見勝不過衆人之所知、非善之善者也




孫子の兵法にこんな一節があります。

 見勝不過衆人之所知、非善之善者也。

以下はいつものように勝手にWebから引用

★――――――――――――――――――――――――――
 『見勝不過衆人之所知、非善之善者也、戰勝而天下曰善、非善之善者也』
 (勝を見ること衆人の知る所に過ぎざるは、昔の善なる者にあらざるなり。戦い勝ちて天下善なりというは、善の善なる者にあらざるなり)

 勝利を読み取るのに一般の人々にも分かる程度の理解では、最高に優れているものではない。
 また、戦争に打ち勝って天下の人々が称賛しても、最高に優れているものではない。

 孫子に学ぶビジネス術
――――――――――――――――――――――――――★


まったくそのとおりなのですが、サラリーマンにとってこの至言はちょっと毒です。

■ファインプレイと当たり前プレイ


野球でよくアナウンサーが「ファインプレイ!!」って叫ぶ時がありますよね。難しい打球をダイレクトキャッチするとか、ギリギリ走りこんでスライディングキャッチするとか。

孫子に言わせると、「最高に優れているものではない」ものの部類です。

ほんとうにうまい人というのは、打った瞬間にもうその打球の落下点に移動しているので、普通にボールをキャッチするだけです。それを打ってから慌てて走りだしているから、ボールに追いつくのがギリギリになって、スライディングキャッチをしなければいけなくなる。

つまり、孫子の言うように本当に褒めるべきは、「勝って当たり前の状況を作り出してしまうこと」なんですね。
しかし、凡人はやっぱりファインプレイが目立ちますし、そのほうがかっこいいんですよ。

■上司は凡プレイを心がける


私は、上司として部下を評価するときには、部下が平凡な作業をしてうまく行ったことを探すように心がけてます。

 事前にしっかりと準備をして、本番は普通に見える行動をした結果うまく行った。

という事例です。この事前準備を褒めるのが最も正しい表下の姿だと考えています。

しかし、実際には、

 トラブルが発生して大火事になりそうな状況で、あちこちに頭を下げまくって、なんとかボヤで食い止めた

みたいな事例のほうが、評価する方もされる方もわかりやすくて説明しやすいのでそちらになってしまうことが少なくありません(反省)。

また、上司として部下の仕事がスムーズに行くように関係部署の責任者に話を通しておいたり、会議体でコンセンサスをとっておくなどの下ごしらえをしっかりするように心がけてます。

■部下は時々ファインプレイをしてみせる


もしあなたが用意周到な仕事をするタイプの人でも、残業もせず、昼の休憩時間は昼寝をして過ごしてばかりいると、凡人の上司はあなたを評価してくれません。

もし評価してくれるとしたら、あなたがいなくなって他の人に担当を変えてみた時に、トラブルが連発したりして、あなたがいかににしっかり仕事をしていたかがわかるようになってからです。でもそれではあなたにとっては手遅れです。

だから、たまには「ファインプレイ」をしましょう。
わざと失敗の種を巻いておき、納期ギリギリになって、「大変です!!」と言いながら駆けまわり、「なんとか間に合いました」とか「ちょっとだけ納期に遅れてしまいましたが、無事完了しました」みたいな状況を作りましょう。そうして初めてあなたの存在意義が上司に認めてもらえるんです。

できるなら、そのフィニッシュの場面では上司に立ち会わせるといいです。

もし営業職をして見えるなら、ドタバタの後、上司に「ここが最後のヤマです。どうか一緒に来て向こうの部長に話をしてください」とお願いすることです。当然、そこまでには99%商談をまとめてから。そうすると上司は「おれが助けてやった」とプライドも維持できますし、成果はあなたのものになります。

豊臣秀吉は、ほぼ勝ちが見えてから信長に「殿様、どうか殿様の力を貸してください」と泣きつきに行ったそうです。
中国攻めがそうでしたね。もう高松城は陥落寸前まで持って行きながら信長の出陣を要請している。だから、本能寺の変がおきたらとっとと戦を終わらせて中国大返しが出来た。援軍が必要なくらいの状況だったら、本当は動けないはずなのにね。
※私の勝手な解釈です。史実かどうかは知りません。

これですよ。これ。
上司に「やっぱりオレって存在感あるなぁ」と思わせるのも部下のつとめですよ。あまり毎回やると逆に「こいつは頼りにならんなぁ」になっちゃいますけどね。





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