戦術と指揮―命令の与え方・集団の動かし方5





仕事に役立つ本をご紹介しています。本日は、戦争のやり方の本。

よくビジネスで、「戦術」とか「戦略」という言葉を使いますが、これは文字通り戦争をするために考えられたものをビジネスに転用していることはよくご存知かと。

孫子」なんてその典型的な例ですね。
ただ、「孫子」は普通のヒラサラリーマンにとっては、それを使う場面なんてあまり多くありません。どちらかというと、「あっちに行って、死んでこい」と言われる方なので…。

ただし、何かのリーダを任されるときはあります。小部隊の隊長さんレベル。



そこで、本書は少部隊の隊長になって特定の条件下に置かれたときにどのように判断するのか、どのような情報収集をすればいいのか、どのように上司の支援を仰げばいいのかについて、仮想戦場に放り込まれた感じで考え方を教えてくれます。

まあ、戦場と自分の仕事の共通点を考えられない人にはもう少し具体的に仕事の局面を挙げた本のほうがいいかもしれませんが、エッセンスを抽出したり、教訓を活かしたりする事ができる人には、役に立つ本だと思います。

何回かに分けてご紹介します。




■要約その4:「指揮官として」その2


●どこまで命令を聞くのか?
もっとも、こんな方法をとる必要がないと反論する人がいるたとえば上司が、その任務遂行についてきわめてべテランであって、達成の方法についての奥義をきわめている場合である。

「お前ができなきや、俺が直接やる」といえる場合である。

名匠が新入りの弟子に仕事を命じるようなケースだ。

が、戦場ではこんなことはありえない。なぜなら、勝利をかけた戦闘において、自分が直接処理できるなら、部下に命ずる必要がないからである。

ビジネスでも同じだろう。

もうひとつの反論として、計画段階において、部下と十分に話しあってから命令を作成すればよいという考えもあるだろう。

だが、人と人が戦う場では、時間的にも、状況的にも、そんな余裕がないのが通常である。

机上の話であって実際的では「文句をいうな。文句があるなら計画段階でいえ。すべてはきまった。これは命令だ!」と上級指揮官の押しつけ。「仕方がないこれが命令というものだ」と部下指揮官の納得。

どこかにゴマカシがある。これでは、プロの軍人とは名のれない。

命令をあたえる上司は、ムリを承知で部下に任務をあたえて責任をのがれ、命令をうける部下は、成功に不安があるにもかかわらす、上司の顔色をうかがっているからだ。

 「軍事指揮官は、首相や国防大臣のために、軍事にかんして筋をまげたり、自分の失敗をのがれる権利はない。

 なぜなら苜相や国防大臣は、戦場から離れている。だから、首相や大臣の規則・計画・命令が戦場の実態とかけ離れているときは、その実行を引きうけるな。

 規則・計画・命令の変更をしつように要求せよ。端的にいうならば、将軍が、軍の破壊の道具になるよりは首を切られたほうがましである。

 戦いの指揮官は、勝利に自信のない命令を引きうけることは、勝利に自信のない命令を発することと同様、罪悪である」(ナポレオン)

このことばから、学ぶべきことは多い

●100%の情報は存在しない
クラウゼヴィッツは「戦闘において敵情の四分の三は霧のなか」と看破している。

この言葉を逆手にとって「だから昔の戦闘では″奇襲や遭遇戦瓰が可能であった。

しかし、今日の情報化時代においては、敵情の人手が簡単であり、またこちらの状況も、敵に知られやすい。だから奇襲や遭遇戦はむずかしくなった」と説く人がいるがそんなことはない。

どんな情報化時代となっても、情報の入手を 100% 期待するのは幻想である。

情報の伝達経路による欠落も考えると、それぞれで 80% の情報を集めたところで、6段の伝達がされれば、80% の六乗は約26%である。これは、作戦計画過程においても、戦闘においても、情報の四分の一が人手できれば「おんの字」であることを意味している。

いいかえれば、「情報の四分の一が手に入ったら、ためらわす決断せよ」ということにほかならない。

●情報収集以外にするべきこと
戦場の匂いをかぐことである。

将棋や碁では、敵の盤面と持ち駒を承知しえても、凡者は巧者のつぎの指し手を読むことはむずかしい。この困難性をもっとも多く有効に逆用したのはシーザーであった。

情報を集めるだけでは、なにもできない。これは、ビジネスの世界でも同様である。

●アマチュアをすぐに戦場に送り出す方法
ここではアマチュアを、すぐに、実戦に送りだすことのできる前者の思考順序を、紹介する。この思考方法は、基本的につぎの順序になっている。

・「命題」
 ・通常、上級部隊指揮官からあたえられる「任務」である。
 ・これを子細に「任務分析」し、達成する事項の優先順位をきめる。
・「前提」・作戦する地域を規定する。「地域の特性」をあきらかにして認識し、戦術的に分析する。
 ・現在までの敵情を解明し、将来の「敵の可能行動を列挙」して、採用公算と弱点を見積る。
 ・自分の部隊の状況を掌握し、敵戦力と相対比較して、勝ち目(とくにすぐれている点)と問題点をあきらかに認識する。
 ・こちらがとりうる「行動方針を列挙」する。
・「分析」
 ・すべての「敵の可能行動」とすべての「味方の行動方針」を総合的に組みあわせて戦闘シミュレーションを実施し、行動方針の選択のためのカギとなる要因を見いだす。
・「総合」
 ・比較のための要因に、重要度の順位を定める。
 ・行動方針を比較する。
 ・ついで、時間と空間の要因について考える(英国式。理論的ではないが、経験的に誤りをすくなくするためくりかえす)。
・「結論」
 ・選択の腹構えを定め、最良案を選択し、その問題点と対策をあきらかにする。
 ・英国式では、作戦計画の骨子を作成する。

●不等式で考える
戦術では、「すべて不等式で考えろ/」ということばをつかう。最大限に成功する場合と、最低限に成功する場合をつねに考えろという意味だ。そして最後に、成功しない場合を考えて、作戦方針を決定的に変史をする「代替案」を準備することである。

今日、企業では等式に考える傾向がある。たとえば予測売上高の線図がそうだ。

最大限の場合しか考えていない戦術と同様にあらためたほうが合理的であり、柔軟性に富む。

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