相手の「常識」や「前提」を疑ってみる





誰かと話していて、「どうも何か違和感がある」と思えるときがあります。
その違和感に注目するかどうかで、話の深さ加減が変わってきます。




■微妙な違和感を大切にする


相手の意見や主張を聞いて、「やはり変だ」と思うのは、違和感を抱くということでもあります。「何か変た。違和感がある」と感じたら、それが何から生じているのかを考えてみると良い答えが見つかるかもしれません。

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●相手の「常識」や「前提」を疑ってみる
やはり少し前に、「自分の常識が世間の常識とは限らない」という話をしたよね。

はい、ちゃんと覚えてますよ。自分が常識だと信じていたものが、思い込みだったり、時代遅れになっていて、世間では常識ではなくなっていることがある、という話ですよね。

うん。そして、その間違った常識を前提に話を進めていくと、論理的矛盾が起こって、話が成立しなくなる。A という前提条件としてB という結論を導き出したのに、A が正しくないとしたら、B も正しくないのは当然だ。

誰かと話していて、相手の話がおかしいな、納得できないと感じたときは、この前提条件を疑ってみるといい。相手はそれを「常識」だと考えて、当然のように主張の証拠としているけれど、その「常識」は自分や世間にとっては常識ではないというケースがしばしばあるんだ。

初めにその人の考えを聞いたときには、なるほどと思ったのに、途中から、「あれ、何か変だな?」って思うことはよくあります。そういうときは、その人の考えの前提条件、証拠が間違っていたのかもしれませんね。

何で、こういう過ちを犯してしまうかというと、前提条件や証拠には証明がないことが多いからなんだ。たとえば、本人が「常識」だと思い込んでいることだと、それが本当に常識なのか、正しいのか疑いもしないことが多い。そして、常識ではない「常識」を前提に論理を進めてしまう場合が多いんだ。

もし、議論などの場で、相手の論理の前提条件にこうした矛盾を見つけたら、その議論はもう勝ったようなものだよ。相手の「常識」が世間の常識でないことを突けば、相手は反論もできないはずだ。

そうなんですね。前に「おかしいな… … 」と感じたときは、何でおかしいのかはっきりとわからなかったから、納得できないまま、話を続けちゃったんですけど。

ビジネスなどで、間違った前提条件をそのまま放っておいて話を進めると、本来は成立しないはずの結論がそのまま生きてしまうことになりかねない。そして、そのままビジネスが進んだら、取り返しのつかないことになってしまうかもしれないよ。

会話でそうした、「おかしいな、納得できない」と感じたときは、それを指摘したり‘ 疑問を差し挟んだりしなければいけない。おかしいと感じているのに、それを放置したら、無責任だと言われてもしようがないからね。

出口汪(著) 『出口汪の論理的に話す技術
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ただ、こうした「気づき」はそもそも発見できない人もいます。というか私もそれでよく失敗をするのですが、あとになって「そうじゃない」と言われて、「そういう意味だったの!?」とか思うことが多々あります。

ただ「気づき」「違和感」みたいなものって、単なるカンに過ぎないので、どうやってそれを発見するかなんて、具体的方法がないんですよね。

たとえば、流行り言葉の 「IoT」「機械学習」 にしたって、意味するところは広いので同じ議論をしているとは限らないんですよね。

 「今後売れ行きを伸ばしていくためには、この製品にも機械学習機能を装備するべきだ」
 「そうだそうだ!」

といったからといって、複雑な機械学習のためには巨大なデータベースとそれを演算する量子コンピュータが当然だと思っている人と、ちょっとユーザーインターフェースがよく使われるものやユーザが意図していると思われるボタンを優先的に表示すればいいと思っている人、チャットボットが使えるようにしたいと思っている人では、全く次の行動が変わります。

……で、あとになって進捗を聞いてみると、「××社から100億円だと打診をもらいました」「メニューの位置を外部定義できるようにしました」「ネットワーク通信機能を実装しました」って報告があって、「はあ?何の話?」ってなる。

本書にあるように、

 「あなたの言っている○○とはどういう意味ですか?」

って前提部分を聞かないと、議論が成り立たないわけです。




■前提が異なっている問題の発見方法


じゃあ、どうすればその気付きが得られるようになるのかというと、

 「違和感を大事にすることです」

って。だからもうそこで前提が違う。その感覚がわからないから聞いているんであって、それを「大事にしろ」とか「着目しろ」とか言われても…

まあ、実際にいろいろな交渉事や打ち合わせなどをたくさん経験すれば、本当にカンは働くようになるのですが(もちろん多くの失敗と反省をした人だけ)、それを少ない経験と書籍で学ぼうとしている人にとっては、はなはだ不親切ですね。

ということで、気づきや違和感に鋭くなる方法を自分なりにまとめてみました。


 ・修飾語を具体化・数値化する
 ・議論を観測された事実にのみ絞る
 ・議論の結果(結論)を具体的な成果物で言い表してみる
 ・論理を図解して、その根幹(◎◎であるから××であるの◎◎の大本)を説明してもらう
 ・「要するに」と聞いてみる?
 ・「なぜ」「なぜ」「なぜ」とどんどん掘り下げてみる

こうして、言い換えや深掘り、具体化をすると、「結局、何を前提にしていたか」がわかります。

これは、私流のアレンジもありますが、こちらの本を参考にしました。

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「事実に対して疑問がある」(事実に対する疑問)
「事実に偏りがある」(事実の偏り)
「暗黙の前提がある」(暗黙の前提)
「論理展開がおかしい」(論理展開の適切さ)
「そもそも論点がすれていたり、すり替えられたりしていないか」(論点の妥当性)

と考えてみると、違和感の正体、つまりは何から違和感が生じているのかを突き止めやすくなります。

日常生活の中では、違和感を抱いたり、何となく心に引っ掛かりかあったりしても、忙しいとか、その場の状況でいちいち質問するわけにもいかないなどの理由で、スルーしてしまうことも多いと思います。

しかし、ビジネスの場面だと、この違和感が会社の業績や自分の成績などに大いに関係してきます。スルーしたり、放っておくわけにはいきません。微妙な違和感を察知したら、その感覚を大事にして、何が原因なのかを考えてみることが大事です。

「事実に対する疑問」としては、たとえば「この市場は伸びております」と相手が事実としている根拠に、「自分が知る限り、そんなことはないはすだ」と疑問を抱くこともあるでしよう。出版企画なら、「最近、書店にこういう本がたくさん積んであった。売れているようなので同じテーマの本を企画しましよう」と言われても、「たまたま、その書店に積んであっただけではないか」と疑いが生じる場合もあるでしよう。 

グロービス(著)  『ビジネスで騙されないための論理思考』
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■参考図書 『出口汪の論理的に話す技術




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●本書を引用した記事
 論理が飛躍すると理解不能になる
 意思がうまく伝わらない人に足らないもの
 知識のストックが生み出すもの
 失敗を恐れず、発言の機会を求めよう
 発言は文章で書いてからそれを読み上げるように

●このテーマの関連図書


出口汪の論理的に考える技術(ソフトバンク文庫)

出口汪の論理的に書く技術(SB文庫)

出口汪の「すごい!」記憶術(SB文庫)

出口汪の「好かれる!」敬語術(SB文庫)

論理思考力をきたえる「読む技術」(日経ビジネス人文庫)

[出口式]脳活ノート





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posted by 管理人 at 10:52 | Comment(0) | 交渉・会議・面接 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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