そして正真正銘の成功者は、この努力をなるべく他人に見せないようにして続けています。
「人生は下りのエスカレータだ」と言われる時があります。
多くの人が望むものを自分が持っている時に、それを維持する努力をしなければ、それは他人の物になります。
望むものを維持するコストは、それを獲得するコストよりも小さなものですが、それすらしなくなった時にあなたはさらに下に転落するでしょう。
もしその努力の過程において、自分の周囲の人間関係を変化させることがあっても、あなたはその努力を強い意志を持って継続しなければなりません。
あなたが管理職になった時に、今まで同僚で友人だった人たちは、友人ではなくなります。その人を冷静に評価し、利用する視点を持つようになるからです。
それでも自分のキャリアを上げていきたいと思うのであれば、その事実を冷静に受け止めるべきなのです。
■参考図書 『目覚めよ!生きよ!』
立ち読み可 | 女流作家ドロシア・ブランドにより1936年に出版されるや瞬く間に全米ミリオンセラーとなり、今も世界中で読み継がれている成功哲学の古典『Wake up and Live!』の初の日本語訳版。この本で語られている最も重要なコンセプトは、人間の心の奥底にひそむ「失敗しようとする意志=破滅願望」の存在である。 「成功の公式」として紹介される内容はシンプルですが、明快な行動基準として示され、実に80年近く前に書かれた内容なので、事例などは少し古さを感じさせるが、根本的にはいまなお通用する原理原則である。また「as if の法則」など近年再び話題となっている考え方も平易に紹介され、多くの方の人生にとって、示唆が多い一冊となるだろう。 |
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目覚めよ!生きよ! 著者 :ドロシア・ブランド | 目覚めよ!生きよ! 検索 :最安値検索 | 目覚めよ!生きよ! 検索 :商品検索する |
●本書を引用した記事
腹五分目
失敗のケーススタディ3
やってみることには苦痛がともなうと意識する
自己管理能力を上げる方法
生産的であるために4:対人関係編、もの編、計画編、食事・健康編の詰め合わせ
目覚めよ!生きよ!:さあ、第一歩を踏み出そう
失敗の報酬
なぜ失敗するのか
生産的であるために3:技術編
仕事が完了したらすぐに次の仕事にとりかかる
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