採用面接で、大きな配点を持っているスキルにリーダーシップというものがあります。
面接官は直接的には言いませんが、この「リーダーシップ」があるかどうかを、聞き出そうとしていろいろな質問をします。
ところが、あまり満足行く回答をもらったことは多くありません。
回答から推察するに「リーダーという役割」と「リーダーシップの発揮」というものが混同されているように感じます。
そこで、『採用基準』という本にあった「リーダーがなすべき4つのタスク」という章から、リーダーシップについて考えてみたいと思います。
前回、リーダーシップを問う質問について、本書『採用基準』で紹介されていた「リーダは先頭を走る人だ」という定義をご紹介しました。
本書『採用基準』でリーダーシップの4タスクの中でこのところが、私が最もリーダーシップを感じるところですし、普段の行動として意識しているところです。
もう一度、本書『採用基準』に戻って、この節の最後の部分を引用しておきます。
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ところで日本では、誰が先頭に立っているのかわからない組織やチームも散見されます。
海外企業と共同でプロジェクトを進める場合など、プロジ工クトリーターであると紹介された部長が、キックオフミーティングの席で最初の挨拶以外は一切発言しない、などという事態に遭遇すると、海外のメノバーはみんな、びっくりしてしまいます。
この、最初の挨拶しかしない部長は、 日本語ではこのプロジェクトの責任者と呼ばれており、中にはずっとチームの後ろに控えている人がいます。会議でも部下が交渉し、議論するのを注視しているだけです。
そして何か問題が起こった時だけ後ろから現れて判断をし、最後の責任を無条件に背負い、最終決裁のハンコを押すのです。
では、このチームがどういった道を進むべきかは、なりたい姿は、誰が決めているのでしょう?
部下を前に立たせ、後ろでその仕事ぶりを見守っていろ責任者を「部下を信頼して仕事を任せ、自律的に育てている」と評価する人がいますが、「何かの時には後ろから神の声が聞こえてきて判断がくだされる」などという経験を何度かすれば、前にいる部下は常に後ろにいる背筋者の顔色をうかがって仕事をするようになります。
前に出て交渉をしているのは自分なのに、何かを決めるときにはいつも「社に持ち帰って…」、責任者の意向を確かめなくてはなりません。
リーダーというのは先頭を走る人であって、後ろに控えている人ではないのです。
先頭を走る人が一番最初に方向性を決めてこそメンバーは安心して走ることができるのです。
伊賀泰代(著) 『採用基準』
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たしかに日本の会社では、会社対会社の打ち合わせで責任者が前面に立って話をするということはあまりありません。責任者はリーダーではないということですね。前面に出るのは、問題を起こして謝罪会見をするときくらいでしょうか(笑)。
転職面接においては、「責任者だったのかどうか」は大して評価対象にはなりません(役員の採用なら別かもしれません)。リーダーだったという経歴を披露したいのであれば、前面に立って活動したことが必要です。
前回ご紹介した、リーダーシップを問う質問について「○○プロジェクトのリーダーをしてました」ではなく、「私が××をしました」という答えが必要なわけですね。
■参考図書 『採用基準』
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