個人の顔が見える情報を出すと説得力が上がる



最近、いろいろな会社で「働き方改革」というキーワードを見かけるようになりました。

まあ、流行りモノなのかもしれませんが、「業務効率化」というキーワードならずいぶん古くからあるテーマですね。

そういう取り組みの中のひとつに、「メールはシンプルに、ストレートに」というスローガン(?)があります。




■無味乾燥なメールやショートメッセージ


ようは、メールを書くときに、

 ・最初の挨拶文は書かないようにしよう
 ・「了解」「ありがとうございました」だけの返信メールは出さないようにしよう
 ・言いたいことだけを書くようにしよう
 ・質問に質問で返さないようにしよう

こんな感じです。

私の会社でも、こういうタイプのメールを推奨する部署もちらほら。

◇――――――――――――――――――――――――――
○○さん  < ××

できません。

------- 元メール ------
送信者: ○○
受信者: ××
表題: ○月○日までに検討をお願いします

 お世話になります。

 お忙しいところ申し訳ありませんが、先日お願いした▲▲の課題について○月○日までに対応をお願いできませんでしょうか?

 こちらの部門では▲▲が重要案件になっており、××さんの協力が必要です。
  :
  :(中略)
  : 期待していることの理由など
  : いろいろお願いしたい背景とか…
  :

 ご面倒をおかけしますが、よろしくお願いします。
――――――――――――――――――――――――――◇


どうも、こんな返信メールを貰ったりすると、つい「ムカッ」と来たりします。私がウエットだからなんでしょうかね?




■21世紀における影響力


以下は、『影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣』から。

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●二十一世紀における影響力

二十一世紀を迎えて、組織の内外での人とのつき合い方に一つの大きな変化が起きました。

一つ目は、家庭そしてビジネスのほぼすべての面で、インター不ットが幅広く使われるようになり、毎目のコミュニケーションのあり方が大きく変わったことです。

2つ目は、職場やビジネス上のやり取りで、自分とは違う文化的背景をもつ人びとと出会うことが、かつてないほど多くなったことです。こうした急激な変化に関する最新の研究からは、説得の科学について大変貴重な洞察が得られます。

●インターネットにおける影響力
アメリカ中西部の大手携帯電話会社、 US ・セルラーでは、ほかの通信会社同様、テクノロジーがほば全面的にビジ不スの根幹を担っています。

そしてそれこそが、同社が数年前に、自社の業務の内容と大変矛盾するような決まりを作った理由です。

その決まりとは、5千人以上の従業員に対して、毎週金曜日は互いに E メールで連絡し合ってはいけないというものでした。
 :
 :(中略)
 :
実は、事の起こりは、毎目のように膨大な量のメール攻めにあっていたエリソンが、人問味のない電予的メッセージが際限なく押し寄せると、チームワークや全体的な生産性が向上するどころかむしろ害されかねないと感じ始めたためでした。

ABC ニュースドットコムの記事によると、彼は従業員宛ての文書で次のように述べています。

 「ぜひ、席を立って自分のチームのメンバーと顔を合わせ、電話で会話してください。私宛にメールを送るのはご遠慮いただきたいと思いますが、私の席には気軽に立ち寄ってください。いつでもどなたでも大歓迎です」。

この記事には、新しい決まりがもたらした劇的な成果もいくつか紹介されています。たとえば、以前は E メールだけの問柄だった仕事相手同士が、電話で話しているうちに、お互いを隔てているのが国境ではなく部屋の壁だと分かって驚いたという話がありました。この発見のおかげで二人は直接会うことができ、それによって互いの関係が深まったのです。
 :
 :(中略)
 :
行動科学者のドンムーアらは、このあまり単純とは言えない問題に、ごく単純な解決方法があると考えました。

それは、交渉の前に両者が何らかの形で自己開示を行ったらどうか、というものでした。

言い換えると、交渉とは無関係な話題について、2〜3分オンラインでおしやべりして、さらにお互いの経歴に少し触れてみてはどうかということです。

このアイデアを試すために、アメリカのエリートビジネススクール2校の学生を二人一組にして、ある取引に関して E メールで交渉を行ってもらいました。

半数のペアには単に交沙するよう指示しただけでしたが、残りの半数には交渉相手の写真と簡単な個人データ(たとえば、出身大学や関心のある分野)を提供し、交渉の前に E メールを通してお互いに知り合う時間をとるよう指不しました。

実験の結果、付加的情報を与えられなかった参加者のうち、二九パーセントが合意に達しなかったのにひきかえ、「個人的なやり取りをした」ペアで交渉が決裂したのは、わずか六パーセントでした。

さらに、交渉成功のもう」つの指標として、ペアが妥協点を見出したケースでその合意事項、つまり各参加者の取引金額の合引を調ペたところ、個人的やり取りをしたグループのほうが、そうでないグループよりも一八パーセントも高かったのです。

要するに、交渉相手同十が個人的な側面について知り合う時間をとることによって、双方で分け合うパイを大きくすることができるわけです。

ロバート・B・チャルディーニ(著) 『影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣
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これは、経験的にも確かに起こります。

いろいろ自分の仕事を抱えている中で、全く知らない人から来たメールは、それがどれほど送信者にとって重大なものであっても、受け取った人の優先順位は上がりません。

■初めての人には会いに行く


ある程度会社に長くいても、話したこともない人というのは結構います。

そうした人に何かのお願いメールを出すようなときには、まず、アポイントメントを取って、個人的に顔見知りなると、お願いを聞いて貰える確率は格段に上がるということです。

特段急がない、またはその情報がなくてもいいようなレベルのものであれば、かまいませんが、そうでないような場合、

 まず、顔見知りになる

ことから始めるといいかもしれません。

さらに、その後に出すメールもこちらの言いたいことだけ、あるいは要求していることだけ書くのではなく、「先日はありがとうございました」から始める、背景情報をきちんと書く、お礼をするなどの、ちょっとだけ柔らかい情報を付記すると、対応して貰える確率は上がります。

私は、「ありがとうございました」だけのメールでも、ほぼ必ず出すようにしています。

逆に、こちらが何かしてあげた(要求に答えてあげた)ような場合に、「受け取りました」「ありがとうございました」のメールが返ってこないと、ちょっと残念な気がしますよね。

「次」があれば、あまり積極的になれないような…





■参考図書 『影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣




人が「イエス」という仕組みを心理学を使って科学的に分析し、実際に応用可能なレベルにまで高めた本。
社会心理学者の口バート・ B ・チャルディーニ氏は、宗教や悪質なセールス、募金の勧誘、広告主などありとあらゆる「承諾誘導」の専門家の手口を研究し、彼らの手口は基本的に 6 つの力テゴリーに分類できることをつきとめた。心理学の専門書であるが、ビジネスからプライべートまでその応用範囲は極めて広い。
現在の心理学を応用した仕事術、交渉術、会話術などの本のほとんどすべてがこの本に書かれている。





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影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣
著者 :ロバート・B・チャルディーニ
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●関連 Web
 影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』の[第三版] - マインドマップ的読書感想文
 影響力の使い方講座 - ダイレクト出版
 影響力の武器とは?説得するときにはこれ - DCC用語集
 影響力の法則 影響力の武器 - YouTube
 影響力の武器:マネジャーとしての影響力は、どうすれば発揮できるのか?-Bizトレンド

●本書を引用した記事
 多面的交渉術をトレーニングする「ピラミッド交渉力」
 多面的交渉術をトレーニングする「ピラミッド交渉力」
 仕事で使える心理学4:ポイント抜粋―ストレスに対応する
 仕事で使える心理学3:ポイント抜粋―リーダーにとって必要なこと
 仕事で使える心理学2:ポイント抜粋―判断に影響する心理
 仕事で使える心理学1:詳細目次
 魅力的な名前をつける
 やる気が出る11のヒント
 失敗は正確に報告する
 「なぜなら」を口癖にする

●このテーマの関連図書


影響力の武器戦略編:小さな工夫が生み出す大きな効果

影響力の武器[第三版]:なぜ、人は動かされるのか

予想どおりに不合理行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」増補版

新訳ハイパワー・マーケティングあなたのビジネスを加速させる「力」の見つけ方

影響力の武器コミック版

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか





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posted by 管理人 at 11:18 | Comment(0) | 交渉・会議・面接 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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